大学受験傾向に対応可能な個別指導の魅力とは
高校の学習指導要領や大学入試の選抜方法で、「思考力・判断力・表現力」など知識以外の部分が重視されるケースが増えています。知識を活かして表現方法を身につけるには、自分にあった指導が受けられる個別指導が便利です。本記事では、大学受験で問われる問題の出題傾向や個別指導のメリットデメリット、個別指導を受ける際の注意点をご紹介します。
大学受験の選抜方法が変化している
大学入試では、文理融合や高校との連携など単なる知識以外の内容について問われる傾向があります。ここでは、高校で学ぶ内容が入試にどのように関連するのかご紹介します。
高校時代に習得すべきは知識だけではない
「【国語編】高等学校学習指導要領(平成30年告示)」によると、例えば国語は「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」という3要素が資質、能力の柱となっています。学習評価では、「授業中にたくさん挙手や質問をするか」「ノートを丁寧にとっているか」といった本人の行動で授業に対する関心や意欲・態度を評価するものではありません。
上述した高等学校学習指導要領の国語を抜粋してみると、日本語の社会生活における必要性を踏まえて、以下のような目標が設定されています。
・知識及び技能:特質を理解し適切に使うことができるようにする
・思考力・判断力・表現力等:他者との関わりの中で伝え合う力を高め、思考力や想像力を伸ばす
・学びに向かう力・人間性:言葉の持つ価値への認識を深める、言語感覚を磨く、言語文化の担い手として国語を尊重し、能力の向上を図る態度を養う
つまり、現行の指導要領からは、単に知識を覚えるだけではなく表現や人間性など自分から発信する観点も盛り込まれていることがわかります。
大学入試で思考力・判断力・表現力が求められる場合も
例えば、東京大学の場合、入学試験の基本方針は以下の3点です。
・試験問題の内容は、高等学校で学ぶ内容と基本的な方向性は同じ
・教養教育に対応するための基礎知識や能力、外国語を問う
・知識の詰め込みではなく、持っている知識を関連付けて解を導く能力を問う
3つ目の通り、大学合格を目指すには、高校で学ぶ知識を単に詰め込むのではなく、知識をどのように関連付けて解くべきか発想する力が重要です。実際に、「思考力・判断力・表現力の評価・育成」に関わる問題として大学入試も特色あるものが登場していて、今後はより一層この傾向が強くなる可能性があります。
例えば、令和3年度における宮城大学の総合型選抜入試では、先生のレクチャーを受講し、レクチャー内容に関するレポートを作成する問題が出題されています。また、同年度の京都大学の特色入試では、出願時に高校の調査書に加えて以下を提出して、高校時代の顕著な活動や意欲・志などを評価対象にしています。
・学業活動報告書、推薦書:在学中の活動歴として数学・国際科学オリンピック出場や英語資格・検定試験の成績などを記載
・学びの設計書:高校での活動から本学で何を学びたいのか、卒業後どのような仕事に就きたいかなどを志願者が作成
大学受験で個別指導を利用するメリット
今後の大学受験の出題傾向を踏まえて、個別指導を利用した場合に考えられる主なメリットを5つご紹介します。
一人ひとりに合わせたオーダーメイドの授業が可能
総合的な英語力を評価してもらうには、英作文の参考書などを活用して一般的な表現を習得するだけでなく、自分で書いてみた内容を客観的に評価してもらう学習の繰り返しが大切です。また、志望校に応じた受験対策ができることも個別指導のメリットといえます。
例えば、令和3年度における小樽商科大学商学部の総合型選抜(グローカル総合入試)では、英語で作成した志望理由書や学習計画書を導入。また、同年度の東京外国語大学の国際日本学部一般選抜(前期日程)では、外国語の学力検査で「英語スピーキング試験」を行いました。
大学受験の時点から英語の能力を図ることで、留学生とともに学ぶ学部教育への適応力や発言、ディスカッションで動じない学生かが試されるのです。
ある程度生徒の都合に合わせられる
個別指導では、塾までの通学時間や学校行事など個人の都合を考慮して曜日や時間の調整が可能です。例えば、高校3年生の4月から個別指導を利用し始めた場合、集団塾であれば決まった学習内容をスケジュール通りに学習するため、不明点は自分で復習して授業に追いついていかなければなりません。
一方、個別指導では自分の現在の状況を踏まえた学習計画が作れるため、自分の弱点を指摘してもらえる点がメリットです。どの教科も同じペースではなく、苦手な科目は基礎的な学習から始めるなど得意不得意に合わせて無理なく調整できます。
受験科目が決まり、一気に学力アップを図りたい場合には、個別指導で学ぶと効率的です。
定期的な進捗管理と学習計画の調整
個別指導では、定期的に進捗管理や学習計画の調整が行われます。指導者との共同で学習目標を設定し、進捗状況を確認しながら学習計画を立てることで、効果的な学習を行うことができます。また、学校の授業や模試のスケジュールとの調整も行われるため、バランスの取れた学習を進めることができます。
先生とのコミュニケーションが取りやすい
前述の英語に限らず、小論文や数学の証明、現代文の記述問題など、個別に添削をしてもらって練習を重ねる学習が必要な分野はいくつもあります。学習指導要領や大学入学者選抜の方向性で示した「思考力・判断力・表現力」は、付け焼刃では太刀打ちできません。
例えば、令和3年度における高知大学医学部医学科の総合型選抜Ⅰでは、知識、思考力、表現力、主体性を評価するために小論文に加えて活動報告書、態度・習慣領域評価、面接などが行われています。医療現場には、常に患者がいるため、個別指導を活用し先を見通した学習を行うことで、将来的に患者と医師との関係向上やチーム医療、症例をわかりやすく示す能力の向上に活かせるのです。
個別のアドバイスとフィードバック
個別指導では、指導者からの個別のアドバイスとフィードバックを受けることができます。自分の課題や弱点を的確に指摘してもらい、それに基づいた改善策や学習方法を教えてもらうことができます。指導者の経験や専門知識を活かしたアドバイスは、自分の成績向上に大きく貢献します。
大学入試で個別指導を受ける際のポイント
個別指導を受ける場合も、注意点を考慮しないと学習効果が思うように伸びない可能性があります。ここでは、個別指導を受ける際の主な注意点を6つご紹介します。
目標を明確にする
個別指導を受ける際には、自分の目標を具体的に設定することが重要です。どの大学に合格したいのか、どの科目で苦手を克服したいのかなど、明確な目標を持つことで指導者との共通の目標が明確になります。また、目標が明確であれば、指導者はその目標に向けた指導やアドバイスを的確に行うことができます。
弱点を受け入れ質問する
質問をするには、状況を分析して、発見した問題点を他者に説明しなければなりません。つまり、質問をするだけで表現力を鍛える練習になるのです。弱点対策は、自分の苦手がどこかを客観的かつ冷静に分析することから始まります。
そのため、「質問が多すぎると迷惑ではないか」と遠慮せずに、常に質問できる箇所がないか考えながら授業を聞くと理解を深めることが期待できるでしょう。なお、質問する際は単に調べればわかる部分や解説に書いている部分を聞くのではなく、さらにわからない部分がないか考えることが大切です。
個別指導で生徒が質問をすると、先生は生徒がどこまで理解できているかが把握でき、理解度を踏まえたうえで関連事項や内容をかみ砕いて解説するなどのフォローができます。そのため、自分が深く理解したい部分や自信がない部分について「○○は理解できているけれど、なぜ○○が○○なのか」のように具体的な質問をしてみましょう。
その場での理解に努める
大学受験で学ぶべきことは、多岐にわたります。問題集の解説を読めば、問題自体は解けるようになりますが、本質的な部分がわからないままでは、いずれ不明点が積み重なってしまうかもしれません。そのため、不明点はそのままにせず、すぐに先生に確認することが大切です。その場で疑問が解決できなければ、次の解説でつまずいてしまうかもしれません。
これにより、あとで確認しようと思っていて、忘れたりやりきれなくなったりすることも予防できます。個別指導であれば、自分が質問したいタイミングで先生に質問できる点が大きなメリットです。個別指導を活用する場合は、できるだけ早く疑問を解消する習慣をつけることが求められます。
自分で解けるように復習する
勉強は、一度だけ見たり、教えてもらったりしただけでは身につきません。なかには、説明を受けてわかったと思っても、先生の説明がわかりやすいだけで、その場でわかったつもりになってしまうこともあります。そこで、知識を活用して自分で問題が解けるようになるには、問題演習で本当に理解できているかを確認しなければなりません。
受験勉強を行う際には、一つひとつの知識や問題について都度理解できているのかをアウトプットして確かめましょう。個別指導で教えてもらうことだけに安心せず、自ら復習を行う習慣をつけて「個別指導でサポートしてもらい、自ら成績を伸ばす」という目標を決めて実行することが大切です。
積極的に関与する
個別指導では、受け身にならず積極的に関与することが重要です。ただ教えてもらうだけではなく、自分主体で問題を解いたり考えたりすることで、より深い理解を得ることができます。指導者との対話やディスカッションを通じて、自分の考えを整理し、学習の主体性を高めることができます。
コミュニケーションを大切にする
個別指導では、指導者との良好なコミュニケーションが成果を上げるために重要です。自分の状況や理解度、進捗状況を的確に伝え、指導者からのフィードバックやアドバイスを受けることができます。また、質問や疑問があれば積極的に相談することで、より効果的な指導が受けられます。コミュニケーションを通じて信頼関係を築き、学習のサポートを受けることができます。
個別指導で苦手を徹底対策して大学入試を突破しよう
大学受験は、高等学校学習指導要領の改訂に伴い、高校で学習する知識の詰め込みだけで合格を勝ち取ることが難しくなっています。そこで活用したいのが個別指導です。個別指導なら自分に不足している能力を見極めるだけでなく、自分にあった教育内容を提案してもらえます。自分の弱点を見極め、考えを深めていくことで志望校への合格を目指しましょう。