大学受験は英語力で決まる 英文法はまず「文型」をマスターしよう

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大学受験生のなかで「英語が苦手」という人は少なくないと思います。しかし、英語を克服しないことには、第1志望の合格を手繰り寄せることはできません。受験生たちの第1志望になるような大学はすべからく、英語の点数を重視するからです。

「英単語はある程度覚えた」という自覚があるのに、それでも英語の成績が伸びない人は、英文法の知識が足りないのかもしれません。語彙力が十分あれば、英文法の知識が加わることで、成績を大きく伸ばすことができます。

英文法が苦手な人は「文型」から始めてみましょう。「今さら文型なんて、時間の無駄」と思わないでください。文型を深掘りして勉強すると、驚くほど英語長文が見えてきます。

文型が見えていないから英語が見えない

英語を苦手にする多くの人は、「文型が見えていないから、英語が見えていない」状態にあります。

「なんとなく解いて、なんとなく正解できた」状態から脱しよう

英語が見えていないと、問題集を解いて仮に正答したとしても、「よし、この問題は克服した」という実感を得られないと思います。それは、英語が見えないと、なんとなく正解しているだけだからです。

その逆に、英語が見えている人は、たとえ試験の点数が低くても、あまり不安になりません。なぜなら、「今回の模試の英語の点数が悪かったのは、知らない英単語が多かったからだ。語彙力を増やせば、あの問題は解くことができた」と確信できるからです。

「文型の勉強を強化して」とアドバイスする理由

英文法をマスターすると、英語が見えるようになります。例えば、「英文法の知識はあるが語彙力が足りないAさん」と「英文法に自信がないが高い語彙力で問題を解いているBさん」がいて、どちらも英語の偏差値が50だったとします。このとき、Aさんのほうが早く偏差値60に達するでしょう。なぜなら、語彙力を伸ばすほうが、英文法をマスターするより簡単だからです。

Bさんが、英語の偏差値を60にするのは大変なはずです。なぜなら、英文法の知識があいまいなまま語彙力だけで問題を解いてきたので、同じ勉強を続けていても本当の英語の学力が身につかないからです。

もし自分がBさんタイプだったら、今このタイミングで文型の学習に取り組みましょう。文型さえしっかり押さえておけば、英文法が勉強しやすくなります。英文法の知識は、英語を見る力になります。文型の知識は、英文法学習の推進力になります。英文法強化は、文型から始めましょう。

「補語」の概念を理解すると「SVの次」が見える

英語が苦手な人は文型の勉強から始めるべきですが、だからといって「SVが第1文型で、第2文型はSVCで…」といったところまで遡る必要はありません。まずは「補語」の概念を理解しましょう。補語を理解できると、くっきりと「SVの次」が見えてきます。

英文法を複雑にしているのは「SVの次」

補語の説明をする前に、英文法を複雑にしているのが「SVの次」であることを解説します。 「SV」の英文は、例えば「Time flies.」です。主語と動詞だけで完結しています。ちなみにこの意味は「時間は飛ぶ(時というものは鳥が飛ぶように過ぎ去るのが早い)」となります。

SVはとても単純で、ここに難しさはありません。
しかし、SVは単純なため、多くの意味や複雑な意味を伝えることができません。それでは言語としては不十分です。言語の機能を高めるために、英文法では、受験生を悩ませる「CやらOやら」が出てくるわけです。

補語の概念を理解すると、「CやらOやら」などの「SVの次」が見えてきます。補語が理解できると、文型が無理なく頭のなかに入ってきます。

補語は主語を説明する

補語の役割は、主語を説明することです。
「京都はある」という日本語は「Kyoto is.」というSVの英文にすることができます。これだけでも立派な英文ですが、これだけでは、話者が伝えようとしていることがわかりません。

「Kyoto is.」だけでは「京都は架空の都市ではなく、実在している」という意味にも取れますし、「京都は大阪の隣にある」という意味も想像できます。また、「京都といえばすぐに歴史が想起されるが、現代でも存在感を保っている」という意味もありそうです。

つまりSVの文は、意味を確定しにくいのです。
そこで話者は、補語を使うことによって、自分が言いたいことを正確に表現する必要があります。

Kyoto is.

Kyoto is a quiet city.

「a quiet city」が加わりました。これこそが「SVC」のCであり、補語です。そして、補語が、主語である「Kyoto」を説明していることがわかります。
「Kyoto is a quiet city.」は、普通に翻訳すると「京都は静かな都市です」となりますが、これを英文法に忠実に翻訳すると「京都は静かな都市として存在している」となります。
「静かな都市」は「京都」を説明しています。

完全自動詞と不完全自動詞

補語の正体がわかると、完全自動詞と不完全自動詞が理解できるようになり、「意味を取るうえで最も重要な」動詞が見えてきます。be動詞を深く観察すると、完全自動詞と不完全自動詞の違いが理解できます。be動詞は両方の性質を持っているからです。

「京都は現存している」というニュアンスを伝えるときのbe動詞は完全自動詞になります。
Kyoto is.
この英文は、これで完結しています。このisは補語を必要としないので、動詞として「完全」な状態にあります。したがって、このときのbe動詞(is)は、完全自動詞です。

しかし、「京都は静かな都市です」と伝えたいのに、「Kyoto is.」で終わっていては「不完全」です。そのため、「京都は静かな都市です」と伝えるときのbe動詞(is)は、不完全自動詞です。ここでのポイントはこうなります。

・不完全自動詞のほうが、正確な意味や複雑な意味を伝えることができる

なぜなら、不完全自動詞は補語(C)を必要とするからです。そして補語が主語を説明するので、意味が正確になるわけです。不完全自動詞を深掘りしていきましょう。

be動詞型とbecome型

不完全自動詞には、「存在する」「その状態にある」という意味になるbe動詞型と、「~になる」という意味になるbecome型があります。それぞれ例文を紹介します。

<be動詞型の不完全自動詞を使った例文>
(sit):They sat quiet all the time.
(keep):I kept waiting for her for an hour.

sitやkeepをbe動詞に置き換えても意味はあまり変わりません。

<become型の不完全自動詞を使った例文>
(grow):She has grown much taller than her mother.
(come):It will come all right in the end.

growやcomeをbecomeに置き換えても意味はあまり変わりません。

上の4つの英文は、いずれも補語が主語を説明していることがわかります。
・quietはTheyの状態を説明している
・waitingはIの状態を説明している
・much tallerはSheの状態を説明している
・all rightはIt(状況)の状態を説明している

「to不定詞」「動名詞」も一緒に覚えてしまおう

SVCのCが補語であり、補語が主語を説明していることを理解したら、一気に「to不定詞と動名詞」の学習に進みましょう。英語が苦手な人は「to不定詞と動名詞」を次のように覚えがちです。

・to不定詞も動名詞も「~すること」と覚えれば解決する

これは間違った理解ではありませんが、文型や英文法を正確に理解するには、もう少し深掘りしたほうがよいでしょう。次の簡単な2文を翻訳してみてください。

・His hope is to win the race.
・My hobby was collecting old coins.

確かに「to win」も「collecting」も「~すること」と翻訳すれば、すんなり意味を取ることができます。
しかし、それで終わりにせず、深掘りしていきます。
「to win」も「collecting」も補語なので、主語を説明しているはずです。
そして以下の文の「a quiet city」も補語であり、主語を説明しています。

・Kyoto is a quiet city.

つまり「winという動詞」と「collectという動詞」は、形を変えて補語になると「a quiet city」と同格になるのです。
このことから、次のことがわかります。

・to不定詞と動名詞は、補語にするために動詞の形を変えたもの

似た現象は日本語でも起きています。
「事故」→「事故る」
「事故る」は正しい日本語とは言いにくいのですが、この事例は、名詞を加工して動詞にすると、伝えたいニュアンスを端的かつ正確に伝えることができることを教えています。
特に話し言葉では、「事故を起こさないようにしてね」と言うより、「事故らないでね」と言ったほうが端的ですし、伝えたいことをダイレクトに伝えることができます。

to不定詞も動名詞も、動詞を変形して名詞として使ったほうが便利だから「編み出された」と考えてみてください。SVCのCの位置に「動詞の意味」を置くために、動詞をto不定詞や動名詞に加工した、と理解してもよいでしょう。「SVの次」が見えてくれば、SVOやSVOOやSVOCがクリアになってきます。

「~を」「~に」から脱却すると「SVO」が見える

英語の授業では「SVOは第3文型」と教わりますが、「3」に注目しすぎてしまうと、「第2文型SVCの発展形」と勘違いしてしまうでしょう。英語が苦手な人は、ぜひこの機会に「SVOとSVCはまったくの別物」と理解するようにしてください。そして「補語Cと目的語Oもまったくの別物」と理解してください。

目的語は主語に関係しない

SVOは「~を」「~に」と訳せばよい、と機械的に覚えてしまうと、その後の英文法の勉強が発展しません。確かに次のSVOの英文は「~を」で翻訳できます。

・She found his letter.

ただ、この簡単な英文を翻訳できても、英語の学力は向上しないでしょう。しかし、この簡単な英文でも、次のことを理解すると、学力向上に役立ちます。

・his letterとSheは「まったくの別物」

SVCでは、CはSを説明していました。しかし、SVOでは、OはSを説明しません。そして、「SVOは『~を』『~に』と訳せばよい」と覚えていると、次のSVOの文章を訳すことができません。

・He married her.

この意味はもちろん「彼は彼女『と』結婚した」となります。深掘りしない勉強法は、少しでも亜流が出てくると、すぐに太刀打ちできなくなってしまいます。

「that節」「if節」「疑問詞の節」も一緒に覚えてしまおう

SVOの基礎を理解できたら、一気に「that節」「if節」「疑問詞の節」の勉強に進んでいきましょう。
that節とは、例えば次のような文章になります。

・He know that the book is easy.

that以下がひとつの節になっているのでthat節と呼ばれます。that節も「~こと」と訳してしまえば、簡単に「片付ける」ことができます。
「彼は、その本が簡単なことを知っている」
しかし、そのように簡単に片づけると、文型の力が身につきません。そこで、次のことを覚えておいてください。

・that節とは、ひとつの文章を加工して目的語にする手法である

先ほど紹介した「to不定詞と動名詞」の説明と似ています。
・to不定詞と動名詞は、補語にするために動詞の形を変えたもの

ひとつの文章とは「the book is easy」のことです。これはSVCになっているので、完全なひとつの文章です。ではなぜ、ひとつの文章を、さらに大きな文章の目的語にするのでしょうか。それは、複雑な意味を伝えるためです。
以下の2つの文章の文型は、どちらも「SVO」です。

文章A:He know the book.
文章B:He know that the book is easy.

文章Aからは「彼はその本を知っている」という情報しかわかりません。しかし、文章Bからは、「内容が簡単な本」と「彼はその本を知っている」の、2つの情報を得ることができます。文章Bのほうが、情報量が多い優れた文章といえます。that節という「特殊加工」をしたことで、文章が高度化しました。

SVOを単純に「『~を』『~に』と訳せばよい」と理解しただけでは、that節の本質を理解できません。より多い情報とより複雑な情報を持つ、優れた英文を理解することができません。
SVOを英文法のルールにしたがって深掘りすることで、「なんだ、that節ってこんなに単純なルールだったのか」と理解することができます。

ここまで理解できれば、「if節」も「疑問詞の節」もすんなり頭のなかに入ってくるはずです。

文章C:She wondered if you can go there.
文章D:He already did what we should do first.

文章Cは、大きな文章である「She wondered 目的語」の目的語の部分に、小さな文章である「you can go there」が入っています。この2つの文章をつなげているのが「~かどうか」の意味を持つ「if」です。文章Dも同じように理解することができます。

まとめ

文型には第4文型「SVOO」も第5文型「SVOC」もあります。しかし、「SVの次」を克服できれば、それらを理解することはそれほど難しくはありません。しかし、「SVCはSVの発展形、SVOはSVCを変形させたもの」といったように、文型を単純化して覚えてしまうと、まったく応用が利かなくなり、SVOOやSVOCを学ぶころには「ギブアップ」したくなります。英語の勉強につまずいたら、英文法に立ち返り、英文法を苦手にしている人は、文型をおさらいするようにしましょう。

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