子どもが大学受験に落ちたときに親が絶対やってはいけないこと
大学受験には、常に不合格のリスクが付きまといます。なかには、確実に受かると思われた大学から不合格通知を受け取る受験生もいるでしょう。そんなとき、親がうかつな言動で子どもの心を深く傷つけてしまえば、子どもが不合格のショックから立ち直れなくなる可能性もあります。
そこで、本記事では、「子どもが大学受験に落ちたときに親が絶対にやってはいけないこと」を列挙していきます。
大学受験に落ちた子どもを責める
「親が絶対やっていけないこと」の筆頭は、「子どもを責める」こと。受験に落ちて一番傷ついているのは、子ども自身です。追い打ちをかけるように、「なんでもっとがんばらなかったの?」などと、安易に責め立ててしまうと子どもはますます追い詰められてしまうでしょう。場合によっては、自暴自棄になり、その後の人生を狂わせてしまう可能性もあります。
大学受験に落ちることは、多くの受験生にとって人生を揺るがすほど大きな挫折です。そのようなときに、心が不安定にならない受験生は少ないでしょう。そのため、親が冷静さを失ってわが子を責めてしまうことはまったく逆効果です。責め立てたことで、子どもからの信頼関係を一気に壊してしまう可能性もあります。
親が子どもの不合格にあたってやるべきことは、受験に落ちたわが子を物心両面でしっかりとサポートすることです。丁寧に愛情のこもったサポートを行うことで、子どもが不合格のショックから立ち直り、再び前向きな気持ちで次の受験に臨めるようになります。
子どもが大学受験に落ちたことを親が深刻に受け止める
子どもが大学受験に落ちたことを親が深刻に受け止めすぎてしまうことも問題です。わが子が不合格になってがっかりしない親はいないでしょう。しかし、子どもの不合格を深刻に受け止めるようすを子どもに見せてしまうのはNGです。
ただでさえ受験に落ちて動揺している子どもがますます動揺し、何も手につかなくなる恐れがあります。さらに、まだ受験が残っている場合には、悪影響を及ぼしかねません。それを防ぐためにも、親は子どもの不合格を深刻に受け止めず、自らの動揺や落胆を子どもに悟られないように注意する必要でがあります。
親は、子どもより長く生きている分人生経験値も豊富で、トラブルへの対処法もある程度心得ている人が多いのではないでしょうか。子どもが受験の際は、豊富な経験値を活かすチャンスと心得、どっしりと構えて子どもを心身ともにサポートしましょう。
子どもがまた前向きな気持ちを取り戻し、それが後の良い結果につながる可能性が高くなります。
同じ大学を受けた受験生について言及しない
子どもが大学受験に落ちたときに「子どもと同じ大学を受けた受験生について言及すること」も絶対やってはいけません。「〇くんは合格した?」と他の子どもの合否を気にする発言や、「〇さんは受かったのになぜあなたは……」といった内容は、間接的に子どもを責めているといえます。
不合格で落ち込んでいる子どもにとっては、心の傷に塩を塗りこまれているような気分になってしまうでしょう。例えば、自分が仕事や家事、育児について他人と比較されたり、他人より劣っている点を間接的に指摘されたりした場合、嫌な気持ちになる人が多いのではないでしょうか。
同じことを子どもにやっていると考えれば、他の受験生について言及する行為がどれほど子どもを傷つけるかわかるはずです。他の受験生の合否を知ったところで、子どもの不合格が覆るわけではありません。
目の前で不合格に落ち込む子どものケアを最優先させるのが親の役割です。そのため、子どもの気持ちに配慮しない無神経な発言は慎むようにしましょう。
必要以上に子どもに気を遣う
子どもが大学受験に落ちたとき、必要以上に子どもに気を遣うことも避けたほうがいいでしょう。子どもが心配なあまり、腫れ物に触るような接し方を親にされれば、子どもは「受験に落ちたことで親に心配や迷惑をかけた」などの罪悪感を抱いてしまいかねません。
その結果、控えている受験勉強に支障が生じる恐れもあります。子どもに罪悪感を抱かせないためにも、親は必要以上に気を遣わずいつもと同じ態度で子どもをサポートしたいところです。大学受験に落ちたことは、一つの失敗と言えるかもしれません。
しかし、その失敗を教訓にできれば、次の受験でより一層良い結果を出せる可能性が高くなります。また、不合格という逆境から自ら立ち直るよう長い目で見守ってあげることも大切です。
必要以上に子どもを励ます
大学受験に落ちた子どもを全力で励ましたいのが親心です。励ますことで不合格のショックから立ち直れる子どもであれば問題ないのですが、子どもによっては必要以上に親に励まされることをプレッシャーに感じてしまう場合もあります。
そのような子どもは、受験当日に緊張しすぎて本来の実力を出せなかったり、合格できるはずの大学受験に落ちてしまったりする可能性があるでしょう。親の多くは、子どもの性格をよく把握していると思い込んでいるかもしれません。
しかし、親子といえども性格は違うので、子どもが求めない形で励ましなどのサポートを行ってしまわないよう注意が必要です。非常に難しいことではありますが「親と子どもは別人格」ということを肝に銘じておきましょう。
できるかぎり子どもがプレッシャーに感じない方法を探り、さりげなくサポートすることがおすすめです。
不合格になった子どものサポートを全くしない
わが子をよく知る親といえども、大学受験に落ちてピリピリしている受験生のサポートを行うのは非常に難しいものです。だからといって、不合格で落ち込む子どもをまったくサポートせずに放任してしまうと、別の問題に発展する恐れがあります。
不合格で心が不安定な状態になっている子どもが自らを放置する親を見れば、「大学受験に落ちたから見捨てられた」「どうせ私はダメな人間だ」などとますますネガティブになる可能性もあるでしょう。エスカレートすれば大学全落ちくらいでは済まず、挫折感から立ち直れずに心の病気になる恐れもあります。
受験に落ちた子どもへの精神的サポートは非常に難しいですが、やはりどんな形でも子どもへのサポートは必要です。親が信頼できる人や専門家などに協力を仰ぎながら、子どもが少しでも不合格のショックをひきずらないようにさりげなくサポートしたいところです。
大学受験が全て終わる前に予備校などの話を出す
親の中には、最初に受験した大学に落ちた時点で、浪人を想定した予備校などの話を子どもに持ちかける「気が早すぎる親」もいるかもしれません。多くの場合、早い段階で受験するのはいわゆる「すべり止めの大学」が多い傾向です。
すべり止めの大学に落ちたからといって、親が過剰な危機感を抱き、「転ばぬ先の杖」とばかりに先走ってしまうことは避けたいところ。受験が始まったばかりの段階で、「浪人になる準備」や「浪人した場合の予備校」といった話を親にされたのでは、モチベーションが下がってしまうでしょう。
「親は自分の合格を信じていないのか」などと不満に感じる子どももいるかもしれません。次の受験に向けて立ち直ろうとしている出鼻をくじくような行為となりかねませんので、浪人した場合の話は受験が終わるまで封印しましょう。
それが引き金でその後の受験へのモチベーションが下がり、本来の実力が出せないまま本当に全落ちしかねません。親の心配はもっともですが、そのようなやりすぎの行為は厳に慎まなければなりません。ただし、不合格が重なって後がない状態になった場合は、親が子どもに知られないように予備校などの情報を集めておくことはアリです。
他の受験生との比較をすること
受験においては、他の受験生との比較や競争は避けるべきです。
受験生はそれぞれ異なる背景や状況を持っています。学力、学習環境、家庭のサポートなど、個々の事情が異なるため、単純な比較は公平ではありません。それぞれの受験生の目標や進路に合わせたサポートが必要です。
他の受験生との比較は、本人の自己評価に歪みを生じさせる可能性があります。上位にランクされたり高い点数を取った受験生に比べ、自分の努力や成果を過小評価してしまうことがあります。それによって自信を喪失したり、モチベーションが下がることがあります。
過度な競争心や比較はストレスや不安感を引き起こす可能性があります。健康への悪影響として、睡眠不足、食欲不振、身体の症状の増加、精神的な不調などが挙げられます。受験勉強においては健康な状態を維持することが重要です。
自己成長やポジティブなマインドセットは受験生にとって重要な要素です。他の受験生との比較によって、自己成長への意欲や自信が揺らいでしまうことがあります。自分自身の成長を認め、前向きな意識を持つことが受験において有益です。
親としては、他の受験生との比較ではなく、本人の個別の状況や目標に焦点を当てましょう。その人に合ったサポートやアドバイスを提供し、ポジティブなマインドセットを持った成長を促すことが大切です。受験は個人の旅であり、自分自身との向き合い方が最も重要です。
大学受験に落ちた子どもに親がやるべきこと
以上で挙げた「絶対やってはいけないこと」をふまえたうえで、最後に「親が大学受験に落ちた子どもとどう接すればいいか?」という点についても考えてみましょう。
・いつもと同じ態度をキープし、時にさりげなく声かけする
・いつもより少し注意しながら陰でそっと子どもを見守り、子どものようすをよく観察する
・消化の良い食事を作るなど、健康管理面で子どもをサポートする
・親自身が「何があっても冷静に子どもを支える」とどっしり構える
・子どもにわからないような形で万が一の事態に備えておく
ふだんは、冷静な子どもであっても合否が自らの人生を左右する大学受験ではナーバスになりがちです。親は、子どもの心理状況に十分に配慮したうえで「必要以上に関わりすぎず放置せず」といった姿勢を貫き、子どもを陰からそっと見守っていきましょう。