「大学受験をする」と決めた中学生の勉強法

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「大学に行こうかな」と思っている中学生と、「大学に入りたい」と考えている中学生と、「大学受験に挑戦する」と決めた中学生は、何をしなければならないのでしょうか。
大学に入るためには、1)大学で何を学びたいかを決める、2)大学を出てどのような仕事に就きたいか決める、3)勉強する、の3つが必要です。

ただ、中1生が4月に「大学に入りたい」と考えても大学入試まで6年近くあります。中3生が3月に「大学受験に挑戦する」と決めても、まだ3年近くもあります。
したがって、じっくりと「3つのこと」に取り組む必要があります。あせってはいけません。
長期戦になることを覚悟して一歩一歩確実に進んで行きましょう。

目標は大きすぎるくらいでちょうどよい

「大学で何を学ぶか」と「大学を出てどのような仕事に就くか」を決めるときは、大きすぎると感じるくらいの目標を持ちましょう。
例えば、次のような目標を立ててみてください。
・東京大学で勉強する
・京都大学で勉強する
・東京工業大学または一橋大学で勉強する
・医者になる
・裁判官になる、検事になる、弁護士になる
・公認会計士になる、一級建築士になる
・外交官になる、外務省専門職員試験に合格する
・キャリア官僚になる、国家公務員採用総合職試験に合格する
・一流企業の社長になる、一流企業をつくりあげる
・AI(人工知能)の開発をする
・ノーベル賞を取る
・宇宙飛行士になる
・地図に載る仕事をする

このような目標は「一昔前の価値観」に基づいた将来像のように感じるかもしれません。将来なりたい職業にユーチューバーやeスポーツ選手、ゲームクリエーターが並ぶ現代の思考からすると「古い目標」と思われるかもしれません。

しかし、日本の経済や産業、科学技術や重要インフラストラクチャー(社会基盤になっている設備や施設)を支えているのは、これらの目標を実現した人たちです。そしてこれらの目標を達成すると、高い給料がもらえて生活を安定させることが期待できます。

これらの目標はあまりに大きいため、中学生くらいから準備しないと叶いません。それでも中学生からしっかり準備をすれば、十分これらの目標を達成することは可能です。大きな目標こそ、大学を目指す理由としてふさわしいものといえるでしょう。

理系か文系かを決める

大学は「大きな学校」と書くだけあって、教師である教授や准教授、講師たちの数も、学生の数も、事務職員の数も、小中学校とは比べ物にならないくらい多くいます。それは、大学は学部が集まって構成されているものだからです。つまり、複数の学部の集まりが大学です。ただ、1つの学部しかない大学もあり、そのような大学の人数はそれほど多くはありません。

学部には理系と文系があります。一般的に勉強と呼ばれる行為は、科学(サイエンス)を学んだり研究したりすることをいいます。科学は大きく自然科学と人文科学にわかれます。
自然科学のことを理系といい、人文科学を文系といいます。

大学を選ぶときは、まずは理系か文系を選び、そのうえで理系のなかの学部、または文系のなかの学部を選びます。1つの学部はさらに、複数の学科や専攻にわかれることもあります。ただ中学生は、学科や専攻までは考えなくていいでしょう。

理系には、工学部、理学部、医学部などがあります。
文系には、法学部、経済学部、文学部、教育学部などがあります。

先ほど紹介した目標職種と理系、文系、学部の関係は以下のようになります。
・医者:理系、医学部
・裁判官、検事、弁護士:文系、法学部
・公認会計士:文系、経済学部
・一級建築士:理系、工学部、建築学科
・外交官:文系、法学部、経済学部
・キャリア官僚: 文系でも理系でもよい
・一流企業の社長:文系でも理系でもよい
・AIの開発者:理系、工学部、理学部
・ノーベル物理学賞:理系、理学部、工学部
・ノーベル化学賞:理系、理学部、工学部
・ノーベル生理学・医学賞:理系、医学部、薬学部
・ノーベル経済学賞:文系、経済学部
・宇宙飛行士:理系、工学部、理学部

自分が目指すべき学部は、「大学で何を学ぶか」と「大学を出てどのような仕事に就くか」を決めることで自然に決まってきます。

変えてもよい

中学生のときに志した学部は、その後いつ変更しても構いません。高層ビルをつくりたいと考えて工学部建築学科を目指していた人が、途中から人の命を救いたいと考え直して医学部を目指しても問題ありません。

それでも、中学生のときに「一度決める」ことが大切なのです。「この勉強がしたい」「この学部に行きたい」と明確に定めることで、勉強のモチベーションが生まれるからです。
モチベーションは、やる気や動機と訳されます。

中学生になると勉強のつらさや苦労、苦痛がわかってくるでしょう。しかし、高校3年生から始まる受験勉強は、その何倍も大変になります。したがって、中学生の今から、勉強を克服する訓練を積んでおく必要があります。

モチベーションがあると「つらい勉強」が「必要不可欠の勉強」に変わるので、勉強を進める推進力になります。「学校のテストの点数を高くしたいから勉強をする」というモチベーションより、「医者になりたいから医学部に入る必要がある、だから勉強をする」というモチベーションのほうが強固です。

強固なモチベーションを持っておいたほうが、勉強ははかどります。「仮」でもいいので、中学生のうちに「○○学部を目指す」と宣言しましょう。

英語と数学に力を入れる

大学に入るには学力が必要です。
大学を本気で目指す中学生は、英語と数学の勉強に、特に力を入れてください。その理由は3つあります。
・英語と数学は長年の地道な積み重ねが必要だから
・英語と数学が強いと選択肢が広がるから
・英語と数学ができる人は他の学科もできることが多いから
どれも重要なので、ひとつずつ解説していきます。

英語と数学は長年の地道な積み重ねが必要

中1生であれば、日本語を不自由なく使えるでしょう。その状態は当たり前のことではなく、毎日日本語を聞かされ、日本語を話しているから身についたスキルです。スキルとは、訓練によって身につけた能力や技能のことです。

10年以上にわたって日本語だけを使ってきたので、日本語を流ちょうに扱えるのです。日本語も英語も、言語という点でまったく同じです。したがって、英語の学力やスキルを身につけるには、日本語と同じくらい濃厚かつ長時間にわたる勉強が必要になります。

数学の学力の付き方も、英語と似ています。数学は算数とは異なるジャンルの学問です。算数はいわば「数字とは」を学ぶ学問です。数学は数字を使って「現象のなかに潜んでいる法則」を探る学問です。

数学の学力を上げるにはその法則を理解する必要があります。数学を苦手にする中学生は多いでしょう。それは、数学という学問には、人の気持ちも社会の事情も、ドラマ性もないからです。したがって、数学を勉強していると「数字をいじっているだけ」のように感じてしまい、飽きてきます。

しかし、その数字をいじるだけの勉強をある程度積み重ねておかないと、数学の学力は身につかず、数学の面白さもわかりません。ただ安心してください。一定量の学力がつき、数学の問題を解くコツがつかめてくると、数学は急に面白くなってきます。

それは、人の英知とは、数学を使って地球や宇宙のあらゆる存在や現象を説明していくことでもあるからです。数学は壮大な学問なので、大学受験の準備でも時間をかけて学習しなければなりません。

英語と数学が強いと選択肢が広がる

英語と数学の学力を一定以上に維持しておくと、将来の選択肢が広がります。大学に入るには、入試というテストに合格しなければなりませんが、英語を課していない大学学部はほとんどありません。入試で他の学科のテストは合格水準に達しているのに、英語のテストの点数が悪かったばかりに不合格になることがあります。英語の学力が一定水準に達しないと、どの大学にも入れないといっても過言ではありません。

英語は文系学部を目指す人にも理系学部を目指す人にも必要な学科ですが、数学は主に理系学部を目指す人に必要な学科です。数学は、すべての理系の学問のベースになっています。一部のごくわずかな例外を除き、数学のスキルを獲得しないで理系に進むことはできません。

では文系学部を目指す人は数学に力を入れなくていいのかというと、そうではありません。文系学部のなかでも、経済学部での勉強は数学の知識が必要です。先ほど「中学生で目指した学部は、今後変更してもよい」とアドバイスしました。もし文系学部を目指していた中学生が、高校に入って急に医者を志そうとしたとき、中学での数学の蓄積がないと相当苦労することになるでしょう。中学生のうちは数学がどれほど苦手でも、くらいついて離さないようにしましょう。

英語と数学ができる人は他の学科もできることが多い

英語と数学の成績が上がってくると、他の学科の学力も上がります。これは、英語と数学を鍛えることによって「受験勉強の基本姿勢」ができるからです。英語と数学に力を入れると、地道に勉強するクセがつきます。これは受験勉強に欠かせません。英語と数学で受験勉強の基本姿勢が身につけば、あとは学習内容を理科や社会に変えていけばいいだけです。

理科と社会を好きになる

受験勉強を家に例えると、英語と数学は基礎部分や柱や梁(はり)です。基礎と柱と梁だけでは人を守ることができないように、理科と社会の学力を身につけないと大学に入ることはできません。

大学受験における理科と社会の位置

理科は理系学部を目指す人が学ぶ学科であり、社会は文系学部を目指す人が勉強する学科、といった覚え方はしないでください。中学生のうちは、理科も社会も、分け隔てなく勉強していきましょう。

国立大学は、理系学部の入試でも社会のテストがありますし、文系学部でも理科を課します。大学に入ることも大学生生活を送ることも多額のお金がかかるので、私立大学よりは授業料が安い国立大学を目指すことで「親孝行」になります。中学生から大学受験に備えれば、国立大学を十分狙うことができます。

理科と社会の勉強法

中学生が理科と社会の勉強を始めるときには、まずは理科と社会を好きになりましょう。理科も社会も、好きになりやすい科目です。

理科は自然現象を説明しています。なぜ電気が起きるのか、なぜ手に持ったボールを手放すと地面に落ちるのか。その理由を知りたくなれば、理科の勉強は楽しくなります。

社会は身のまわりの出来事を扱います。なぜ戦争が起きるのか、なぜ日本には憲法があるのか。そして日本史も世界史もドラマ性があり、そのストーリーを読めば興奮するはずです。理科を理解することも、社会を暗記することも苦痛が伴いますが、好きになればその苦痛が快感に変わります。

国語が重要な理由

大学受験に備えた勉強で軽視されがちなのが国語です。しかし、国語は英語よりも数学よりも重要な科目といえます。それは論理的な思考は国語力を鍛えることで養われるからです。

英語も数学も日本語で問われ日本語で考えるから

英語も数学も日本語で問われ日本語で考えます。したがって、英語や数学の教師が話す言葉や、英語や数学の参考書に書かれてある文章を理解するには国語力が必要です。国語の勉強を正しく実行すると、英語や数学のテストで問われていることが正しく理解できるので、正答できる確率が高まります。ところが、国語の勉強を正しく行うのは意外に難しいのです。

直感で解けてしまうからこそ注意が必要

国語のうち現代文は、直感や常識である程度解けてしまいます。しかし、それでは大学受験の準備になりません。大学入試の国語を克服するには、日本語のルールにしたがって日本語を読み解いていかなければなりません。国語で扱っている日本語は、LINEやインスタグラムやEメールで使っている日本語とはまったくの別物と考えてもいいくらいです。

英語や数学の授業は、しっかり聴いていないと理解できません。しかし、国語の授業はなんとなく聴いているだけでなんとなく理解できる気持ちになります。そのため、いつまでも自分流の国語の勉強を続けてしまう人がいるのですが、そのような人は国語の点数も日本語力も伸びません。

例えば、国語では「このときの主人公の気持ちを説明せよ」といった問題が出ます。このとき文章に書かれてあることだけを根拠にして主人公の気持ちを説明できなければなりません。「私は、主人公はこう思ったと思う」という答えは正答につながらないでしょう。自分流を捨て、教師や参考書が教える「正しい国語の理解の仕方」を身につけてください。

まとめ

大学を目指す中学生は、なりたい自分をみつけましょう。それはあとで変えても構いません。しかし、中学生の今、とりあえず一回は「○○になりたい」と決めておいてください。それさえ決まれば、大学の学部を選ぶことができるからです。
学部を選ぶと目標がかなり具体的になり、勉強モチベーションが高まります。大学入試の合格には猛勉強が必要ですが、モチベーションはそのエネルギー源です。モチベーションを高め、英語と数学の勉強を地道に続け、理科と社会を好きになり、国語を鍛えていってください。

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