大学受験の仕組みは複雑、国立・私立それぞれ知っておきたいこと

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大学受験の仕組みは複雑です。
例えば国公立大学と私立大学では受験方法が大きく異なります。しかも国公立大学のなかですら、「センター試験+2次試験」を基本としながらも各大学が独自色を打ち出しています。 そして、ようやく定着してきたセンター試験ですが2020年1月の実施で廃止され、2021年1月は大学入学共通テスト(以下、共通テスト)が行われます。受験生は、志望するすべての大学の入試制度を調べましょう。その調査をする前に本格的な受験勉強に取りかからないほうがいいかもしれません。大学受験の仕組みは勉強戦略に大きく影響するからです。

大学受験の仕組みが複雑なのは「受験生のため」

大学受験の最もシンプルな仕組みは、入試を受験生に受けさせて、合格点に達した人を入学させる方法です。もしくは、試験結果を高得点者から順に並べ、募集人数と同じ数の順位の人までを合格にする方法です。このシンプルな方法でも優秀な学生を集めることができそうですが、なぜ大学受験は年々複雑化しているのでしょうか。

多種多様な「可能性と経験と勉強」を正当に評価するため

大学側は、受験生のためを考えて新たな入試ルールをつくってきました。新しいルールが増えすぎて複雑化したのです。ではなぜ、新たな入試ルールが受験生のためになるのでしょうか。

受験生たちは可能性に満ちています。そして、可能性の種類は多種多様です。また、受験生たちは高校3年生までの約20年間、さまざまな経験と勉強を積んできました。その経験と勉強の内容も多種多様です。

しかし、従来の入試は、教科書の内容を覚えているかどうかを問うものや、教科書の内容を応用して難易度が高い問題が解けるかどうかを試すものばかりでした。つまり、多種多様な受験生に対し、その選抜方法は一様だったのです。

これでは、多種多様な可能性と経験と勉強を正当に評価することはできません。子供たちには「個性的であれ」「独自性を持ちなさい」「多様性はよいこと」と教育しておきながら、大学受験ですべての受験生たちを「1本のものさし」で測るのは矛盾しています。つまり大学側は、多種多様な子供たちの能力を測るために、「多くのものさし」を用意しようと考えたのです。

大学側が生き残りをかけて優秀な学生を集めるため

また大学側には、受験の仕組みを変えたり複数の受験の仕組みを用意したりしなければならない、別の理由があります。大学は今、優秀な学生を集めようと必死になっています。

少子化によって受験生が減ったため、大学のブランドさえ選ばなければ希望者全員が入学できる大学全入時代になりました。大学は国立でも私立でも税金の補助なしには運営できませんが、全員入学どころか定員割れが起きている大学に、税金を投入する意義があるのかという議論が起きています。

つまり、社会で活躍できる人材を育成できる大学以外、必要でなくなる時代が到来するかもしれないのです。優秀な人材を輩出するには、元々ポテンシャルが高い受験生を集める必要があります。そこで、他の大学が見抜くことができない才能をみつける方法が必要になりました。それがこれまでになかった受験の仕組みを生むことになったのです。

大学受験の仕組みが複雑化したことで、受験生は自分の強みを発揮しやすい入試方法を選択できるようになりました。また大学側は、個性的な才能や多様な才能を持った学生を集めることができるようになったのです。

センター試験は2020年1月が最後。2021年1月は共通テストスタート

大学受験の複雑化の代表格は、センター試験から共通テストへの移行でしょう。共通テストは2021年1月(2020年度)からスタートします。
令和時代の最初で最後のセンター試験の概要と、令和初の共通テストの概要を紹介します。

2020年1月のセンター試験の概要

最後のセンター試験は、本試験が2020年1月18日(土)と19日(日)に行われます。追試験・再試験はその1週間後に行われます。
出題される試験は、6教科30科目で以下のとおりです。

国語
1)国語、80分、200点(内容:近代以降の文章、古文、漢文)

地理歴史
2)世界史A、1科目選択:60分、100点、2科目選択:130分(解答時間は120分)、200点
3)世界史B、同上
4)日本史A、同上
5)日本史B、同上
6)地理A、同上
7)地理B、同上

公民
8)現代社会、1科目選択:60分、100点、2科目選択:130分(解答時間は120分)、200点
9)倫理、同上
10)政治・経済、同上
11)倫理、政治経済、同上

数学
12)数学Ⅰ、60分、100点
13)数学Ⅰ・数学A、同上
14)数学Ⅱ、同上
15)数学Ⅱ・数学B、同上
16)簿記・会計、同上
17)情報関係基礎、同上

理科1
18)物理基礎、2科目選択、60分、100点
19)化学基礎、同上
20)生物基礎、同上
21)地学基礎、同上

理科2
22)物理、1科目選択:60分、100点、2科目選択:130分(解答時間は120分)、200点
23)化学、同上
24)生物、同上
25)地学、同上

外国語
26)英語、筆記:80分、200点、リスニング:60分(解答時間は30分)、50点
27)ドイツ語、筆記:80分、200点
28)フランス語、同上
29)中国語、同上
30)韓国語、同上

30すべての試験は選択式で、解答はマークシート方式です。受験生は30科目の試験のなかから志望大学・学部が指定する試験を受けます。
理科には「基礎」がつく1と、つかない2があります。外国語では英語だけにリスニングが課されています。

国公立大学は原則、センター試験を1次試験として、大学独自の2次試験と合わせて合否を決めます。なかにはセンター試験で一定水準に達していないと2次試験の受験ができないところもあります。

また、私大でも9割はセンター試験を使っていて、「センター試験のみ」と「センター試験+独自試験」の2パターンがあります。

共通テストの概要(判明している部分のみ)

2021年1月に初めて行われる共通テストについては未定の部分があるので、判明している部分のみを紹介します。センター試験を廃止して共通テストに移行するのは、思考力と判断力と表現力を評価するためです。試験内容を変えるだけでなく、名称まで変更するところに、文部科学省の本気度が現れています。

共通テストでは、国語と数学に記述式問題が、それぞれ3問ずつ出題されます。国語では100字程度の執筆が求められます。英語はとりあえず、センター試験と同じ出題形式になりそうです。「とりあえず」というのは、文部科学省は共通テストの英語の試験を中止したいと考えているからです。

文部科学省は、大学受験の英語は「読む、聴く、話す、書く」の4つの技能を判定したいと考えています。センター試験では読むと聴くの判定をしてきました。ただ、話すと書くの技能の判定は、約50万人も受ける共通テストでは実施できないと判断しました。

そこで文部科学省は、すでに4技能を判定している英検やTOEFLなどの民間資格・検定のなかから適切なものを選んで、大学受験の英語の判定に使おうと考えているのです。共通テストでは「とりあえず」2024年1月の共通テストまで英語を出題します。共通テストの英語試験を使うのか、それとも民間資格・検定を使うのかは、大学側の判断に任せることにしました。

新しい高校指導要領で学んだ高校生が受けることになる2025年1月の共通テストからは、さらに中身が変わります。このタイミングで理科、地歴、公民に記述方式が導入される見込みです。また、国語の記述式の採点方法は点数方式ではなく、3~5段階の評価になる予定です。点数方式だと「1点刻みの差」が生じてしまうためです。

記述式の採点は、いくらルールを厳格に決めておいても、採点者の裁量に差が生じてしまいます。2人の受験生が一字一句変わらない記述をしても、片方の人には5点がつき、他方の人には4点がつく可能性があるわけです。大学入試では1点の差で合否がわかれることが珍しくないので、そのような事態を回避する必要があります。それで3~5段階評価を採用することにしたのです。

また、今回は採用が見送られましたが、英語と理科を組み合わせた問題や、共通テストを1年に複数回実施するアイデアも出されました。
例えば、理科の問題を英文で出題すれば、英語で理科を考える力を養うことができます。
共通テストを1年に複数回実施すれば、大学受験の「一発勝負」の色合いを薄めることができます。受験生の体調やプレッシャーやストレスを考えると、希望の大学に挑戦する機会は多いほうがよさそうです。

センター試験のための勉強が共通テストで無駄になるわけではない

2020年1月のセンター試験を受けた後に浪人した受験生は、2021年1月は共通テストを受けなければなりません。この場合、浪人してからあらためて共通テスト対策に取り組まなければなりません。

一方で、現役生として2021年1月の共通テストに臨む受験生は、いまから共通テストの対策に集中することができます。つまり2021年1月の共通テストは、浪人生が不利になる可能性を否定できません。そして暗記力だけを頼りに点数を稼いできた人も、共通テストでは不利になるでしょう。

しかし、スタートしたての共通テストは、激変緩和策として、センター試験の傾向を多く引き継ぐだろうといわれています。また、仮に共通テストが本格稼働し、思考力と判断力と表現力が問われる内容になったとしても、試験で問われる学問体系の根幹は変わることはありません。

試験での問われ方や問題へのアプローチは変わっても、追い求める真理はセンター試験向けの勉強でも共通テスト向けの勉強でも変わりません。

国公立大学の受験の仕組み

一般入試で国公立大学を狙う受験生は、1月中旬にセンター試験(2021年からは共通テスト)を受け、2月下旬~3月下旬に各大学の2次試験を受けることになります。2次試験には、2月下旬に行う前期日程試験、3月上旬に行う中期日程試験、3月中旬に行う後期日程試験の3種類があり、この日程は各大学で異なります。

この日程も複雑ですが、受験生は最大三つの国公立大学を受験できるのでメリットが大きい仕組みといえます。難関大学は前期に集中しているので、中期や後期は滑り止めにすることができます。

また、国公立大学の多くは、センター試験で5教科以上を課しています。試験教科が増えると「受験勉強が大変になる」と考えられがちですが、一概にそうとは言い切れません。それは、国公立大の試験教科が多くなることで、試験教科が少ない私大に流れる受験生が増えるからです。国公立大学だけを狙っている受験生にとってはライバルが減ることを意味します。

その一方で、国公立大学が本命の受験生は、滑り止めや腕試しで私立大学を受験します。したがって、私立大学だけを狙っている受験生はライバルが多くなります。国公立大学狙いの受験生には、センター試験の教科の多さは「バリア」になります。

センター試験と2次試験の配点比率は大学によって大きく変わってきます。例えば、東大はセンター試験「1」に対し2次試験「4」という割合で、2次試験を重視しています。一方名古屋大学はセンター試験「9」に対し2次試験「6」という割合なので、センター試験を重視しています。

センター試験と2次試験の配点比率は受験勉強戦略に大きく関わるので、志望大学・学部についてしっかり調べておきましょう。

私立大学の受験の仕組み

私立大学の受験は3教科を課すところがメーンですが、なかには2教科しか課さない大学もあります。また、センター試験だけで合否を決めるところと、国公立大のように2次試験を課す私大もあります。私立大の場合、推薦入試でもセンター試験の受験が必要な場合があります。ただ慶應義塾大学はセンター試験を課さず、独自の入試のみで選抜しています。

まとめ

大学受験の仕組みを把握する前に受験勉強を始めないほうがよいでしょう。大学によって受験の仕組みがかなり異なるので、志望大学が複数ある人や、滑り止め受験をする人は、該当する大学の受験の仕組みをすべて調べてください。受験の仕組みを把握することで、効率的な勉強が可能になります。

さらに、受験の仕組みは自分1人で確認するだけでなく、高校の教師や予備校の講師、友人などにも確認してもらいましょう。大学によっては募集要項の文章が難解で、例外規定を見逃してしまう可能性があるからです。受験の仕組みを勘違いして勉強を始めてしまうと、大きなロスになってしまいます。

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