【大学受験】いつから本格的に勉強を始めるべきか

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大学入試に向けた受験勉強は、いつから始めればよいのでしょうか。「早ければ早いほどよい」と考える人がいるかもしれませんが、その答えは、あまり意味がありません。この答えでは「いつ」がわかりませんし、小学生から大学受験に備えている人が必ず高偏差値大学に入っているわけではありません。

受験勉強は、ほとんどの人にとって苦痛になりますが、苦痛は長続きしません。そのため、スタートが早すぎたために勉強嫌いになり、入試に失敗することもあります。ただもちろん、遅すぎるスタートは、確実に受験を失敗に導きます。受験勉強の最適なスタート時期を考えてみましょう。

普段の勉強と受験勉強の違い

この記事では、高校生の普段の勉強と受験勉強を明確にわけて考察していきます。普段の勉強とは、定期試験に備えた勉強のことです。具体的には、学校で習ったことを教科書を使って復習したり、学校でこれから習うことを事前に教科書を使って予習したりすることです。一方の受験勉強は、志望大学の入試にマッチした勉強のことです。具体的には、参考書、問題集、過去問を使った勉強になります。

受験勉強の特徴

受験勉強の特徴は、入試にマッチした勉強「しかしない」ことです。例えば、志望大学や滑り止め大学が入試で日本史を課さない場合、受験勉強では入試は勉強しません。もちろんその場合でも、高校での勉強では日本史も勉強しなければなりません。

そして受験勉強では、教科書に載っていないことも勉強しなければなりません。大学入試では建前上、高校で習うことを出題することになっていますが、難関大学や有名大学の入試では教科書の範囲を超えた問題が出ます。それは、難関大学の入試で、高校で習ったことしか出題しないと、上位陣がすべて満点を取ってしまい選考できないからです。それで高偏差値大学を狙う人は、教科書を大きく逸脱した内容も学習しなければなりません。

長期間維持できる暗記が必要

受験勉強と普段の勉強では「記憶期間」も違います。例えば、大学入試では、高1で習うことも出題されます。そのため、高1の4月で覚えたことを3年間覚えておかなければ入試で解答できません。もしくは、高1で習ったことを、あらためて高3のときに学び直す必要があります。

しかし、普段の勉強はそこまで長期に記憶する必要がありません。極端な例ですが、定期試験の前の晩に覚えたことでも、運がよければ得点することができます。

低難易度大学を狙う人はいつから始めるべきか

受験勉強をスタートさせる時期は、高偏差値大学を狙うのか、難易度が高くない大学を狙うのかでも違ってきます。高偏差値大学を狙う場合のほうが、スタート時期を決めることが難しいので、先に低難易度大学を狙う人が受験勉強を本格化させるタイミングを探っていきます。

普段の勉強をしっかりしていれば高3・4月でよい

偏差値いくつを低難易度大学と呼ぶのかは人それぞれですが、ここでは、現在の学力で入れる大学より2ランク下の大学を受ける場合を想定しましょう。

もし、普段の勉強をしっかりしているのであれば、高3の4月から受験勉強を始めてもよいでしょう。6月までならば部活を続けても、合格できるかもしれません。

日本の大学は今、ほぼ全入時代に入っています。大学全入時代とは、入学希望者数が、入学定員を下回る現象のことです。私大のなかには、定員割れしているところもあります。そのような大学を狙えば、受験勉強はほぼ必要ありません。また、定員割れしている大学の推薦入学を選べば、実質的に受験勉強は必要ないでしょう。

模試は受けましょう

低難易度大学を第1志望にする場合も、模試は定期的に受けておきましょう。普段の勉強をサボっていないつもりでも、入試に必要な知識に「変換」されていないかもしれません。模試は、高校3年間のすべての学習範囲から出題されるので、入試に必要な知識を持っていないと解けません。2ランク下の大学を受けるといっても油断大敵です。

高1で受験勉強を本格化させる意味

それでは次に、高偏差値大学を狙う人が、いつから受験勉強を本格化させたらよいのか考えてみます。

最も標準的なパターンは、高1スタートです。高校に上がったばかりの新鮮な気持ちのときに第1志望大学を決めて、そこに「絶対に入る」と決意すると同時に、予備校に通い始めたり、参考書と問題集を買い集めたりします。

高校入学と同時にスタートさせるからよい

高1から受験勉強を始めることで、予備校でも高校でも「受験友達」ができます。受験は自分との闘いなので、サポートの有無は結果に大きく影響してきます。受験友達は有力なサポーターになります。

受験友達の成績が上がれば焦りが生まれますが、焦りは勉強モチベーションになります。また、自分の成績が受験友達の成績より上がれば、受験友達に勉強を教えてあげることができます。教える行為は記憶の定着を促進しますし、確実に覚えていないことにも気づかせてくれます。

そして受験友達は、自分がスランプに陥ったときに助けてくれるはずです。また、自分も、受験友達を助けることができます。受験友達との連携は、自分1人では到達できない高みにつれていってくれるでしょう。

また、高1から受験勉強を始めると、家族や高校の教師や予備校講師が応援してくれます。大人たちは、頑張る子供を応援します。例えば、4月の高1生が「東大に入りたい」と宣言して受験勉強に取り組み始めたとします。それが、現時点でどれだけ無謀な目標であっても、家族や高校の教師や予備校講師たちは「3年あればなんとかなるかもしれない」「東大合格に必要な学習方法を教えてあげよう」と思うでしょう。

そのサポートがあれば、仮に3年後に東大の偏差値に届かなくても、東工大や一橋大、早慶、上智・理科大、あるいはMARCHには届くかもしれません。

「早く始めればよい」というものではない

先ほど、受験勉強の開始時期の最も標準的なパターンは「高1スタート」であると紹介しましたが、高1では早すぎる高校生もいますので注意してください。それは集中力が続かない人です。高1で張り切って学年1位を取ったものの、高2、高3と進級するうちに次第に失速してしまう人はたくさんいます。

また、遊びと勉強の順番を間違えると、大学進学に悪影響を及ぼします。もし「高偏差値大学に入りたいけど、高校時代を勉強一色に染めるのは嫌だ。恋愛もしたいし部活もしたい、バイクにも乗りたい、旅行もしたい」と思っていたら、「遊び→勉強」の順に進めたほうがいいでしょう。

高1の1年間と高2の前半を遊び倒せば、残りの1年半を心置きなく受験勉強に捧げることができます。逆に、高校に入った直後から受験勉強をスタートダッシュさせてしまうと、高3になって急に「遊びたい」気持ちが募ってきてしまうかもしれません。受験勉強にとって「高3の1年間」は「高1の1年間」よりはるかに重要です。

高2で受験勉強を本格化させる意味

受験勉強は「理想は高1スタート」ですが「早ければ早いほどよいというわけではない」ということを確認しました。この2原則を踏まえたうえで、高2で受験勉強を本格化させる意味を考えていきましょう。

「脂がのった時期」をどうすごすか

高2は、3年間の高校生活のなかで、最も脂がのった時期といえるでしょう。高1のころはまだ「中学4年生」といった気持ちが残っているはずです。新しい生活にも、新しい友人にも、新しい部活にも、新しい勉強にも不慣れで、自分の立ち位置を探しているうちに高1の1年間がすぎてしまいます。

高3になるとみんなが受験勉強を本格化させるので、この時期に学習に力を入れても、ライバルとの差はなかなか縮まりません。高2なら、高校生活に慣れ、人生の目標が朧げながらみえてきて、その目標に向かって努力する気持ちも芽生えてきます。

この「何をするにも最良の時期」を、遊びに使わず、勉強に使うことで、ライバルたちのなかで頭一つ抜き出ることができます。高2でつくったアドバンテージ(優位性)を、他の人が追い抜くことは難しいでしょう。

受験本番の練習になる

高2で受験勉強を本格化させると、高3の受験本番の練習になります。
高3の1年間の標準的な学習スケジュールは、およそ次のようになります。
「4~6月:基礎固め」
「7、8月:新たな挑戦をして学力レベルを2~3ランク上げる」
「9~11月:応用問題と過去問の徹底」
「12、1月:スパート」
「2月:最後のダメ押し」
しかし、このとおりに進めることができる受験生はそれほど多くありません。それは、どこかでつまずいてしまうからです。

例えば、4~6月の基礎固めに失敗してしまうと、7、8月に入っても基礎固めを継続しなければなりません。すると、夏に学力レベルを2~3ランク上げることができなくなります。第1志望大学の選定は、7、8月のレベルアップを考慮して決めているはずです。そのため、7、8月のレベルアップに失敗すると、第1志望大学のランクを下げなければならなくなるかもしれません。

高2の4月から受験勉強を本格化させれば、高3生の標準的な学習スケジュールをなぞることができます。高2でスケジュールとおりに進めることに失敗しておけば、高3の受験本番で対策を取ることができます。

高3で受験勉強を本格化させる意味

高2の3月まで青春を謳歌して受験勉強を疎かにしてしまい、それでも高3の4月の時点で、高偏差値大学への憧れを消し去ることができなければ、猛チャージをかけましょう。 使えるものはすべて使ってください。少なくとも、予備校には通うようにしましょう。

予備校で高1から受験に専念してきた人を知る

高3の4月に予備校に入ると、尋常でない強い焦りを感じることができるはずです。そこには高1の4月からコツコツと勉強を続けてきた同学年生がいて、自分には、何を問われているのかすらわからない問題でも、彼らはスラスラ解いていきます。

この強い焦りは「普通に受験勉強を進めていたのでは間に合わない」ことを気付かせてくれるはずです。すると、次のことができるようになります。
1)勉強時間を長く取る
2)計画的に勉強する
3)効率よく勉強をする

東大に合格して「簡単だった」と言うことができる一握りの天才を除いて、高偏差値大学に合格するには、この3つが欠かせません。高3の4月から受験勉強を始めると、「この3つを実行する以外に道はない」という覚悟が生まれます。そして、この3つを徹底すれば「受験勉強・高3スタート」でも、高偏差値大学合格を勝ち取ることができるでしょう。この3つはとても重要なので、ひとつずつ解説します。

1)勉強時間を長く取ることの重要性

なぜ勉強時間を長く取る必要があるのでしょうか。それは、学力は、次の数式で算出できるからです。

・学力=勉強内容×勉強時間

勉強の内容がいくら素晴らしくても、勉強時間を取らないと学力は上がりません。そして、勉強内容が乏しくても、勉強にたっぷり時間をかけると、学力はある程度上がっていきます。

高3から受験勉強を始める人は「4月の自分」には、入試本番まで「もう3,340時間しかない」と思ってください。3,340時間は次の計算式で算出します。

・334日×10時間=3,340時間

センター試験(2021年1月から大学入学共通テスト)は1月に行なわれますが、入試は大体2月に行なわれます。そのため、4月の高3生には11ヵ月(334日=365日-31日(3月))しかありません。

また、1日24時間のうち8時間はしっかり睡眠を取ったほうがよいので、1日の活動時間は16時間です。16時間のうち、3度の食事、高校と自宅の往復、入浴や息抜きなどの雑事に計6時間を使います。すると、学校の授業と自宅学習の勉強時間は、1日最大10時間取ることができます。

受験勉強を高3から始める人は、「勉強時間を限りなく3,340時間に近づけることができれば合格できるかもしれない」と思ってください。

2)計画的に勉強することの重要性

3,340時間を有効活用するには、学習計画が欠かせません。それは、得意科目を勉強している時間は短く感じ、苦手科目を勉強しているときは全然時間が過ぎないからです。
そのため、無計画に勉強を進めていると、得意科目の偏差値は上がり、苦手科目の偏差値は上がらなくなります。

テストの点は、偏差値が上がるほど1点を取るのが難しくなります。偏差値が高い科目では、1点上げるための勉強時間が長くなります。偏差値が低い科目で1点を上げるのは、短時間の勉強で済みます。

入試は総合得点で合否が決まります。つまり、得意科目の1点も、苦手科目の1点も、合否判定においては同じ価値です。

入試が近づいてくると、得意科目に3時間かけて1点上げることを目指すより、苦手科目に3時間かけて10点上げることを目指したほうが合格に近づくわけです。こうした戦略を学習計画表に落とし込み、それを実行していくことをおすすめします。

3)効率よく勉強をすることの重要性

同じ時間勉強しても学力に差がつくのは、勉強内容が異なるからです。もう一度、学力の式を確認しましょう。

・学力=勉強内容×勉強時間

勉強内容を高めるには、適切な勉強をする必要があります。基礎固めが済んだら、速やかに応用問題や過去問に移行しましょう。応用問題に挑戦して歯が立たないことがわかったら、速やかに基礎に戻りましょう。

焦って基礎ができていないのに応用問題に挑戦したり、「解ける快感」を味わいたくて基礎問題ばかりやったりしていては、勉強内容は向上しません。
勉強は効率よく進めましょう。

まとめ

受験勉強を始めるタイミングを決めることは、高校生活を決めることでもあります。したがって、大学入試合格を高校生活の第1目標にする人は、高1の4月から受験勉強を始めましょう。

そうではなく、10代後半の若者にしかできない遊びを満喫したいなら、高2スタートや高3スタートを計画してみましょう。また、自分が「コツコツ型なのか」「短期集中タイプなのか」の見極めも重要です。コツコツ型は、長い時間を取ったほうがよいでしょう。短期集中タイプが受験勉強を早く始め過ぎると飽きてしまって学習モチベーションが落ちてしまいます。そして、第1志望大学の偏差値が高くなるほど、長い勉強時間が必要になります。

「ライフスタイル」「タイプ」「目標偏差値」の3つを考えて、受験勉強を始める時期を決めてください。

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