予備校を自分の勉強法にどう組み込むか【大学受験】

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受験生は、まずは勉強法の確立を急がなくてはなりません。
ただ、そのときに「大学受験に予備校は有効なのか、有効ではないのか」という課題に直面することもあるでしょう。予備校に通うには、お金も必要ですし、予備校までの往復に時間がかかります。それに見合うだけの成績向上が見込めるかどうか、判断に迷うこともあるかもしれません。

もちろん、予備校に通っていない「いま」の状態で、成績が上昇している人であれば、予備校を使う必要はありません。
しかし、自己学習や高校での勉強だけで思うような成績をあげられていない人は、予備校を使うべきでしょう。なぜなら受験生は「受験の素人」であり、予備校講師は「受験のプロ」だからです。
自分が「予備校に行くべき受験生」であるとわかったら、すぐに自分の勉強法に予備校を組み込んでください。受験は時間との闘いでもあるからです。

すべての成功者はプロのアドバイスを使っている

なぜ、「受験生は予備校を使ったほうがいい」といえるのでしょうか。それは、どれだけ偉大な成功者でも、その道のプロからアドバイスを受けているからです。謙虚に指導者から教えを請うことが、成功への近道なのです。

テニス女王、大坂なおみ選手にも指導者がいる

例えば、日本人で初めてテニスのグランドスラム(全米オープン)を制し、さらには全豪オープンの初優勝を果たした大坂なおみ選手には、サーシャ・ベイジンさんというコーチがついています。大坂選手は強い選手になるためにベイジンさんを雇い、獲得した賞金の一部を給料としてベイジンさんに支払っているのです。
ベイジンさんは大坂選手のコーチを引き受ける前に、彼女の練習をチェックしました。そして「時速200キロのサーブを打てる選手がなぜ世界ランキング70位前後にいるのか」と、大坂選手の潜在能力を瞬時に見抜いたのです。
ベイジンさんの指導は具体的で、例えば「体をもっと絞って、フォアハンドで体が早く開く癖を直すように」といったアドバイスします。また、メンタル面でも大坂選手をサポートしました。そうして大坂選手は栄冠をつかんだのです。

潜在能力に差はない。要はどれだけ顕在化させられるか

多くの受験生は、授業でわからないと感じたことがないのに、テストで点数が取れないことに悩んでいます。
実は偏差値60以上の大学に合格する人も、50台以下の大学にしか入れなかった人も、潜在能力はそれほど違いません。
もちろん、1日数時間の勉強で東大や京大に入る「天才」もいますが、そのような人はほんの一握りです。

東大、京大、東工大、一橋大、早慶上智の合格を手にした大多数は、そのほかの受験生と同じ潜在能力でありながら、その潜在能力を限りなく100%顕在化させることで受験に勝ったのです。
自分の力だけで自分の潜在能力を100%顕在化させることは簡単ではありません。
大坂なおみ選手が70位から全米テニスオープンチャンピオンまで登り詰めることができたのは、「潜在能力を100%顕在化させる手助け」を受けたからです。
大坂選手にとってそれはベイジンさんであり、受験生にとっては予備校なのです。

予備校講師は受験に特化したプロ

高校の教師は、「高校生指導のプロ」です。そして高校生指導のなかには「受験指導」も含まれますが、そのほかに「生活指導」や「部活指導」「人生指導」も含まれます。
一方の予備校の講師は、「受験指導のプロ」です。予備校講師は、純度100%のまじりっけなしの受験指導しか行いません。
高校生の人生にとって、高校教師は欠かせない「師」です。しかし、受験勉強だけに没頭したい受験生の「師」は、予備校講師なのです。

大学受験の勉強法とは「やることリスト」に尽きる

大学受験の勉強法としては、「何をやるか」を決めることが大切になります。目の前に現れる問題を闇雲に解いていく勉強の仕方では、効果が期待できないからです。
目標を「やること」に盛り込み、それを淡々とこなしていくことで結果が現れやすくなります。

答えがあるから必ず解けるが、受験に勝つには解くスピードが重要

大学や独立行政法人大学入試センターは、入試問題を作成する際に必ず「回答」も一緒に作成ます。大学入試センターとは、大学入試センター試験をつくっている組織です。

受験勉強は、「必ず存在する答えを探す」作業です。砂浜に必ずコインが埋まっていれば、砂浜をくまなく探すことで必ずコインをみつけることができます。それと同じで、受験勉強は「やれば必ず誰でも答えにたどり着く」のです。
誰でも答えにたどりつくことができるのですが、受験には時間制限があります。入試の後に答えにたどり着いても、大学に入ることはできません。

つまり受験とは、「答えを探せるかどうか」の闘いであり、なおかつ「答えを早く探せるかどうか」の闘いであるということです。ライバルより早く答えを探すには、効率よく勉強するしかありません。
効率よく勉強するには、やることをすべて紙に書き出して、それをいつまでにやるか決めなければなりません。
だからこそ、受験勉強を始める前に「やることリスト」を作成する必要があるのです。やることリストを作成することこそ、正しい勉強法の第一歩といえるでしょう。

「必要な学力≒勉強量」から1日にすべき勉強量を割り出す

やることリストを作成するには、まず志望大学がどの程度の学力を求めているのか調べなければなりません。偏差値が高くなるほど、求められる学力も高くなります。
学力の高さはほぼ勉強量と同じなので、志望大学が受験生に求める学力がわかれば、勉強量も決まっていくでしょう。

もし高校1年生の4月の時点で志望大学が決まっている人なら、必要な勉強量(学力)を3で割れば、1年間にこなさなければならない勉強量がわかります。
さらに高校1年生が必要な勉強量を1,064で割れば、1日にこなさなければならない勉強量がわかります。

なぜ1,064なのかというと、高1の4月から、受験が終了する高3の2月まで1,064日(=365日(1年生)+365日(2年生)+334日(3年生は2月まで))あるからです。

<大学が求める学力がわかると1日の勉強量がわかる>

大学が求める学力

必要な勉強量

1年生で

こなすべき

勉強量

4月1日にこなすべき勉強量

3月31日にこなすべき勉強量

2年生で

こなすべき

勉強量

4月1日にこなすべき勉強量

3月31日にこなすべき勉強量

3年生で

こなすべき

勉強量

4月1日にこなすべき勉強量

入試前日にこなすべき勉強量



1日にこなすべき勉強量こそ、やることリストの項目になります。

同じ作業でも「少ない場合」と「多い場合」では次元が異なる

受験勉強は答えを探す作業です。そして、その答えを探す作業は、膨大な量になります。例えば、センター試験だけでも、出題科目は以下の数があります。

・国語(近代以降の文章)
・国語(古文)
・国語(漢文)
・世界史A
・世界史B
・日本史A
・日本史B
・地理A
・地理B
・現代社会
・倫理
・政治・経済
・数学Ⅰ
・数学A
・数学Ⅱ
・数学B
・簿記・会計
・情報関係基礎
・物理基礎
・化学基礎
・生物基礎
・地学基礎
・物理
・化学
・生物
・地学
・英語(コミュニケーション英語Ⅰ)
・英語(コミュニケーション英語Ⅱ)
・英語(英語表現Ⅰ)
・ドイツ語
・フランス語
・中国語
・韓国語

受験生や高校生は、この大半を学ばなければなりません。
志望大学が課している科目を調べ、そのすべての科目でどの程度の学力が求められているのかを割り出します。
そうすることで、1科目当たりの勉強量を算出することができます。

ただ、1科目当たりの勉強量を算出することは、受験生本人では難しいでしょう。なぜなら受験生はまだ、教科の「全貌(ぜんぼう)」を把握していないからです。
そのため、教師や講師に「これさえやれば志望大学の入試問題で合格点が取れる」1科目あたりの勉強量を聞いてみましょう。

「受験勉強は難しい」と考えられていますが、1教科の学力だけを合格ラインに持ち上げることはそれほど難しくはありません。
受験が難しいのは、学ぶことが「多い」からです。これを数式で表すと以下のようになります。

・1教科=簡単
・1教科+1教科+…+1教科=簡単+簡単+…+簡単=難しい

やることリスト1日の勉強量を、1日でこなすことは簡単です。
しかし、1日の勉強量をこなすことを1,064日(=365日(1年生)+365日(2年生)+334日(3年生は2月まで))続けることが「難しい」のです。

難しいのは理解できないからではなく忘れてしまうから

受験勉強は「簡単なことの集合」にすぎませんが、簡単なことが多くなると途端に困難になります。
高校の定期テストで好成績を残しているのに、予備校の模試で結果が出ない人は、この点を理解していないことが多いようです。

高校の定期テストは試験範囲が狭く、試験勉強は「やることが少ない」ので、短期集中すれば大躍進することができます。
ところが、予備校の模試は試験範囲が広く、試験勉強も「やることが多い」のが特徴です。そのため、「一生懸命やっているのに点数が上がらない」状態が続きます。
やることが少ないことと、やることが多いことは、1つひとつの作業は同じレベルのものでも、次元が違ってしまうのです。

ではなぜ、「簡単なことの集合」なのに「やることが多くなる」と、途端に難しくなるのでしょうか。それは、人は忘れるからです。

たくさん勉強しているのにテストで結果を残せない、と悔しがっている人は、忘れることを計算に入れてない傾向にあります。授業で理解できたことと、答案用紙に正しい答えを入れることでは、後者のほうがはるかに難しいのです。
そのため、勉強法を考えたり、やることリストをつくったりするときも、忘れたことをもう一度繰り返し学ぶ時間を確保しなければなりません。

理想のやることリストとは「これをすべてやれば東大に合格する」リストである

志望大学合格に必要なやることリストは、受験勉強を本格的にスタートさせる前に作成しましょう。
高校1年生がやることリストを作成する場合、1カ月くらいかけても問題ありません。
高校2年生なら2週間くらいかけて、しっかりしたやることリストをつくりましょう。
高校3年生でも1週間ぐらいかけてもいいでしょう。

やることリストの作成にそこまで時間をかけていいのか、と不安に思う必要はありません。なぜなら、やることリストづくりは高校3年間の勉強の全体をおおまかに見渡すことなので、それ自体が勉強になるからです。

理想のやることリストは、「これをすべてこなせば東大に入ることができる」内容になっていることです。そして、「やることリストの8割こなせば早慶上智、7割こなせばMARCH、5割なら日東駒専」といった具合に、大学のレベルと勉強量をマッチさせられると、さらによいでしょう。

やることリストは「やらないことリスト」でもある

やることリストは、同時に「やらないことリスト」でもあります。やることリストに書いたことだけをやりましょう。
もし、やることリストに書いてないのに、どうしてもやらなければならないことが発生した場合、それは「やることリストが正しい内容になっていない」ということです。
それがわかったら一度通常の勉強をストップして、「新やることリスト」を作成しましょう。
「私はやることリストに書かれたことしかやらない」「やることリストに書かれたことだけをやればよい」と確信できるやることリストでなければ意味がありません。
やることリストを高校の教師や予備校講師にチェックしてもらってもいいでしょう。

「やることリスト」のなかに予備校をどう組み込むか

予備校に通うことを決めた受験生は、やることリストに予備校のスケジュールを組み込みましょう。現役生の場合、学びの場が学校と予備校の2つになるので、やることリストが複雑になります。
例えば、予備校の勉強と高校の授業は、同じ科目でも進み具合が異なるので、やることリストは1教科で2パターン用意しなくてはなりません。

予備校に通うことになったからといって、高校での授業を疎かにするのはもったいない話です。
予備校に通い始めてしばらくは、予備校の講義と高校の授業の「相乗効果」は出ないかもしれません。しかし、予備校の講義と高校の授業がリンクし始めれば、予備校の模試の点数も高校の定期テストの点数も同時に加速度的に上昇するはずです。

まとめ~受験に関係するものはすべてやることリストに盛り込む

勉強法を1日も早く確立するためには、やることリストを完成させる必要があります。それさえ確実にしてしまえば、あとは勉強するだけです。
そして、予備校をうまく使いましょう。予備校には受験のプロ(講師陣)がいるだけでなく、例えば自習室が用意されています。これらを使いこなせるようになると、勉強は格段に効率化されます。予備校の自習室にはライバルたちが居て、一心不乱に勉強しているため、それに影響されて闘志も湧いてくるでしょう。
「手持ちの札をすべて使う」ことが勉強法づくりのコツであり、合格のコツでもあるのです。

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