大学受験は独学でも克服できるのか

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大学受験は独学でも克服できるのでしょうか。この結論を先にご紹介すると、「難しいが不可能ではない」ということになります。

なぜ難しいのかというと、大学受験向けの勉強は通常の高校の勉強とは異なるからです。やはり、予備校や塾などを活用したほうが効率的であり効果的なのは間違いありません。
では、なぜ独学でも大学合格が不可能ではないのでしょうか。それは、勉強というものは結局のところ「自分との闘い」だからです。そして現代日本であれば、どこで何をしていても学ぶことができます。強い意志さえあれば、大学受験という厚く高い壁も越えることができるでしょう。
そこで今回は、大学受験を独学で乗り切ろうとしている受験生に、そのノウハウを紹介します。

「独学」の定義

独学の方法を紹介する前に、まずは「大学受験の独学」を定義しておきます。
ここでは、予備校や塾を使わない勉強法を独学とします。なぜ予備校や塾を独学から外すのかというと、授業料がかかるからです。本来は、独学はあまりおすすめできません。その理由は後段で解説しますが、もし経済的に余裕があるのであれば、独学は避けたほうがいいでしょう。
しかし、経済的に余裕がない方でも、大学進学をあきらめる必要はありません。独学で大学受験を乗り切ることも、決して不可能ではないからです。

したがってここでは、大きなお金がかからない方法はすべて独学に含めることにします。
高校での勉強や高校教師の力を借りることは大きなお金がかからないので独学に含めます。そして、小さなお金がかかってしまうのですが、書店で購入する参考書や問題集を使うことも独学に含めます。インターネットも使いましょう。

つまり、独学といっても「独りぼっち」で紙と鉛筆だけで勉強するわけではありません。独りぼっちで勉強して大学受験を乗り切ることは、ほぼ不可能です。
独学とは「高校」「高校教師」「市販の参考書と問題集」「インターネット」を最大限駆使することにほかなりません。

偏差値の高い大学を目指す

本気で独学受験に臨むのであれば、偏差値の高い大学を目指しませんか。
それほど学力が高くない高校生が、ほとんど受験勉強をしないで入学できる大学も存在します。そのような大学を目指すのであれば、そもそも予備校や塾は必要なく「普通の独学」で合格できるでしょう。
もちろん、低偏差値大学であっても高度な研究を学ぶことができますし、学歴を積むことも可能です。しかし、せっかく「本気の独学」に挑むなら、よりチャレンジングな高偏差値大学を目標に掲げてみてはいかがでしょうか。
ここでも、高偏差値大学を目指す人向けの独学術を紹介していきます。

独学するなら高校の先生を最大限頼ろう

「大学受験を独学で乗り切る」と決めた人は、高校の教師を最大限頼りましょう。高校教師は全員が大卒です。つまり、高校教師は全員大学受験に合格しているということです。そのため、独学をする人は、高校教師の大学受験経験が役に立つでしょう。

高校教師を頼りにするにはまず、日頃の授業を熱心に受けてください。居眠りしないのはもちろんのこと、教師の話には「一言一句聴き逃さない」気持ちで耳を傾け、ノートをしっかり取り、教師から問いかけられたら積極的に発言しましょう。
教師はすべての生徒に平等でなければいけませんが、そうとはいえ、高校教師にも感情があるので自分の授業をしっかり聞いてくれる生徒には特別よい印象を持つでしょう。また、一生懸命勉強している姿を見れば、応援したくなるのが人情です。

そして授業中は、教師の話を聴きながら質問を考えてください。ノートに「今日の質問」という欄を設けて、そこに質問内容を書いておきましょう。授業が終わったら、教師が教室を出る前に教壇に行き、そこで質問をぶつけてください。
授業直後の質問は、教師を喜ばせます。高校の教師は勉強が苦手な生徒や勉強が嫌いな生徒にもわかるように説明しなければならないので、どうしても高度な説明を省かなければならないことがあります。しかし、教師たちは自分の知見を惜しみなく生徒たちに注ぎたいのです。そのため、生徒から「鋭い質問」を受ければ喜んで解説を始めるでしょう。その流れで教師から「いますべてを教える時間がないから、放課後、職員室に来なさい」と言われたら大成功です。

教師を最大限に頼る方法とは、職員室で勉強を教わることです。
教師は生徒を贔屓してはならないので、特定の生徒だけ選んで課外授業をすることはできません。しかし、生徒から「授業でわからなかったことがある」と訴えられれば、それに応えるのは教師の責務です。
授業時間外に職員室で教師から直に学ぶことは、家庭教師をつけるようなものです。独学で高偏差値大学を目指す人は「職員室の常連」になりましょう。

高校教師にモチベーションを「補給」してもらおう

受験勉強を有利に進めるのに予備校が有効なのは、勉強方法を学べるからだけではありません。予備校の講師たちは受験生のモチベーションを高めるのがうまいのです。モチベーションは「大学受験のエンジン」になるので、モチベーションが高い受験生はグングン成績を上げていきます。
そのため、予備校に通わない独学受験生は、モチベーションをどこかで「補給」しなければなりません。これも高校教師に頼りましょう。

大学受験は、高1から始めれば3年間に及びますし、高3の4月から始めても11カ月になります。これだけの長期間にわたって、モチベーションを維持することは簡単ではありません。また、学力は右肩上がりに真っすぐ上昇するわけではなく、途中でスランプに襲われることもあります。
そのような停滞期に入ったら、高校教師に相談しましょう。教師はきっと独学受験生を鼓舞してくれることでしょう。教師も自分の大学受験時代、同じようにモチベーションが落ちたりスランプに襲われたりしたはずです。そのときの克服方法を聞くことができれば、モチベーションを取り戻すきっかけになるかもしれません。

独学するなら高校や公共の施設を最大限使おう

独学受験生は、勉強をする場所の確保でも予備校受験生より不利になってしまいます。そのため、独学受験生は高校の施設を最大限活用しましょう。
例えば、部活動が活発な高校であれば、かなり遅くまで校内を生徒に開放しています。そのような高校なら、自習をしたい生徒にも校内の一室を貸してくれるかもしれません。教師に頼んでみましょう。

独学受験生が複数の勉強場所を確保することは重要です。放課後に校内の一室で自習することができれば、帰宅後の自宅学習が新鮮に感じられます。
「飽き」は受験勉強の大敵です。勉強場所を頻繁に変えれば「飽き」が薄まります。
また、校内の一室で自習をしていれば、教師が心配して様子を見にきてくれるかもしれません。それも「個人レッスン」を受ける好機となります。

そして独学受験生は、学校が休みになる土日祝日と長期休みの勉強場所を確保しなければなりません。公共の施設を活用しましょう。
最適なのは図書館です。図書館によっては受験勉強を禁止していますが、自習室を設けて受験生に開放している図書館もありますので、問い合わせてみてください。
また、市区町村が運営する「会館」が受験生用の自習室を持っていることもあります。

高校の校内の一室や図書館や会館の自習室を使うメリットは、無料であることです。学習場所にお金をかけなければ、その分、参考書や問題集にお金を使うことができます。

独学するなら無料のネット情報を最大限使おう

参考書や問題集を買う前に、インターネットの受験情報を使いましょう。スマホの検索画面に「〇〇大学(志望する大学名) 過去問」と入力してみてください。きっと、その大学の過去問が見つかるはずです。そこで見つかった過去問は「無料の問題集」になります。
さらに「高校数学」「問題」で検索してみましょう。自分のレベルに合った問題と解答と解説がみつかるはずです。
そして、スマホを机に置けば、それらを「参考書」にして勉強することができます。もしパソコンを使うことができれば、パソコン画面のほうがスマホ画面より大きいので勉強もはかどります。
インターネットには「受験体験談」が数多く投稿されています。東大や京大、早慶上智などの難関校に合格した人たちが、勉強法や優れた参考書などを紹介しています。
ネットからは、良質な情報を無料で手に入れることができますので、ぜひ有効活用してみてください。

参考書と問題集にはお金をかけよう

独学といっても、書店で売っている参考書や問題集をまったく買わずに乗り切ることは難しいでしょう。
大学入試の問題は「教科書の範囲内」で出題されることになっていますが、教科書に書かれてあることがそのまま出ることはまれです。ましてや高偏差値大学の入試問題は「ひとひねり」加えられています。
入試に合格するには受験テクニックが必要で、市販の参考書や問題集はそれを教えてくれます。

参考書と問題集の使い方について「1冊を何度も繰り返そう」とアドバイスする人もいますが、その方法は注意が必要です。難易度が低い参考書や問題集を何度読み返しても、学力も偏差値も上がりません。
一度使い終わった参考書や問題集を繰り返すときは、簡単に理解できた部分や、簡単に解けた問題を飛ばすようにしてください。

理想としては、参考書や問題集を贅沢に何冊も購入することです。参考書や問題集は、受験生の好みがはっきり分かれます。なぜなら、参考書や問題集の著者の解説の仕方が一様ではないからです。
参考書と問題集のユーザー(受験生)と作成者(著者)の相性が合わないと、勉強効率が高まりません。受験生が自分の学力と自分の好みに合った参考書と問題集に出会うには、何冊か購入するしかありません。

ただ「贅沢に何冊も購入する」といっても、書店に並んでいるものをすべて買うことはできません。そこで、自分に合った参考書や問題集に出会うために、書店でのチェックには力を入れてください。
参考書や問題集の冒頭のページに著者のコメントがあったら、それをすべて読んでみましょう。そのコメントには編集方針や学習方法などが書かれてあるので、それに共感できれば「自分に合った参考書・問題集」である確率が高くなります。

そして書店でチェックし終えたとき、もし同じ教科で「自分に合いそうだ」と感じることができた参考書・問題集が複数冊あったら、すべて購入しましょう。これが「贅沢に何冊も購入する」ことの神髄です。
なぜ同じ教科で複数冊の参考書・問題集が必要なのでしょうか。
それは「複数の講師」に同じことを教わると、記憶の定着が進むからです。独学受験生にとって参考書と問題集の著者は「講師」のようなものです。
同じ教科の複数の参考書・問題集を使って学習すると「あっちの参考書(または問題集)でもこれが強調されていたな」と気づくことができます。この気づきこそ、学習したことの記憶の定着を手助けするのです。

参考書や問題集の購入費を節約したい人は、高校教師に相談してみましょう。教師の元に、参考書や問題集の出版社から「試供品」が届くことがあります。教師がそれを貸してくれるかもしれません。
また、教師が自分の大学受験のときに使った参考書や問題集を紹介してくれる可能性もあります。参考書も問題集も毎年新しいものが出版されますが、「大学受験の傾向」はそれほど目まぐるしくは変わりません。したがって、教師が大学受験のときに使った参考書や問題集のなかで評価が高いものは「現代受験」でも十分通用します。

独学のリスクとは~予備校は受験のインフラ~

さて、これまで独学の方法を紹介してきましたが、もし余裕があるのであれば、少しは予備校を使ってみることをおすすめします。
予備校は「模試だけ」や「夏期講習だけ」といった使い方もできます。また、夏期講習であれば「英語だけ」「現国だけ」といった選択もできます。
予備校を少し利用するだけでも、学習効率は格段に向上するでしょう。それは、予備校は「大学受験のインフラ」だからです。
予備校は大学受験を徹底的に研究しています。高校教師も大学受験を研究していますが、彼らは生徒の生活指導や部活指導や進路指導もしなければなりません。しかし、予備校の講師たちは大学受験だけに集中しています。
したがって、例え1教科1カ月だけ予備校の講義を受けただけでも、大学受験のノウハウを吸収できるはずです。

まとめ

独学受験生は、予備校を使った受験生と比べると、大きなハンディキャップを負っています。そのため、できれば予備校を使ったほうがよいでしょう。特に難関大学を狙っている人の場合、予備校は強力な助っ人です。
しかし、現代の日本は高度な情報社会です。欲しい情報は簡単に、無料または安価で手に入ります。大学受験に関する情報も、無料もしくは安価で入手できます。そうした情報を活用すれば、ハンディを埋めることもできるでしょう。
そして、高校教師は生徒(受験生)から頼られることを喜びとしています。自分の教え子が、事情があって予備校や塾を使わずに大学受験に挑もうとしていれば、惜しみなく手助けしてくれるでしょう。
教師を頼り、公共のものやネットなどの無料または安価なサービスをフル活用すれば、独学でも大学受験に成功できるはずです。

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