大学受験を独学で進めるリスクと注意点

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予備校に通わずに、独学で大学受験に挑む高校生や浪人生がいます。そのなかには、独学で志望大学の合格を勝ち取る人もいます。しかし、そのような成功者はほんの一握りであり、独学受験は「リスクが高い」といえます。すべての人にすすめることはできません。大学入試を専門に研究している予備校に通うことは、受験リスクを減らします。

それでも、さまざま事情から予備校に通うことを断念しなければならない受験生もいるでしょう。そのような人は、独学受験のリスクと注意点をしっかり理解しておいてください。そうすれば、自分が一握りの成功者になることができるでしょう。

独学による大学受験とは

独学による大学受験とは、予備校や塾に通わずに、また家庭教師を雇うことなく、入試に挑戦することをいいます。予備校も塾も家庭教師もお金がかかったり、都市部に集中していたりするので、どうしても独学で挑戦しなければならないケースは出てきます。

独学受験に挑戦する人は貪欲になりましょう。使えるものは何でも使うようにしてください。例えば、参考書と問題集は贅沢に買いそろえましょう。

また、インターネットの受験サイトや勉強サイトを有効に活用してください。受験生を支援する人が世の中にたくさんいて、そのような人たちは無料の教材や低額の資料をさまざまな形で提供しています。

独学受験生はそのような教材を集めてください。そのためには情報収集は欠かせません。インターネットで小まめに調べるようにしましょう。高校の先生も頼りにしてください。独学受験生ほど、多くの「武器」をそろえて「味方」を増やしましょう。

独学のリスク

独学受験のリスクには次のようなものがあります。
・受験テクニックを身につけるチャンスが減る
・モチベーションを高めることが難しい
・ペースをつかめない
・行き当たりばったりの勉強になりがち

どれも重要なのでひとつずつ解説します。

リスク1:受験テクニックを身につけるチャンスが減る

独学受験リスクのその1は、受験テクニックを身につけるチャンスが減ることです。予備校の講師は、大学入試の研究を専門にしています。そのスキルはあまりに高度で、大学のなかには予備校に入試問題の作成を依頼しているところがあるくらいです。

そして、予備校講師は常に、最短ルートで入試問題を解く方法を考えています。最も少ない労力で偏差値を高める学習法を考えています。独学受験生は、こうしたノウハウを手に入れる機会がありません。

また、予備校は受験生の学力レベルに応じてクラス分けをしています。学力が低い受験生には基礎を教え、学力が高い受験生には難問の解き方を教えます。しかし、公立高校ではそうはいきません。公立高校では、生徒の学力が大体同じになるようにクラス分けしていきます。そのため、ひとつのクラスには、勉強ができる人とできない人が必ずいます。

そして教師は、学力が劣っている生徒に合わせて勉強を教える傾向にあります。公立高校が、偏差値が高い生徒の学力を伸ばすことを軽視しているわけではありませんが、それよりも、落ちこぼれをつくらないことに注力しているからです。

リスク2:モチベーションを高めることが難しい

予備校に通って入試に合格した人の多くは、「予備校はモチベーション維持に役立った」と振り返ります。独学受験のリスクその2は、モチベーションの維持が難しいことです。

予備校に通うとなぜ勉強モチベーションが落ちにくいのかというと、予備校講師が「叱咤激励」してくれるからです。予備校講師は、受験生の弱い心を知り抜いています。また、勉強をサボっていることも、巧みに察知します。

受験生の弱さやサボりがみえたとき、予備校講師は危機感をあおったり励ましたりします。受験勉強は自分との闘いであるだけに、叱咤激励してくれるサポーターの存在は貴重です。
独学ではそのような支援者を持つことができません。

リスク3:ペースをつかめない

1年という長期に及ぶ受験期間を、毎日100%の力を出し切ってすごすことはできません。受験生はペース配分に気を使う必要があります。

マラソン選手もペース配分をとても重視しています。一流のマラソン選手になると、ひとりで走るより、自分に合ったペースをつくってくれる人と一緒に走ったほうがタイムを縮めることができます。受験も同じです。

予備校に通っていると、自分と似たような偏差値で、自分の志望大学と同じ大学を狙っているライバルたちがいつも周囲にいます。彼らのペースより自分が遅れていれば、ペースを上げることができます。彼らのペースより自分が進んでいれば、もうひとつ上のレベルの大学を狙うことができます。独学受験生では、このようなペースの比較ができません。

リスク4:行き当たりばったりの勉強になりがち

ペース配分ミスは、行き当たりばったりの勉強によっても生じます。例えば、英語が得意な受験生は、つい英語ばかり勉強したくなります。好きな教科は成績が上がりやすく、勉強の集中力が落ちないので「気持ちがいい」からです。

しかし、得意で好きな教科は、時間が経つと成績を上げづらくなります。受験勉強の学力は、一直線の右肩上がりで上がるものではありません。学力が上がると、上昇率が鈍化します。
ところが、受験では得意科目の1点も、苦手科目の1点も同じ価値です。

得意科目がある程度仕上がったら、苦手科目に注力したほうが合格に近づくことができます。苦手科目の偏差値はまだ低いはずです。偏差値が低いと、短い勉強時間で学力を上げやすくなります。

受験が終盤に差し掛かると、得意科目では5時間勉強しても1点しか上がらないかもしれません。しかし、苦手科目を5時間勉強すれば10点上がるかもしれません。独学だと、こうしたアドバイスをしてくれる人が近くにいないので、どうしても「戦略なき闘い」になってしまいます。それは大きなロスを生むことになります。

低偏差値大学なら十分可能だが「誘惑に負けないで」

ここまで、大学受験を独学で乗り切ることが、どれだけ大変であるかをみてきました。しかし、独学の最も大きな落とし穴は「このくらいでいいかな」という誘惑です。誰でも臨めば大学に入学できる状態のことを、大学全入時代といいます。日本の受験界は、ほぼ大学全入時代に突入したといわれています。

独学で非効率な勉強しかできず、学力が上がらなくても、大学を選ばなければ、とりあえず大学生になることはできます。そして法律上は、東大を卒業しても、低偏差値大学を卒業しても「大卒」であり「学士」になることができます。

しかし、実際に社会に出ると、就職先の企業のレベルや生涯年収、ステータス、周囲の反応などで、高偏差値大卒者と低偏差値大卒者の差はくっきりと出てきます。ところが受験生では、そのような「社会の大人の事情」を見抜くことはできないでしょう。それでつい、目先の受験勉強のつらさに負けて「まあ、大学生になれるのであれば、どこでもいいか」と思ってしまうのです。

予備校に通っていれば、誘惑に負けそうになったとき、ライバルたちの必死な顔をみたり、講師から叱咤激励を受けたりすることで乗り越えることができます。独学受験生は強い心を持って、独力で誘惑に打ち勝たなければなりません。

独学で高偏差値大学を狙う人はここに注意して

独学で高偏差値大学を狙う受験生は、これから紹介する注意点をしっかり押さえておいてください。

高校の先生を頼ろう

予備校にも塾にも通わず、家庭教師にも頼らない以上、独学受験生に勉強を教えてくれる人は高校の先生だけになります。先生に徹底的に頼りましょう。

まず、授業をしっかり受けてください。先生も人情で動く部分があります。自分の授業に集中している生徒には「もっとよく教えてあげよう」と思います。そして職員室の「常連」になりましょう。放課後に職員室に行って先生をつかまえて、授業でわからないことを質問してください。常連になることで、先生が時間をつくってくれるようになります。

先生によっては部活の顧問をしているので、放課後に質問できる時間が限られる場合があります。そのときは、授業と授業の間の休み時間を使ってください。休み時間は短いので、1項目しか質問できないでしょう。それでも質問することで、先生に必死さが伝わります。
先生は必至な生徒を救いたいと思います。

先生に質問をするときは、事前に質問内容を整理しておいてください。「なんとなく全体的にボワーっとわからないから教えてほしい」といった質問の仕方は、先生の気持ちをくじいてしまいます。わからない項目を明確にしましょう。参考書の説明文が理解できない場合は、付箋(ふせん)を貼っておきましょう。質問をメモ書きにして先生に渡して、翌日聞きに行ってもいいでしょう。

友達や先生にモチベーションを注入してもらおう

受験友達は大切にしてください。わからないところを教え合ったり、優れた参考書情報を交換したりすることで、学習モチベーションを高めることができます。

また、高校の先生にも、定期的に「気合」を注入してもらいましょう。受験勉強では、かなりの高い確率でスランプに襲われます。「勉強しなければならない」と思っていても、どうしても参考書を開く気になれない時期があります。

先生は「受験の大先輩」ですので、受験生のスランプも経験しているはずです。スランプの相談に行けば、乗り越え方を教えてくれます。

そして先生から「独学で大学受験に挑むのは大変だろうが、頑張れよ。君が合格したら、とても嬉しいよ」と言われたら、スランプを脱出できるかもしれません。「友達に負けない」「先生のためにも合格したい」という気持ちは、勉強モチベーションに直結します。

学習スペースを確保する

予備校に通うメリットのひとつに、学習室を確保できることがあります。独学受験生は、学習スペースを探すことが大きな課題になります。高校の教室や会議室を借りられるのであれば、積極的に利用しましょう。

また、図書館によっては、受験生向けに学習スペースを用意しています。受験生に寛容な喫茶店もあります。そのような喫茶店は、混雑しない時間であれば、コーヒー1杯で長居させてくれます。ただ、店主に勉強する許可をもらい、混雑し始めたら店を出る気遣いを忘れないようにしたいものです。

受験サイトを使おう

受験関連や学習関連のサイトは、多く存在します。そしてそのほとんどが無料です。スマホやパソコンをみながら勉強をすれば、質の高い解説を聞くことができます。ただ、ネット情報は嘘も多いので注意してください。役に立たないと思ったら、すぐにサイトを離れましょう。

また、無料サイトで体系的に学習することはほぼ不可能です。「苦手教科の基礎を学ぶ」「江戸幕府を集中的に覚える」といったように、テーマを明確に定めてから適切な受験サイトを探しましょう。

参考書と問題集を贅沢にそろえよう

独学受験生は、参考書と問題集を贅沢にそろえましょう。参考書と問題集は、相性が重要です。得意科目の参考書であれば、解説文が少なく、網羅している項目が多いほうがよいでしょう。苦手科目の参考書は逆に、解説文が「くどいくらい」丁寧なほうがおすすめです。

参考書と問題集の相性は、書店での立ち読みだけでは判断できません。そこで、同じ教科の参考書や問題集を複数冊買って、マイ参考書・マイ問題集をみつけてください。自分に合わない参考書や問題集を買ってしまったら、受験友達と交換してもよいでしょう。

模試はすべて受けるつもりで

予備校を使わない独学受験生でも、模試だけは受けてください。独学受験生にとって模試は、「今の自分の学力」を知る数少ない機会です。これを逃すと、自分が受験生全体のどの位置にいるのかわからなくなってしまいます。また、模試は本番に似た緊張感を味わうことができます。そして、模試の復習を徹底することで、大幅な学力アップを期待できます。

まとめ

独学受験はリスクが高いので、あまりおすすめできません。しかし、予備校に通えない事情がある方は、ぜひここで紹介したリスクと注意点を理解したうえで、対策を講じてください。

予備校に通おうと独学だろうと、受験は自分との闘いです。予備校に通う受験生と独学受験生の差は「武器」と「サポーター」の差です。その差さえ埋めることができれば、栄冠をつかむことはできます。頑張ってください。

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