受験関連コラム

大学受験で「調査書」が必要なわけ/合否に与える影響などを徹底解説!

大学への出願に際して、ほぼすべての場合に必要なのが「調査書」です。「調査書」は、在学している(もしくは在学していた)高校が発行してくれるものですが、なぜ「調査書」が必要なのでしょうか。また、「どんなことが書かれているのか」「調査書が合否にどんな影響力があるのか」など、気になっている人も多いかもしれません。

ここでは、大学側が受験生に「調査書」を提出させるわけや、一般入試・推薦入試における「調査書」の扱い、「調査書」を発行してもらう際の注意点などを含め、受験生にぜひ知っておいてもらいたい内容を解説していきます。

大学を受験する際は「調査書」=「内申書」が必要

大学受験には、「調査書」の提出が義務付けられています。これは、「高校在学時にどのような学習態度であったか」「どのような学校生活を送っていたか」などを記した書類のことで、大学側が合否を判断する際の参考資料の一つです。

「内申書」とも呼ばれる理由は、各教科の成績を5段階評価で点数化した「内申点」がこの調査書に含まれるから。なかには、「調査書」の提出が必要でない大学もありますが、ごく少数にとどまっています。

「調査書」からわかること

では、具体的に「調査書」からどのようなことがわかるのでしょうか。「調査書」に記入されているのは、高校在学中の学業成績や出欠状況、生活のありようや行動の状況など。学業成績としては、高校在学中に履修した教科や学年ごとの評定、修得単位数などです。

他にも「指導上参考になる諸事項」として学習時の特徴や特技、部活動・ボランティア活動、取得済みの資格などを記載する欄があります。また、修得単位数、欠席日数などもこの「調査書」から確認できます。

「調査書」提出が大学入試に必須とされるわけ

ほぼすべての大学で「調査書」の提出が求められるのは、「当事者が修得済みの単位数と欠席数から、高校を卒業するだけの規定数を満たしているか」を確かめるためです。高校を卒業するには、一定数の単位を修得し一定の出席回数がなければなりません。

これらが規定数を満たしていない場合は、高校を卒業できず、大学受験資格が得られない可能性があります。大学としては、調査書から「受験生が高校を卒業する見込みがあるか」「大学を受験する資格があるか」を判断しているわけです。

「調査書」で合格が左右される?

受験時に、ほぼ必ず提出しなければならないとはいえ「調査書」で合否が左右されることはあるのでしょうか。ここでは、一般入試と推薦入試、それぞれに際しての「調査書」の影響力を見ていきましょう。

一般入試の場合はボーダーラインにいるときに影響あり

一般入試の場合は、試験の結果だけを見て判断されることが大半です。そのため、「調査書」の内容が合否の判断に影響を与えることはほとんどないといってよいでしょう。しかし、試験の点数がボーダーライン上にあったり、同じ点数をとった受験生がたくさんいたりする場合、「調査書」の評価で合否を判断することがあります。

つまり、同じような点数をとった学生の中から、「調査書の内容がよい学生を選び取る」ということです。こういったケースでは、調査書の内容を点数化し、評価点に加えています。こうして評価点となるものが「内申点」です。

ただし、内申点による加点を行う場合は、大学の募集要項にあらかじめ記載されている必要があります。募集要項に「調査書の内容を合否判定の材料とする」旨の記述がない場合は、内申点を気にかけなくても大丈夫です。

推薦入試の場合は内申点で合否が決することも

一方、推薦入試やAO入試を受ける場合は、「調査書」の内容が合否に大きな影響を及ぼす可能性があります。「調査書の内容をどのぐらい点数に反映するか」は、大学によって異なりますが、一般入試と比べると「調査書」の重要性は段違いです。

推薦入試やAO入試での合格を目指す人は、一般入試での合格を目指す人以上に学業成績や出席回数に気を配る必要があります。ボランティア活動をしたり、さまざまな資格試験に挑戦したりするなどして、「調査書」の内容を充実させるのも一つの方法です。

推薦入試・AO入試での合格を目指している人は、志望校の募集要項に目を通し、「調査書の内容にどのくらいの重きをおいているか」を確かめておきましょう。

「調査書」を発行してもらうには

では、実際に「調査書」を発行してもらうには、どのような手順を踏まねばならないのでしょうか。ここでは、現役生・浪人生それぞれの立場で「調査書」を発行してもらう方法、「調査書」を発行してもらう際に注意すべきポイントについて、わかりやすく解説していきます。

現役生の場合は在籍している高校に必要枚数を申し込む

現役生の場合は、在籍している高校に必要枚数を申し込めば、高校の教員が志望校に郵送などで提出してくれます。受験生サイドで細かな手続きをする必要はありません。「調査書」の提出は、2022年に実施される大学受験から、すべてのケースにおいて電子化するとの方針を文部科学省が示しており、郵送で大学に届けられるのも2021年の大学入試までとなっています。

浪人生の場合は出身高校に依頼する

浪人生の場合は、出身高校に「調査書の発行」を依頼しなければなりません。ただし、申し込めばすぐに用意できるものでもないため、事前に連絡しておきましょう。事前連絡の際に伝えるべきは以下の項目です。

・氏名
・卒業年度
・「調査書」を必要とする理由
・必要な「調査書」の枚数

また、発行してもらえる時期や発行に際しての手数料などについても確認しておきましょう。受け取り方は、高校によってもさまざまです。直接受け取りに行ってよい場合もあれば、郵送に対応してくれる場合もあります。

高校によっては、インターネットで発行申請を受け付けているところもあります。受け取り方法が選べるのであれば、より手間を省ける方法を選択するようにしましょう。

「調査書」は受験する大学ごとに必要

受験生は、大学1校につき1枚の「調査書」を用意しなければなりません。開封した「調査書」は無効となるため、コピーをとって使うわけにはいかず、5校受ける場合は5枚、10校受ける場合は10枚発行してもらうことになります。受験する大学数を確かめ、必要枚数を確実に伝えることが重要です。

発行までに時間や発行手数料がかかる場合も

生徒数が多い高校の場合は、毎年何千枚もの「調査書」を発行することになります。それだけの枚数を用意するのですから、何週間かかかっても不思議ではありません。発行してもらうのを待っているうちに出願の締め切りがきてしまわないよう、時間の余裕をもって申請しておくことが大切です。

望ましいのは、出願の1~2ヵ月前。私立大学の一般入試なら12月上旬までに、国公立大学の2次試験なら1月中に発行申請しておきましょう。また、高校によっては「調査書」の発行に手数料がかかる場合もあります。現役生の場合も、手数料の有無について確かめておけば安心でしょう。

何枚か余計に申し込んでおこう

先に説明したように、「調査書」は1校あたり1通必要です。発行するまでに時間がかかることを見越して、受験校の数より何枚か多く申し込んでおきましょう。予備の「調査書」があれば、「誤って開封してしまった」というトラブルにも対応できます。

また、試験結果がかんばしくない場合にはすぐ追加出願も可能です。出願前に「調査書」が間に合わずに受験を断念する事態を避けるためにも、もしものときに備えた準備が必要になります。

大学入学共通テストを受けるために「調査書」は必要なし

私立大学や国公立大学の受験には「調査書」が必要ですが、大学入試共通テストを受ける場合は「調査書」を用意しなくても大丈夫です。大学入試センターが配布している受験案内には、「出願資格を証明する書類」が必要だとされていますが、「調査書」はこれらの書類に含まれていません。

大学入学共通テストの受験に際しては、現役生なら証明書は不要です。浪人生の場合は、出身学校長が発行した卒業証明書の原本が必要になりますので、これも事前に準備しておきましょう。

まとめ

この記事では、受験時にほとんどの大学で必要となる「調査書」について解説しました。「調査書」に記載されている内容は、高校在学中の学業成績や修得単位などで、一般入試に際してはほとんど影響力がありません。

しかし、推薦入試やAO入試においては調査書の評価が合否を左右する可能性もあるため、日ごろのテストで確実に点数をとることを心がけましょう。また、浪人生が「調査書」を手に入れるためには出身校に依頼し、発行してもらう必要があります。

「調査書」を発行するのには、時間がかかる場合もあるため、できるだけ余裕をもって早めに依頼したり、受験する大学数に何枚かプラスして依頼したりしておくことが大切です。

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