「勉強しているのに成績が上がらない」と、悩んでいる高校生は少なくありません。毎日勉強しているはずなのに、テストの点数が伸びず、自信をなくしてしまう方もいるでしょう。しかし、成績が上がらない原因は「努力不足」ではなく、「正しい方法で勉強できていない」ケースがほとんどです。
成績を上げるには、時間をかける以上に、効率良く知識を身に付ける方法を知ることが重要です。本記事では、成績が伸びない理由や基本の勉強原則、さらに科目別の効率的な勉強法について詳しく解説します。成績が上がらないと悩んでいる高校生は、ぜひ参考にしてください。
成績が上がらない理由
いくら勉強しても思うように成績が上がらないと感じる場合、その原因は学習の「質」にあることが多いです。ここでは、成績が伸び悩む高校生に共通して見られる、3つの原因について紹介します。
基礎が身についていない
学力の土台となる「基礎」が不十分なままでは、どれだけ時間をかけても成績が上がりません。例えば、英語であれば単語や文法、数学であれば公式や基本解法の理解が曖昧なままだと、難しい問題に取り組んでも解くことは難しいでしょう。応用問題は、あくまでも基礎の延長にあり、基礎知識の正確な理解がなければ解けません。
また、基礎を「知っている」だけでは不十分であり、「使いこなせる」状態にまで仕上げる必要があります。具体的には、英単語を見てすぐに意味が浮かぶ、数学の公式を使う場面を説明できる、などの状態が求められます。
成績を上げるためにも、まずは基礎を徹底的に固めましょう。
アウトプットしていない
「参考書を読む」「講義動画を視聴する」といったインプットばかりに偏っていると、知識を定着させることは難しくなります。知識は、実際に使って初めて「理解した」といえる状態になります。つまり、「アウトプット=実践」が不足していると、どれだけインプットしても成績の向上にはつながりません。
アウトプットの一例として、おもに以下が挙げられます。
・問題演習や過去問を解く
・誰かに教える
なお、間違えた問題の解説を見たときに、「理解した気になる」のではなく、「自力で解けるようになる」までアウトプットを繰り返すようにしましょう。
効率的な勉強を行えていない
ただ長時間勉強すれば、成績が上がるというわけではありません。例えば、同じ英単語帳を5時間だらだらと眺めるよりも、集中して30分で50単語を覚えるほうが効果的といえます。
成績を上げるには、「時間の長さ」よりも「勉強の質」に目を向ける必要があります。勉強の質を高めるためにも、勉強計画を立てたうえで、目標を明確にし、効率の良い方法を選ぶようにしましょう。
自己流の非効率な勉強方法に頼らず、効果が実証されているやり方を参考にすると、短期間でも成果を出せる可能性が高まります。
高校生が意識すべき勉強の基本原則について
成績を上げるには、単に知識を詰め込むだけでは不十分です。学習を習慣化し、継続的に成果を出すには、勉強の「原則」を押さえる必要があります。ここでは、どの教科にも共通する基本原則を3つ紹介します。
学校の授業・予習復習を軸にする
高校生活の中心にあるのは授業です。授業の理解度が高まれば、定期テストでも高得点が狙えるようになり、基礎学力の向上にもつながります。まずは「授業で内容を理解しきる」ことを優先に取り組みましょう。
授業の効果を最大化するには、「予習と復習」が不可欠です。予習によって事前に内容の全体像をつかめれば、授業内容の理解が深まりやすくなります。さらに、授業後すぐに復習することで、記憶が定着しやすくなり、学力の積み重ねが可能です。
問題集や参考書は少なく絞る
「複数の参考書に手を出してしまう」ことは、高校生のよくある失敗の一つです。実際には、1~2冊の教材を繰り返し解くほうが、理解も深まり、成績も上がりやすいといわれています。
1冊の問題集を3~5周することで、「解法パターンの定着」「弱点の把握」「スピードの向上」が期待できます。複数の教材を中途半端に進めるのではなく、まず1冊を完璧に仕上げてから次の教材に進むようにしましょう。
勉強の質を上げる
「勉強の質」とは、単に時間をかけることではなく、「どのように学ぶか」を意味します。例えば、同じ時間でも音読・要約・解説などのアウトプットを含む学習のほうが、受動的な読書より効果的です。
具体的な方法としては、「音読して理解を深める」「自分で説明してみる」「問題を解くことで知識を再確認する」などがあります。これらを意識して取り入れれば、記憶の定着率や理解度が格段に上がり、結果として成績アップにつながります。
なお、知識が深まったと感じたら、志望校の過去問に取り組むのがおすすめです。過去問を解くことで、出題範囲の傾向を把握できるようになります。効率的なアウトプットといえるので、ぜひ実践してみてください。
科目別の効果的な勉強法
勉強の原則を理解したあとは、科目ごとの特性に応じたアプローチが求められます。それぞれの教科に合わせた効率的な勉強法を実践すれば、より短期間で成果を出しやすくなります。
国語の効率的な勉強法
国語は感覚で解く教科と思われがちですが、「文章構造の把握」や「設問の分析力」といった論理的な力が求められる科目です。正しい学習手順を踏めば、読解力は着実に伸ばせます。具体的には、以下を意識するようにしてください。
・現代文は「文章構造」と「設問の根拠探し」を徹底する
まず大切なのは、文章全体の構造を把握しながら読む習慣を身に付けることです。段落ごとの役割(導入・主張・具体例など)を意識して読めば、筆者の心情をつかみやすくなります。さらに設問に対しては、「本文のどこに根拠があるか」を探す訓練が重要です。選択肢を何となく選ぶのではなく、本文に戻って根拠を明確にしたうえで答えるようにしましょう。
・古文は「単語と文法」を優先的に暗記する
古文を読めるようになるには、まず「単語と文法」の習得が不可欠です。古文単語は英単語と同様に、毎日コツコツと反復して覚えることが効果的です。文法では助動詞や敬語などの活用を中心に学び、短文での演習を繰り返して使い方を定着させましょう。
・問題演習のあとは「本文に戻って根拠確認」を行う
国語の勉強で特に効果的なのが、「設問に対する根拠が本文のどこにあるかを振り返る」作業です。これにより、自分の読解がどれだけ本文とズレていないか確認できます。間違えた問題だけでなく、正解した問題も含めて、「なぜその選択肢が正しいのか」「ほかはなぜ間違いなのか」を考える習慣をつけると、読解力が飛躍的に伸びていきます。
英語の効率的な勉強法
英語は、「単語力」と「文構造の理解」が得点を左右します。特に単語と熟語は、毎日の積み重ねが不可欠です。具体的には、以下を意識するようにしてください。
・単語、熟語は「毎日コツコツ」反復して記憶する
一度に覚えようとせず、一日10~20語を反復学習し、1週間で100語など、小さな目標を積み上げていく方法が効果的です。
・文法→構文→長文読解の順で段階的に進める
まずは英文法の基礎をしっかり固め、そのあと構文解釈に進みましょう。構文が理解できれば、長文読解で迷うことも減っていきます。
・長文は音読と精読をセットで行う
1回目は時間を計って速読、2回目は文構造を確認しながら精読、3回目は音読するなど、複数の視点からアプローチすると効果的です。
数学の効率的な勉強法
数学は「解き方を理解して使いこなす力」が求められる教科です。解法の暗記に偏らず、「なぜその手順になるのか」を意識しましょう。具体的には、以下を意識するようにしてください。
・教科書や基本問題集で「型」を理解する
基礎が曖昧なまま応用に進むと、途中で挫折しやすくなります。基本問題を繰り返し解いて、典型的なパターンを理解するようにしましょう。
・「説明できるか」で理解度を確認する
問題を解いたあと、自分の言葉で解法の流れを説明できるかを確認しましょう。そうすることで、正解に導く過程を正しく理解しているか確認できます。
・「解き直しノート」でミスを分析する
間違えた問題をそのままにせず、ノートにまとめて「なぜ間違えたか」「どうすれば解けたか」を記録することで、次回以降のミスを減らせます。
理科の効率的な勉強法
理科は、分野ごとに学び方のポイントが異なります。理解型の物理・化学と、暗記型の生物・地学では、アプローチを変える必要があります。具体的には、以下を意識するようにしてください。
・物理、化学は「原理と公式の意味」から理解する
公式だけを暗記するのではなく、なぜその式になるのか、どういう現象に対応しているのかを理解したうえで演習を重ねましょう。
・生物、地学は「図解+暗記」で視覚的に整理する
細かい用語を単に覚えるだけでなく、図やフローチャートで整理することで理解が進みます。
・実験問題は「流れ」を意識して学ぶ
「原理→操作→結果→考察」の流れを意識しながら問題を解くと、本番でも落ち着いて対応できます。
社会の効率的な勉強法
社会は、暗記要素が多い教科ですが、単純な丸暗記では得点につながりにくい傾向があります。情報のつながりを意識して覚えることがポイントです。具体的には、以下を意識するようにしてください。
・地理、歴史は「因果関係」「時系列」で整理する
出来事の背景や流れを理解することで、記憶が長持ちし、応用問題にも対応しやすくなります。
・公民は「時事ニュース」と関連付ける
政治や経済の知識は、ニュースを通じてリアルな背景を知ると理解が深まります。
・年号や用語は「一問一答+図解ノート」で記憶を定着させる
一問一答形式で知識の確認をしつつ、重要事項はノートに図や表でまとめておくと、定期テストや受験期にも役立ちます。
成績が上がる人の共通点と特徴
努力が結果に結びついている高校生には、共通点があります。ここからは、成績を伸ばしている人に共通する3つの特徴について見ていきましょう。
明確な目標を定めている
「何となく勉強している」状態では、集中力も継続力も得られません。成績が上がる人は、「志望校に合格したい」「学年で上位10%に入りたい」「次の期末で80点以上を取る」など、具体的な目標を持っています。
また、短期(中間・期末)と長期(大学受験)の両方の目標を併用している点も特徴で、常に自分の学習に対するモチベーションを保っています。
勉強計画を徹底している
成績が上がる人は、「いつ、何を、どれだけやるか」を明確にした勉強計画を立て、それに沿って学習を進めています。無理のないスケジュールを組み、こまめに見直して調整しているため、計画倒れになりにくいです。
自分の生活リズムや集中できる時間帯を把握しており、効率良く学習できるように工夫しています。
自己分析を行っている
成績が上がる人は、自分の「苦手」「得意」「ミスの傾向」を把握し、それに基づいて対策を行っています。例えば、ミスの原因を「時間不足」「勘違い」「知識不足」などに分類し、それぞれに対応策を講じています。
また、過去のテストを振り返り、「なぜできなかったか」を言語化して次に活かしているのも特徴です。漫然と勉強するのではなく、「考えて学ぶ姿勢」が備わっているといえます。
まとめ
高校生が成績を上げるには、ただ時間を費やすのではなく、「正しい方法」で「質の高い学習」を積み重ねることが重要です。効率の良い勉強法を実践することで、短期間でも成績を上げることが可能になります。
また、日々の授業を軸に予習と復習を習慣化し、自分に合った教材で繰り返し学ぶことも大切です。成績を上げたい高校生は、ぜひ本記事を参考に、自分自身の学び方を見直してみてください。
なお、勉強計画を練るのが苦手な方は、塾・予備校に通うのもおすすめです。塾・予備校であれば、経験豊富な講師が質の高い授業を行っています。入塾を検討している方は、「オススメ予備校一覧ページ」もあわせて確認してみてください。