受験関連コラム

センター試験利用入試。実施している私立大学はどれぐらいある?

センター試験利用入試。実施している私立大学はどれくらいある?

「大学入試試験といえば『センター試験』」と大半が思いうかぶほど、センター試験は大学受験におけるもっとも重要なキーポイントです。
「センター試験を利用しない入試方法で大学を受ける」と明確に決めている人以外は、まずこれを意識する人も多いのではないでしょうか。

センター試験は国公立の受験だけでなく、私立大学の受験とも大きく関わってきます。
ここでは、「私立大学とセンター試験」について取り上げましょう。

センター試験利用入試とは

まずは、「そもそもセンター試験とは何か」ということから見ていきましょう。

センター試験は、「大学入試センター試験」が正式名称です。
独立行政法人である「大学入試センター」が、大学と一緒に行うものであり、全国のどこで受けても同じ問題が出されます。

これには、学校のレベル、文系理系も関係はありません。

全国で50万人以上の人が受けるものであり、大学入試の一つの基準となっています。
基本的には、「自分が受験する学校にとって、必要な科目」を選んで受けていくことになります。

2019年の科目は、「国語」「地理歴史」「公民」「数学」「理科」「外国語」の6教科です。

さらに、「地理歴史」は「世界史A」「世界史B」「日本史A」「日本史B」「地理A」「地理B」に分けられていますし、理科も「物理」「生物」「化学」「地学」など細かい科目に分けられています。

なお、理科の場合は少し特殊で、「物理基礎」「生物基礎」「化学基礎」「地学基礎」という科目もあります。

このため、これらを受験科目として利用する場合は、「基礎のなかから2つ」「専門(物理など)」から1つだけ」「基礎のなかから2つと専門のなかから1つ」「専門のなかから2つ」というようにさらに細分化されます。

外国語は、基本的にはほとんどの人が英語で受けるかと思われますが、ドイツ語やフランス語、中国語、韓国語を選択することも可能です。

また、解答方法はマークシートであるため、これに慣れておく必要があるでしょう。

センター試験は私立の80パーセント近くの大学が利用している

合格判定に直接関わってくるものであるため、センター試験が実施されている大学ではセンター試験対策が必要になってきます。

センター試験利用の場合、
・センター試験だけを合格判定の基準とする大学(学部)
・センター試験と個別の試験をあわせて、総合的に判断する大学(学部)
に分かれます。

後者の場合であっても、当然突破にはセンター試験対策が必須といえるでしょう。
後者のような判定基準を課しているところというのはそれほど多くなく、基本的には前者のかたちで判定が行われます。

前者は「単独型」、後者は「併用型」と呼ばれることがあります。

現在では、私立大学であっても、センター試験を合格判定に使う大学が全国で527校もあります。
これは全国の私立大学のうち、80パーセントにもあたる数字なのです。
国公立大学を受ける人はもちろんのこと、私立大学を受ける人にもほぼ確実に求められるものだといえます。

また、第一志望の大学また学部がセンター試験を利用しないところであったとしても、併願する大学や学部は高い確率でセンター試験を利用していることでしょう。
「センター試験を利用しない大学しか受験しない」という明確な意志があれば別ですが、そうでないのならば、センター試験を受けることを前提として勉強をしていくことが大切です。

センター試験利用入試のスケジュール

センター試験は、「思い立ったらすぐに受けられる」というものではありません。
きちんとスケジュールを立てて考えていきましょう。

6月から

まず、6月くらいから募集要項の配布が始まると考えてください。
そして9月に、「センター試験を受けるか、受けないか」が問われます。

センター試験を受験するには、出願をする必要があります。
各高校がとりまとめて書類を提出することが多いです。
先生からもしつこく何度も「出願をするかしないか」「書類は出したか」の確認が行われますが、書類に不備がないようにしましょう。

また、2011年までは受ける科目をある程度柔軟に決めることができましたが、2012年より試験要綱が変更になりました。
これによって、9月の時点で、「センター試験で受けるべき科目」を決めなければならなくなりました。

受験科目を決めてしまうと変更はできませんから、受験生はこの段階で志望校をある程度しっかりと見定めておく必要もあります。

1月まで

センター試験の本番は1月です。
ただ、それまでの間に、「センター試験を合格判定にする大学」への出願を済ませておかなければなりません。
これは「センター(試験)前出願」などのように呼ばれます。

この段階では、当然センター試験の結果は出ていないため、センター試験を基準として大学を選ぶということはできません。
「成功したときの大学」「まずまずだったときの大学」「滑り止め」を併願して選べ、と言われるのはこのためです。

なお、多少のお金はかかるものの、出願する大学の数には制限がありません。
いくつかの候補を選び、万全を期しましょう。

1月中旬

さて、1月にはついにセンター試験が行われます。
毎年1月中旬に実施されており、2018年では1月13日・14日に、2017年では1月14日・15日に実施されました。

2日間にわたって行われる試験だということも押さえておきましょう。
地元で受けることができますが、豪雪地帯などの場合は、前の日に試験会場の近くのホテルで前泊するなどの工夫が求められます。

この「センター試験」ですが、実は結果がすぐにもらえるものではありません(現在は希望すれば開示はされますが、その結果が得られるのはずっと後です)。

しかし「自分が何点くらいとれたのか」が分からなければ、その後の受験に大きな影響が出てきます。
このため、自己採点ができるようにしておく必要があります。

解答用紙は当然持ち帰れませんが、問題用紙は持ち帰ることができます。
問題用紙に自分の書いた解答をメモしておき、帰宅後に答え合わせ、つまり自己採点をすることになります。

解答は当日の夜(21時くらい)に、インターネット上で公開されます。
また、予備校のなかには「どこよりも早く正答を発表すること」を目指しているところもあり、これを利用すればより早く結果を知ることができます。

自己採点は、そのあとの出願に大きく関わってくるので、しっかりとメモをすることが重要です。

センター試験後

この後は、大きく2つのパターンに分かれます。

まず、センター試験前出願の場合。
この場合はさらに、「単独型」と「併用型」でスケジュールが異なります。

「センター試験単独型」の場合はそのまま合格発表に移ります。
2月には結果が分かるため、もっともスムーズに決まります。

併用型の場合はこの後に個別試験を経て、そこから合格判定が行われます。
2月下旬~3月にかけて結果が分かることが多いです。

少し複雑なのは、「センター試験後出願」の場合です。
この場合は、センター試験での自己採点の結果を元に、また新たに大学に出願を出すことになります。

さらにこの後で個別試験が実施されることもあり、この場合は3月の中盤まで合格発表がもつれこむこともあります。

受験では、「センター試験の結果をまだしっかりと把握していないのに、その後の日程を決めなければならない」という状況に置かれるのが基本です。
このため、センター試験の自己採点のためのメモをすることは、問題を1つ多く解くことよりも重要だとする専門家もいます。

センター試験入試のメリット

さて、ここからはセンター試験入試のメリットについて見ていきましょう。

合格の可能性が増える

まず、大前提として、「センター試験を利用して合格判定を行う大学が非常に多い」という点が挙げられます。
センター試験利用入試の場合は複数の大学に出願することが可能ですから、当然選択=合格の可能性を広げることができます。

さらに、センター試験での結果がもしも合格点に達していなかったとしても、その後の一般入試を受けることは可能です。
受験回数を増やすことで、合格しやすい状況を作ることができるのです。

経済的及び時間的な負担が少ない

実は、受験に必要な受験費用は、23~25万円近くになるとされています。

さらにこの後に、「まだ本命の大学の結果は出ていない。しかしすでに合格した滑り止めの学校の納付金は、本命の大学の結果が出る前に払わなければならない。払わない場合は入学が取り消しになる」というような場合もあります。

この「受験費用」のなかでも、「私立大学の一般入試受験費用」は1校につき35,000円ほどと、かなり高額です。
一般入試で3校を受けるだけで、10万円を超えることもあるでしょう。

さらに向かい風となるのが、「地方からの受験者に課せられる宿泊費や交通費」です。
場合によっては数万円単位で飛んでいくこともめずらしくありません。

その点、センター試験の場合は受験するためにかかる金額は18,000円(3教科以上)、もしくは12,000円(2教科以下)で済みます。
また、センター試験は地元で受けることができるため、交通費なども削減することが可能です。

さらに、センター試験はスケジュール調整がしやすいというメリットもあります。
一斉に全員で受ける試験形態であるため、「2月1日はA校の試験で、2月3日はB大学の試験で……」などのように右往左往する必要がありません。

自分の力をはかることのできる

センター試験は自己採点が求められますが、それでも、現在の自分のレベルを知ることに役立ちます。
その採点内容が大きく間違っていない限りは、自分の力をはかる指針として利用することができるのです。

このときに出た結果を元に受ける大学を決めることができるので、非常に便利です。

滑り止めの大学を確保できる

センター試験の結果のみで合格の判定をしてくれる大学があるということは、「滑り止めの大学を確保することができる」というメリットにもつながります。

たとえ本命の学校の受験に失敗したとしても、「4月から入ることのできる学校はあるのだ」と思えることは精神的な負担を大きく軽減することにつながります。

また、滑り止めの大学に無事に合格したことで、より高いレベルの大学にチャレンジすることもできるようになるでしょう。

センター試験利用入試のデメリット

センター試験は非常にメリットの多いものです。
そのため、多くの人がこれを利用しています。

しかしながら、デメリットがまったくないわけではありません。
センター試験の持つデメリットについて、解説していきましょう。

合格のボーダーラインが上がってしまう

センター試験は、上でも述べたように、50万人もの人が一斉に受ける大きな試験です。

また、「滑り止めでセンター利用入試を受ける」という考え方もあるため、本命以外の大学に多くの人が出願をしています。
そのなかには、本来その大学にはそぐわないほどの高い学力を持っている人もいます。

しかし、合格する人数は限られています。
よって、競争率が高くなり、合格のボーダーラインが引き上げられてしまう可能性が高いのです。

早い段階で志望校を決めなければならない

センター試験が実施されるのは1月です。
そのため、12月くらいには自分の志望校を定めておかなければなりません。

「ギリギリまで迷って決めていきたい」と考えている人にとっては、これは大きなデメリットになるでしょう。

受験科目の多さがネックになることも

受験生にとって、時間以上に貴重なものはありません。
そのため、無駄な科目の勉強は可能な限り避けたいものです。

高校によっては、「自分の受験する科目以外の授業のときは、試験勉強をしていてもよい」としているところもあるほどです。
しかし、センター試験の場合は5~6科目と非常に多い受験科目が設定されていることもあります。

このため、「自分の勉強してきた科目と、センター試験の科目がかみ合わない」ということもあり得ます。
こういった場合には、大きな方向転換が必要とされます。

さまざまなデメリットをはらんでいたとしても、センター試験が非常に有用なものであることはたしかです。
基本的にはこれを受けることを前提として、勉強スケジュールを組んでいきましょう。

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