共通テストが終わると、多くの受験生が得点をもとに今後の出願戦略を考えはじめます。しかし、「どの大学に出願すべきか」「判定の受け止め方がわからない」と感じることは珍しくありません。出願校の選び方に迷う時期だからこそ、客観的なデータに基づく判断が欠かせません。
本記事では、共通テストリサーチの仕組みや判定の見方などを詳しく解説します。共通テスト後の進路選択をより合理的に進めたい受験生は、参考にしながら今後の学習計画に活かしてください。
共通テストリサーチとは

共通テストリサーチとは、共通テスト終了後に受験生が自己採点した得点を予備校へ提出し、全国規模で集計・分析されたデータをもとに合格可能性を判定する仕組みです。得点分布を踏まえ、志望校の合格可能性や必要なボーダーラインを予測できるため、出願戦略を立てる際の重要な材料になります。
全国の受験生が提出した大量のデータをもとに算出されるため、個人の感覚だけでは把握しにくい立ち位置を、客観的に理解しやすくなる点が特徴です。判定はA~Eの5段階で示され、合格可能性の目安を知ることで、挑戦校・実力相応校・安全校のバランスを調整しやすくなります。
共通テストリサーチが実施されている予備校

共通テストリサーチは複数の大手予備校が実施しており、それぞれ集計方法やデータの母集団、判定の特徴が異なります。
いずれのサービスも全国規模でデータを収集しますが、配点方式や志望状況などの情報が異なる場合があるため、複数の予備校の結果を比較しながら出願の判断材料にすると精度が高まるでしょう。
河合塾|バンザイシステム
河合塾の「バンザイシステム」は、全国規模のデータに基づき出願目安の合格可能性を示す判定サービスです。毎年多くの受験生が利用しており、実施歴が長く、データの蓄積が豊富な点が特徴です。
同サービスでは、志望する大学を40個まで登録できる機能が備わっています。この機能により、大学ごとの傾向に応じて判定が算出されるため、客観的に自身の位置を把握しやすくなります。
駿台・ベネッセ|インターネット選太君
駿台とベネッセが共同で実施する「インターネット選太君」は、共通テストの自己採点データを大規模に収集し、合格判定を提供する仕組みです。
母集団が大きく、データの傾向を把握しやすいとされています。大学別のボーダーラインや志望者数の動向を知ることで、出願校選定の判断材料が増えるでしょう。さらに、駿台模試の成績と共通テストの自己採点結果を組み合わせたドッキング判定にも対応しており、二次試験を含めた総合的な合格可能性を把握しやすくなっています。
東進|大学入学共通テスト合否判定システム
東進が提供する「大学入学共通テスト合否判定システム」では、共通テスト得点をもとに合格可能性を早期に推測できます。
全国の東進生を中心とする大量のデータを集計し、偏差値や大学別の傾向に基づいた判定を算出します。結果が早く確認できるため、出願校を考える際の初期判断材料として活用しやすい仕組みです。
また、同サービスでは登録した志望校を基準として、レベルが近い大学を表示してくれます。併願校をどこにしようか悩んでいる方にとって、大いに役立つでしょう。
共通テストリサーチでわかる判定の見方と注意点

共通テストリサーチを活用する際は、判定の仕組みと正しい受け止め方を理解する必要があります。判定は合格を保証するものではなく、あくまで客観的な確率指標として利用することが重要です。
ここからは、判定結果の見方や注意点について紹介します。
A~E判定の正しい受け止め方
判定結果は、全国の受験生データと自身の得点を比較し、合格可能性の目安を示す評価基準です。A判定は「合格の可能性が高い」ことを示しますが、必ずしも安全というわけではありません。
なお、B・C判定は「合格圏内~努力次第で到達可能」、D・E判定は「合格可能性が低い」という目安とされています。
判定結果は、その年の得点分布や大学独自の配点方式によって変動するため、前年の結果と単純に比較することは適切ではありません。あくまでも「確率的な指標」としてとらえるようにしましょう。
判定の信頼性と注意点
判定結果の精度は、「データの母集団の大きさ」や「自己採点の正確性」に左右されます。回答欄のずれや問題の読み違いが生じれば、判定にも誤差が生じるでしょう。共通テストリサーチは予測に基づいて作成されるため、実際の合格ラインと完全に一致するわけではありません。
精度を高めたい場合は、河合塾・駿台・東進など複数の結果を比較しながら判断すると、状況を多面的に把握できます。
共通テストリサーチの結果次第で志望校を変更すべき?

共通テストリサーチの判定結果だけを理由に志望校を変更すべきかどうかは、学部の特性や二次試験の重要度によって変わります。リサーチ結果は有益な情報ですが、最終判断の決め手ではありません。
判定がA~Cの場合は、現実的な合格可能性があるため、現状の志望校を軸に戦略を立てる受験生が多くいます。一方で、D・E判定が出た場合は見直しを検討する価値があると考えられます。
ただし、二次試験の配点が高い大学では共通テストよりも記述力や専門科目の対策が得点に大きく影響します。そのため、共通テストの得点が低くても二次力が強い受験生は志望校を維持する選択肢も考えられます。
また、判定結果が思わしくなかった場合は、学習環境の見直しも有効です。塾や予備校には受験の専門家が在籍しており、弱点分析から二次試験対策まで体系的に指導を受けられます。効率良く学力を伸ばしたい受験生にとって、学習環境を整えることは出願戦略と同じくらい重要な要素です。
共通テストリサーチに関するよくある質問

共通テストリサーチを利用する際は、提出先や判定結果の受け止め方について疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
共通テストリサーチはどこに出すべき?
利用者の多さで見ると、河合塾のバンザイシステムが最も一般的です。しかし、1つの予備校のデータだけに依存せず、複数の予備校に提出することで判定の信頼性が高まります。
異なる予備校のデータを比較しながら出願を検討することで、多面的な判断が可能になります。
A判定でも落ちることはある?
A判定は合格の可能性が高いことを意味しますが、確実ではありません。大学との相性や当日の試験結果、科目の配点などによって合否が左右されるため、A判定でも安心できません。判定に関係なく志望校対策を継続し、必要な得点を確保する姿勢が求められます。
まとめ
共通テストリサーチは大量のデータをもとに出願戦略を立てやすくする有益なサービスです。しかし、判定結果は予測であり、合否を決定する絶対指標ではありません。D・E判定でも二次試験の配点が高い大学では逆転可能なケースが多くあるため、判定だけで志望校を諦める必要はありません。
成績が思うように伸びないと感じる場合は、学習環境を見直すこともおすすめです。塾や予備校では受験のプロが個々の課題に寄り添い、効率的な対策を提案します。志望校合格を確実にしたい受験生は、「オススメ予備校一覧ページ」から自分に合った学習環境を検討してみてください。









