子どもから突然「塾をやめたい」といわれると、親としては戸惑ってしまうでしょう。しかし、頭ごなしに否定せず、その気持ちに寄り添うことが大切です。
本記事では、「塾をやめたい」といわれた際に親が取るべき適切な対応や、やめるかどうかの判断基準、やめる前に考えておくべきことについて解説します。子どもが最適な選択を行うために役立つ情報を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
【4STEP】塾をやめたい子どもへの接し方
子どもが「塾をやめたい」といったとき、親はどのように対応すべきなのでしょうか。まずは、子どもの気持ちを尊重しながら最適な解決策を見つける4つのステップを紹介します。
STEP1:子どもの気持ちに寄り添う
子どもが「塾をやめたい」といったときは、まず冷静に話を聞き、気持ちに寄り添うようにしてください。高校生でも自分の考えをうまく言葉にできない場合があるため、「どんなところが合わなかったのか」「何が一番負担に感じるのか」と落ち着いて問いかけることで、本音を引き出しやすくなります。決して否定せず、「あなたの考えを知りたい」という姿勢を示しましょう。
親が冷静に話を聞けば、子どもは「自分の気持ちをわかってくれる」と感じ、少しずつ心を開いてくれます。このとき、感情的に反応しないように気をつけましょう。「せっかく塾に通わせているのに」などの悲観的な言葉で責めると、塞ぎ込んでしまう可能性があります。
親は安心感を与える存在であると意識し、子どもの言葉を受け止め、共感するように心がけましょう。信頼関係が深まれば、次の具体的な対策を一緒に考えるための土台ができます。
STEP2:やめたい理由を整理する
子どもの気持ちをじっくりと聞いた後は、塾をやめたいと思う理由を一緒に整理しましょう。理由が曖昧なままだと、適切な解決策を見つけるのが難しくなります。「どんな場面でそう思ったのか」「具体的に何が合わなかったのか」と問いかけながら、子どもが抱えている問題を少しずつ掘り下げていきます。
子どもが塾をやめたいと思う理由は、塾の雰囲気が合わない、授業の進め方が自分に合わないなどさまざまです。親は子どもの話を真剣に聞きながら、「どのような環境なら学びやすいのか」を丁寧に確認していきましょう。
また、子ども自身も話しているうちに気持ちを整理できることがあります。子どもが安心して本音を話せるような雰囲気作りを意識しながら、焦らずに進めていきましょう。
STEP3:解決策を一緒に考える
やめたい理由が整理できたら、次は解決策を子どもと一緒に考えます。親が一方的に解決策を提示するのではなく、「どうしたいか」を問いかけ、自身で考える時間を与えましょう。
このときに、すぐに答えが出なくても急かさないようにしてください。子どもが少しずつ選択肢を見つけられるように、サポートする姿勢が大切です。「他の塾に変わるのはどうか」「自宅学習と塾を併用する方法もある」といった提案をしながらも、最終的な判断は子どもに委ねるのが望ましいといえます。親はあくまでアドバイザーとして関わり、子どもが納得できる結論を導けるようサポートしましょう。
また、子どもの決断をしっかりと応援する姿勢も大切です。たとえやめる選択をしたとしても、決断を尊重し、次のステップに向けて前向きにサポートすることが、信頼関係を深めるポイントです。
STEP4:塾の先生に相談する
最後に、子どもの状況や気持ちを塾の先生に相談してみましょう。塾の先生は子どもの学習状況を把握しているため、親だけでは気づけなかった視点からアドバイスをもらえる可能性があります。
たとえば、学習方法の改善や苦手科目の対策に関しては、専門的な意見が役立つでしょう。ただし、相談の仕方には注意が必要です。子ども自身が先生に直接相談するのが難しければ、親がサポートしながら進めるとよいでしょう。また、本人の意思を尊重し、先生と話し合うタイミングを調整することも大切です。
先生との相談を通じて、塾での取り組みを改善できる場合もあれば、別の塾への変更が適しているケースもあります。
塾をやめる決断が必要なケース
次に、塾をやめるべきか迷ったとき、どのような判断基準を持つべきかを解説します。高校生の学習状況や負担を考慮しつつ、やめる決断が必要なケースを具体的に紹介するので、ぜひ参考にしてください。
講師との相性が悪く質問しづらい
高校生になると、より専門的な内容を学ぶため、講師に質問しやすい環境であるかどうかは重要なポイントです。しかし、講師との相性が悪いと質問しづらくなり、理解できない部分を放置することになるかもしれません。
たとえば、授業で「わからないことがあっても、質問できる雰囲気ではない」「講師が一方的に話すだけで相談しづらい」と感じている場合は、注意が必要です。この状況が続くと、学習意欲が低下し、成績が伸びなくなってしまいます。
地域で評判の塾に通わせていたとしても、子どもにとってよい環境であるかどうかは別問題です。相性が悪い講師の授業を受け続けても、子どもの能力が引き出されない可能性が高いため、やめる決断が求められるでしょう。
授業の進め方や教材が合っていない
高校生は、大学受験や進路選択を見据えた学習が求められるため、授業の進め方や教材の内容が自分に合っているかが重要です。授業が速すぎて理解が追いつかない、もしくは取り扱う教材が難しすぎると、学習意欲が低下するだけでなく勉強に対する苦手意識が強まります。
一方で、授業が簡単すぎても刺激が足りず、モチベーションが下がる原因になるでしょう。高校生の場合、受験対策や定期テストの内容に直結するため、適切なレベルの授業を受けることが大切です。
入塾前に体験授業を受けていても、実際に入塾してみると想定よりも授業レベルが高かった、あるいは低かったというケースもあります。このような状況も含めて、子どもの現状の学力に合わせた塾の選び直しを検討してみましょう。
子どもがキャパオーバーになっている
高校生になると、部活や受験勉強、学校行事などで忙しく、塾との両立が難しくなる場合があります。過密なスケジュールに追われると、疲労やストレスが蓄積し、結果的に学習の質が低下してしまうでしょう。
無理に塾を続けると勉強が義務的になり、学習意欲を失う原因になります。「塾の宿題をこなすだけで精一杯」「塾のせいで睡眠時間が削られている」と感じている場合は、見直しが必要です。
もし体力面に不安があるのであれば、オンライン学習や通信教育で学ぶという方法もあります。通塾にこだわりすぎず、子どもが無理なく学びやすい選択肢を用意してあげることも大切です。
塾をやめたい子どもに親が避けるべきNG行動
次に、子どもが「塾をやめたい」といったとき、親が避けるべきNG行動について紹介します。子どもの気持ちを尊重し、親として適切な対応を心がけましょう。
一方的に塾の必要性を伝える
塾は、大学受験に向けて重要な役割を果たしますが、それを一方的に押し付けるのは子どもにとって逆効果です。子どもが「塾をやめたい」といい出したとき、親がすぐに「塾は必要だから続けなさい」と決めつけてしまうと、自分の気持ちを理解してもらえないと感じて反発することがあります。
また、子ども自身が「なぜ塾が合わないのか」を明確に言葉にできていない場合もあるでしょう。そんなときに、親が頭ごなしに必要性を説いてしまうと、子どもは自分の気持ちを話す機会すら失われ、さらにストレスを抱える原因となります。
そのため、子どもの気持ちに共感しながら、問題の本質を一緒に考えることが大切だといえるでしょう。
子どもの気持ちを否定する
「塾をやめたい」といった子どもに対し、「そんなのは甘えだ」「周りの子は頑張っているのに」といった言葉をかけるのは、子どもをさらに追い詰めることにつながります。受験期の高校生は、プレッシャーやストレスを強く感じやすい時期です。そんなときに自分の気持ちを否定されると、親に対する信頼が揺らぎ、何も相談しなくなってしまう可能性があります。
親の視点からは「ここで頑張らないといけない」と思うかもしれませんが、それを押し付けるのではなく、まずは子どもの状況を理解するようにしましょう。
大切なのは、子どもの気持ちを受け止め、共感することです。「つらいんだね」「大変だったね」と声をかけるだけでも、子どもは安心感を得られます。そのうえで、どうすれば負担を軽減できるかを一緒に考えましょう。無理に「頑張れ」というよりも、「どうすれば続けられそうか」と問いかけるほうが、前向きな解決策につながります。
無理に塾を続けさせる
子どもが「塾をやめたい」といったとき、「せっかく続けてきたのだから」「ここでやめたら後悔する」などと無理に説得するのは逆効果です。確かに、大学受験に向けた学習は重要ですが、子ども自身のモチベーションが低下した状態では、効率的な学習は難しいでしょう。
無理に続けることで、子どもはさらにプレッシャーを感じ、学習意欲が低下するだけでなく、精神的な負担も増してしまいます。また、ストレスが積み重なると、「勉強そのものが嫌になる」「親に相談しても無駄だと感じる」などと悪循環に陥る場合もあります。
「本当に塾をやめる必要があるのか」「環境を変えたら続けられるのか」といった点を整理し、子どもが納得できる方法を見つけましょう。
塾をやめると子どもが決めた後の選択肢
子どもが塾をやめた後も、さまざまな方法で学習を続けられます。以下では、大学受験に向けた勉強の選択肢を紹介するので、最適な道を見つけるための参考にしてください。
家庭での勉強法を見直してみる
塾をやめたからといって、必ずしも学力が低下するわけではありません。むしろ、家庭での勉強法を見直し、自分に合った学習スタイルを確立できれば、より効率的に学力を伸ばすことも可能でしょう。たとえば、静かで集中しやすい環境を整えてあげると、塾以上に効果的な学習を行えるかもしれません。
家庭学習は自分のペースで進められるため、塾のような時間的制約や周囲との競争によるプレッシャーを感じにくいのがメリットです。さらに、映像授業やオンライン教材、参考書を活用すれば、塾と同等の学習環境を整えられます。
重要なのは、親が過度に管理しすぎず、子どもが自ら学ぶ習慣を身につけられるようにサポートすることです。「〇時間勉強しなさい」と強制するのではなく、「どの教材を使うか」「どんなスケジュールがいいか」と問いかけ、主体的に学習計画を立てられるように導きましょう。
他の塾に移る
「塾が合わない=塾が不要」とは限りません。現在の塾の授業スタイルや雰囲気が合わない場合、転塾を検討するのも有効な選択肢です。集団授業が合わない場合は、個別指導や少人数制の塾を選ぶと、より自分に合った学習環境を確保できます。
転塾の際は、単に「有名な塾」や「合格実績が高い塾」を選ぶのではなく、子どもの学習スタイルや性格に合った塾を探すことが大切です。たとえば、講師とじっくり向き合える個別指導塾や、オンライン指導を活用した柔軟な学習スタイルを提供する塾もあります。また、授業内容やカリキュラムが学校の進度に合っているかも確認すると、より効率的な学習を進められるでしょう。
まとめ
子どもから「塾をやめたい」といわれた際は、頭ごなしに否定するのではなく、まずは気持ちに寄り添い、理由をしっかり整理することが大切です。最終的に塾をやめる決断をしても、子どもの学習スタイルやペースに合わせて学習環境を整えてあげると、家庭でも勉強を続けやすいでしょう。
場合によっては、転塾するのも1つの選択肢です。現在の塾が合っていないと感じる方は、適切な学習環境を見つけるために「オススメ予備校一覧ページ」をチェックしてみてください。