大学の偏差値にこだわってほしいから予備校を使おう

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必ずしも、大学の偏差値にこだわる必要はありません。偏差値が低い大学であっても、信頼できる教授や信頼できる友と一緒に、よい学生生活を送ることは可能だからです。
しかし、偏差値が低い大学の卒業者は、偏差値が高い有名大学の卒業者が手に入れることができる「さまざまな特典」を手にすることができません。

また、志望すれば誰でも大学に入学できる「大学全入時代」が到来すると、「大学を出た」ことは重視されなくなり、「どの大学を出たか」が社会的な関心事になります。すなわち、低偏差値大学の価値がますます落ち、高偏差値大学の価値がますます上昇する現象が起きるのです。

この仕組みがわかった受験生は、とことん偏差値にこだわりましょう。ただ当然ながら、高偏差値大学の受験は簡単ではありません。
だからこそ、予備校を使っていただきたいのです。予備校は「受験界のインフラ」であり、これを使わない手はありません。

大学全入時代はこれほど恐ろしい

1980年ごろの大学入試では、大学の定員約40万人に対して志願者が約60万人おり、毎年約20万人が不合格になっていました。不合格率33%の熾烈な戦いだったわけです。それが理由で、大学受験は「受験戦争」という不穏な言葉で形容されていたのです。

ところが少子化により、大学に進学する志願者が激減し、2015年の不合格率は7%にまで下がりました。つまり、合格率93%です。「誰でも大学に入ることができる時代(大学全入時代)」の幕開けといっても過言ではありません。

有名大学出身者かスキル保持者しか「要らない」時代がくる

大学全入時代になると、大卒の価値が低下します。では、大卒の価値とはなんでしょうか。
それは、社会から「大卒者は大学で高等教育を受けているのだから、知識があり分別があり行動力があるはずだ」と認められることです。社会は大卒者にリーダーになることを期待しています。この社会の期待こそ、大卒の価値です。

しかし、これは大卒の価値が高かったころの話です。大学全入時代が到来したら、誰でも入れる大学を卒業した人をリーダーにしたいと考えるでしょうか。
もし、自分が社長だった場合、次のうち誰を「採用したい」と思うか、考えてみてください。

・偏差値の高い有名大学の卒業者
・高卒の有能エンジニア
・高卒の有能プログラマー
・高卒の簿記の知識がある人
・高卒の英語が堪能な人
・誰でも入れる大学の卒業者

おそらく「採用したい」と思えたのは、偏差値の高い大学を出た人と、企業内やビジネスシーンで即戦力になるスキルを持った人だったはずです。

では、なぜ偏差値の高い大学を出た人は、大学全入時代が到来しても依然として社会から求められるのでしょうか。
それは偏差値が高い有名大学は研究施設や研究者(教授など)が充実していて、真の意味での高等教育を提供しているからです。
真の高等教育を受けた人材は、エンジニアやプログラマーたちと同様に、社会で必要とされるスキルを身につけているとみなされます。

偏差値が高い大学と低い大学ではこれほど違う

受験生は将来を考えて、志望大学を決めたほうがいいでしょう。
なぜなら入る大学によって将来が大きく変わるからです。

最先端の研究や日本を動かす仕事に従事できる

まず、いわゆる「一流」と呼ばれる企業は、偏差値の高い大学を卒業した人を採用しようとします。
一流企業とは、東京証券取引所一部上場企業や、創業から何十年も経過している老舗企業、増収増益を続けている「儲かっている」企業、海外に拠点を持っているグローバル企業、業界で大きなシェアを持っている企業、社会貢献度が高い企業などが該当します。
このような一流企業に入りたい人は多いので、会社が人材をえり好みできるのです。そうなると、同じスキル、同じ人格、同じモチベーションの複数の人材が入社を希望したら、会社は偏差値の高い大学を出た人を選ぶでしょう。

また、公務員の最高峰、国会公務員Ⅰ種になるにも偏差値が高い大学が有利です。外交官や財務官僚などは、国会公務員Ⅰ種です。

では、一流企業に入社したり、高級官僚になったりすると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
最先端の仕事に着手できたり、研究開発に携わることができたり、やりがいが大きい仕事を任されたり、日本を動かす仕事に従事したりできます。つまり、社会で重要な任務を与えられやすくなるということです。

生涯年収で2億円近い開き

そして、偏差値の高い大学を出たほうが、生涯年収が高くなることもわかっています。生涯年収とは、学校を卒業して会社などに入ってからリタイア(定年退職などもう仕事をしない状態のこと)するまでに得る給料などの収入のことです。
当然、生涯年収が多いほうが、裕福な暮らしができるでしょう。

日本経済新聞系列の日経スタイルというサイトが、偏差値の高い大学を卒業した人と大卒者全体の生涯年収を調査しました。(※1)その結果は以下のとおりです。
・大卒全体の平均:2億8,653万円
・早稲田大学卒者の平均:3億8,785万円
・慶応義塾大学卒者の平均:4億3,983万円
・東大卒者の平均:4億6,126万円

東大卒者と大卒全体の平均では、1億7,473万円も違います。
早稲田大学には医学部がないので、卒業者に高年収の医者がいない分、慶応や東大より生涯年収が低いものと推測できます。

もちろん、高卒者でも低い偏差値の大学の卒業者でも、社会に出てビジネスを成功させることで高学歴者の生涯年収を超えることは可能です。
しかし、「高い確率で高額収入を得られるのは誰か」と聞かれたら、その答えは「偏差値が高い大学を出た人たち」となるのです。
人生はお金がすべてではありませんが、お金が多いと幸せを増やしやすくなることは間違いないでしょう。

(※1)参照:日本経済新聞『「学歴なんて関係ない」の真実 生涯賃金これだけ違う』

大学の偏差値に貪欲になろう

偏差値が高い大学にどのような大学があるのか紹介します。
以下の表は、ベネッセマナビジョンというサイトが公表している、国公立文系、国公立理系、私立文系、私立理系の偏差値75以上の大学と学部です。

 

国公立文系

 

国公立理系

80

東京大(文科一類)

78

東京大(理科三類)

79

東京大(文科二類)

77

京都大(医-医)

78

東京大(文科三類)

76

東京大(理科一類)

77

京都大(法)

 

東京大(理科二類)

76

京都大(文)

 

東京医科歯科大(医-医)

 

京都大(経済-経済経営)

 

大阪大(医-医)

 

京都大(教育-教育科)

75

北海道大(医-医)

 

京都大(総合人間-総合人間)

 

東北大(医-医)

75

一橋大(法)

 

筑波大(医学群-医学類)

 

一橋大(経済)

 

千葉大(医-医)

 

一橋大(商)

 

名古屋大(医-医)

 

一橋大(社会)

 

京都大(薬)

 

大阪大(文)

 

神戸大(医-医)

 

大阪大(法)

 

九州大(医-医)

   

京都府立医科大(医-医)

   

大阪市立大(医-医)

    
 

私立文系

 

私立理系

83

慶応義塾大(法)

76

慶応義塾大(医-医)

82

慶応義塾大(経済)

75

自治医科大(医-医)

 

早稲田大(政治経済)

  

81

早稲田大(法)

  
 

早稲田大(商)

  
 

早稲田大(国際教養)

  

80

早稲田大(社会科)

  

79

慶応義塾大(文)

  
 

慶応義塾大(総合政策)

  
 

早稲田大(文)

  

78

慶応義塾大(商)

  

77

早稲田大(文化構想)

  

76

上智大(法)

  

75

国際基督教大(教養)

  
 

上智大(国際教養)

  
 

立教大(異文化コミュニケーション)

  
 

早稲田大(教育)

  



いずれも入りたい大学学部ばかりではないでしょうか。
偏差値の高い大学を卒業すると、生涯にわたって「あの大学を出た人」と言われます。それは「スタイルがいい人」「かわいい人」「足が速い人」といったように、その人に備わるよい性質のひとつになります。
また、国立であれば、偏差値が高い大学も低い大学も、文学部も医学部もほぼ同じ授業料となります。それにも関わらず、偏差値の高い大学のほうが研究設備などの学びの環境が充実しているのです。
偏差値の低い大学にもよい点はたくさんありますが、それらは偏差値が高い大学も持っています。しかし偏差値が高い大学は、低い大学が持っていないものをたくさん持っています。

そして次の2点が重要です。

・偏差値が高い大学に行けるかどうかは偏差値でほぼ決まる
・偏差値は受験勉強の量と質でほぼ決まる
大学受験のルールは、極めてフェアです。受験生は、偏差値にこだわっていきましょう。

そもそも偏差値とは

大学の偏差値の算出方法を紹介します。
そもそも偏差値は「受験生を評価する数値」であり、「大学を評価する数値」ではありません。
「どれくらいの偏差値を持った人がその大学に入っているか」ということを「大学の偏差値」と呼んでいるのです。

そもそも偏差値とは「集団に属する対象者が、その集団のなかでどの位置にいるのか」を示す値です。そのため、偏差値が高い受験生が多く入学している大学は「偏差値が高い大学」と評価されるのです。

受験生の偏差値は、入試の結果や予備校の模試の偏差値などから算出します。
ある大学の学部の合格率がちょうど50%になる受験生の偏差値が、その大学学部の偏差値になります。
例えば、ある大学学部の入試の結果、偏差値60の受験生の合格率が50%になった場合、その大学の学部は偏差値60と公表されるということです。

ここで注意しなければならないのは、偏差値60の受験生が必ず偏差値60の大学の学部に入れるわけではない、ということです。偏差値60の受験生が偏差値60の大学学部に入学できる確率は50%になります。

偏差値の「数字の意味」をもう少し解説します。
平均の値を持った対象者は必ず50になります。すなわち「偏差値50の大学」は、日本のすべての受験生のなかで「ちょうど真ん中のレベルの受験生が多く入っている大学」ということになります。

偏差値を出す計算式は次のとおりです。

・偏差値=50+(対象者の得点-平均点)÷標準偏差

この計算式のなかに出てくる標準偏差とは、「データのばらつき」を示す数値です。標準偏差の算出方法は「それぞれのデータの値から平均値を引いた数を2乗し、それをすべて合計し、それをデータの総数の値で割った数の平方根」です。

大学の偏差値を算出して公表しているのは予備校などの民間の調査機関であって、大学自体ではありません。そのため、同じ大学の同じ学部でも、調査機関によって偏差値が異なるのことがあるのです。

なぜ予備校を使うと偏差値が上がるのか

少し世知辛い話になりますが、再びお金の話をします。
予備校に通うとお金がかかりますが、先ほど見たとおり、偏差値がより高い大学を卒業するとより多くの収入を得る道が開けます。
そのため、「人生の収支」で考えると、高校時代や浪人時代に予備校に通って授業料を支払っても、予備校で偏差値を上げることができれば十分「元」が取れるでしょう。
偏差値が高い大学に行きたいと思ったら、ぜひ予備校に通うことを検討してみてください。

ではなぜ、予備校に通うと偏差値が上がるのでしょうか。

2人の指導者から同じことを教わるから記憶しやすくなる

予備校に通うと、1つの教科について2人の指導者から教わることになります。つまり、高校の教師と予備校の講師です。
高校教師や予備校講師たちには独自の教え方があるため、同じ教科の同じ範囲の授業であっても、教師や講師によって教え方が異なります。

これが受験生の暗記によい効果をもたらすのです。人の脳は、同じ人から同じ説明を受けると退屈してきます。ところが、同じ教科の同じ範囲についての説明であっても、2人から違う角度で話してもらうと、強く記憶に残ります。
また、高校教師から最初に教わると「予習」になり、次に予備校講師から同じ範囲を教わると「復習」になります。予習と復習は勉強の基本ですから、予備校に通うとそれが自然にできていくのです。

受験に欠かせないモチベーションが消え絶えない

予備校の講師や予備校の事務職員たちは、受講者(生徒)たちの偏差値を上げることに注力しています。そのため予備校には、偏差値向上に関与しない部活動も生活指導もありません。
また、予備校に集まる高校生や浪人生たちは、偏差値を上げることだけに集中しています。予備校のなかにいるときの受験生たちは、スポーツにも美術にも音楽にも熱中せず、ただただ勉強をします。
(スポーツや美術や音楽を教える予備校もありますが、ここでは説明を割愛しています)

この「勉強純度」が高い環境で勉強をすると、学習のモチベーション(動機)を維持できます。
受験生にとってモチベーションはとても大切です。受験勉強は1年~3年以上に及ぶ長丁場なので、途中で勉強が嫌になったりイラついたり、落ち込んだりすることもあります。そのときモチベーションが維持できていれば、気持ちが整って再び参考書に向かうことができます。

しかし、モチベーションを自分だけの力でつくり上げることは簡単ではありません。それは、努力している最中にどうしても「これほど努力する必要があるのか」「本当にこの努力が報われるのか」という誘惑にかられるからです。
予備校には、その誘惑を断ち切る力があります。予備校の講師や事務職員、そして予備校に通うライバルたちは、「努力は裏切らない」「ここを乗り切った者だけが勝つ」と教えてくれるでしょう。

まとめ~予備校を使いこなそう

「偏差値を上げたい」という場合は、ぜひ予備校へ通うことを検討してみてください。そして、予備校に通い始めたら、最大限予備校を使いこなしましょう。授業を真剣に聴くことが「予備校使いこなし術」の第一歩です。
また、講師に質問することも大切です。講師の説明が理解できなかったら、授業の後に質問に行きましょう。
予備校の講師は、受験生からの質問を歓迎するでしょう。なぜなら、疑問点を解決した受験生は、確実に偏差値を上げていくからです。
予備校は受験生と同じくらい真剣に、受験生の偏差値を上げたいと考えているのです。

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