医学部受験のための勉強法(スケジュール)と勉強時間
医学部受験を本気で目指すなら、しっかりとした準備が必須となります。
今回は、現役で医学部合格を目指す場合、どのようなスケジュールを組むべきか、そしてどのような勉強方法の効率が良いかについてご紹介します。
医学部合格のためにやるべき勉強
「医学部を目指そう!」と決めたら、まずは国立大学を目指すか、私立大学を目指すかを決めなくてはいけません。
受験科目が違ってきますし、私立大学の場合は大学ごとの試験内容が大きく異なるため「医学部同士を併願すれば…」と安易に考えていると準備がしっかり出来ず、合格に結び付られないケースもあります。
そうなってしまわないように、医学部入試の方式、必要な受験科目、対策についてご紹介します。
まずは、医学部に入るためにはどのような方法があるのかについて見ていきましょう。
入試には、推薦入試と一般入試があります。推薦入試は11月上旬から12月上旬に実施され、高校での評定がある一定基準を満たしていることに加えて、大学が定めている年齢以下であることなどが定められています。
すべてをクリアして初めて、受験資格を得ることが出来ます。
試験は面接、小論文、英語、数学、理科の基本3教科とされているケースが多いようです。
一般入試と比べると、受験科目も少なく、難易度も多少低く設定されているといえるでしょう。
医学部を目指す高校生や浪人生は多くいますから、それでも倍率は高く、非常に厳しいものとなります。
「受験できるチャンスを増やす」という観点から考えても、推薦を利用できる条件を満たしている場合は受験をしてみるといいでしょう。
面接や小論文にウエイトが置かれているため、勉強時間にどうしても制約が出てしまう現役高校生にとっては、推薦という入試形態は非常に魅力的といえるのです。
一般入試の場合は多くの学校で一次試験と二次試験が、1月下旬から2月中旬にかけて行われます。
一次試験は学科で、学科試験を通過した受験者を対象に二次試験を実施。
二次試験は面接や小論文が課せられるケースが多いようです。
近年、多くの医学部ではセンター試験を利用した入試を実施しています。
受験科目に関しては、大学によって異なりますので、自分の志望する大学の情報を確認してみてください。
受験科目は少ないところで英語、数学、理科のうちから2教科を選択する場合と、英語、数学、理科の基本3教科に現代文が追加されるケース、国語と社会の2教科が追加され、全部で5教科受験に必要になる大学などがあります。
センター試験の目安は85パーセント以上と言われており、かなりしっかりと準備をしておくことが重要です。
医学部合格のための勉強スケジュール
医学部合格のためには、上手なスケジューリングが要となります。
ここでは、スケジュールを立てる際に注意すべきポイントについてご紹介しましょう。
1年間のスケジュールを立てる
医学部受験の場合、志望することを決めた時点で出来るだけ早く勉強をスタートさせることが重要です。
「1年間のスケジュールを立てる」というと、新年から、新年度から、と考える方が多いようですが、難関を目指すのですから出来るだけ早めに勉強をスタートさせましょう。
上述の理由から、ここでは時期では区切らずに、期間で分けてスケジュールについてお話します。
第一期では、基本の見直しを行います。勉強には、やはり基礎固めは外せません。
まずは自分の学力を正確に把握し、基礎で落としている箇所がないかをしっかりとチェックしましょう。
そして、その苦手分野克服を目指します。
この基礎固めを飛ばして、応用や発展問題に手を出してしまうと、逆にタイムロスとなります。
まずは、どの大学でも必ず出題される基礎問題を取りこぼさないことが、医学部入試への第一歩といえるのです。
基礎固めがしっかり出来たら、演習問題に取り掛かります。
基礎がしっかり出来ていれば、演習問題にも対応できる力や、考える力も身についているもの。
もし、基礎が抜けている箇所が見つかったら、すぐにその穴を埋めます。
演習の一環として、志望校の過去問に手を付け始めるのもいいでしょう。
「過去問を始めるのは直前期」というイメージを持たれている方も多いようですが、過去問は出来るだけ早く手を付けることをおすすめします。
自分の現状を目の当たりにして焦るかもしれませんが、その気づきが早ければ早いほど志望校合格の可能性は上がります。
さらに自分の得意分野、不得意分野がはっきりさせることで、早めに自分の得意科目を活かした入試方法を検討することも可能です。
基礎固め、演習と進めてきたところで、そろそろ直前期となるのではないでしょうか。
直前期は不安に駆られて「あれも出来てない、これも出来てない」となにかと散漫になりやすい時期。
ですが、ここで取り乱すことなく、落ち着いて過ごすことが医学部合格へとつながります。
ここから新しいことに手を出すのは避け、日々基礎問題、演習問題を繰り返しましょう。
センター試験を利用する場合は、センター対策も必要となりますので、しっかりと準備を進めます。
センターが終わったら、いよいよ各大学の特色に合わせた学習を行いましょう。
1日のスケジュールを立てる
現役生は、とにかく勉強時間が限られてしまうのが最大の悩みとなるでしょう。
それをクリアにするためには、隙間時間も徹底して活用すること。
そして、日々スモールステップを設定し、達成感を持ちながら勉強を進めていくことをおすすめします。
スケジュールのコツは「どうしてもこのスケジュールを厳守しなくては!」とがっちりと決めないこと。
週単位くらいで達成目標を定め「今日は部活で疲れたから」「塾で遅くなったから」などのイレギュラーが出てしまった日は無理せず繰り越す勇気を持つようにしましょう。
逆に「今日は余裕があるからここまで進めよう」というのも、もちろんありです。
「どうしても、この日までにこなさないと」と決めてしまうと、効率も悪くなります。
幅を持たせてスケジュールを立てるのが、受験勉強を上手に進めるコツといえるでしょう。
では、具体的に1日のスケジュールを考えてみましょう。
朝6時に起床してから、学校を終えて帰宅するのが17時とします。
朝6時に起きるために、6時間は睡眠を確保しようとすると0時には就寝しなくてはいけません。
このように考えると、帰宅してから就寝までの時間は7時間となります。
この時間を勉強に充てようと考えると、ちょっとした休憩や入浴、明日の準備、夕食などの時間を除くと実質5時間確保できるかどうかというところでしょう。
高校2年生になったら、家にいる時間は寸暇を惜しんで勉強に時間を充てていかなくてはいけません。
勉強時間確保には、自分にあった勉強のリズムを見つけることがポイントとなります。
例えば、朝が強いタイプなら、30分でも1時間でも早起きして、頭が冴えているうちに朝の勉強をしてしまうのもいいでしょう。
夜、眠たい目をこすりながら無理やり勉強をしても効率が上がらず、逆に疲れだけたまってしまうということもあります。
オンとオフのメリハリをしっかり付けたいタイプの人は「今日は頑張る日!」「今日は友達と遊ぶ日」というように予定を組んで、勉強のプランを立てるのもいいでしょう。
そういった計画を立てる際にも、先ほども触れた「ちょっとした時間のゆとり」がポイントとなります。
机に向かっている時間自体は短くても、入浴時間や登校時間、お手洗いの中などでちょこちょこ勉強するとはかどるというタイプの方もいらっしゃるでしょう。
だらだら勉強して、と周囲から思われてしまうかもしれませんが、それが自分に合っていればそのスタイルを貫いて良いのです。
勉強方法に「これが一番!」というものは、ありません。
大切なのは、一人ひとりにあった勉強スタイルを見つけることなのです。
長期休暇を上手に活用する
学校があると、どうしても学校に時間を割かれてしまうため、自分の勉強時間を確保するのが難しくなります。
かといって、長期休暇には「春期講習」「夏期講習」「冬期講習」「直前講習」とさまざまな講習会があり、内容を見ていくとどれも自分に必要なものに感じて悩んでしまう…という人も多いのではないでしょうか。
ただ、ここで注目しておきたいのは、講習に参加することで「勉強したつもり」になってしまっていないかということ。
予備校に行き、講習に参加するとそれだけで受験勉強が進んだつもりになってしまうというのは、陥りがちなミスです。
もちろん、予備校や塾での講義はとても意義あるものですが、それでスケジュールをいっぱいにしてしまっては、一つひとつの講義内容をしっかりと身につけることが難しくなってしまいます。
長期休暇に張り切ってたくさんの講習を受講するよりも、厳選した講義を受け、その講義をしっかりと定着させるように復習し、類題をこなすことをおすすめします。
長期休暇は、自分の苦手分野を克服する絶好のチャンスなのです。
長期休暇に講習をたくさん取らないと不安…という方は、講習だけではなく模試を活用してみるのもいいでしょう。
模試で良い結果を残すことを目標に、準備を進めていくのです。
目標が明確になると、やる気もぐっと湧いてきます。
模試を受験勉強のリズムづくりに上手に活用してみてください。
成績が上がるとさらなるやる気がわき起こりますし、もし落ちてしまったら「このままじゃダメだ!」と、勉強方法を見直したり、苦手分野を克服する起動力にもなります。
医学部合格のためには勉強時間はどのぐらい必要か?
医師を志す人は、早ければ小学校、中学校時代から勉強を始めています。
高校入学の時点で、医学部を志す人は一年生のうちから受験を視野に、先取り学習を進めています。
高校のカリキュラムを2年生までに網羅して、3年生以降は基礎固め、応用、発展へと進むのが一般的です。
それをクリアするためには1年生時点では一日2時間、2年生では一日最低でも3時間、高校3年生になると、5時間は勉強時間を確保したいところ。
ただ、これは最低限の時間数で、学校があることを考慮した上で出したものとなります。
不合格になりがちな勉強パターン
理系学部や文系学部を受験する場合、大学ごとに多少特色があったとしても、試験問題にそれほど大きな違いはありません。
ですが、医学部は違います。
「医学部」とひとくくりで考えてしまうと、合格に結び付かないのが医学部受験なのです。
国立を目指す場合は5教科7科目をセンター試験で受験しなくてはならず、そういった意味では私立大学に比べて負担が大きいというデメリットがあります。
そして、受験者層がかなり優秀ですから、センター試験では9割は取れていないと厳しいのが現実です。
センターをクリアして、いざ二次試験に挑んだとしても、7割は取れていないと合格することは出来ません。
ただ、メリットとしては試験対策のしやすさがあり、二次試験の試験内容は他学部と共通している部分が多いため、しっかりと準備をすればクリアすることも可能だということが出来るでしょう。
一方、私立大学の場合はまず大学により受験科目が違います。
同じ試験科目だったとしても大学ごとの試験内容が大きく異なるため「医学部を併願しよう」と思ってもそれぞれの特色に苦労する傾向があります。
「これさえ出来ていれば大丈夫!」とはいえない部分が、私立大学の医学部受験にはあるのです。また、小論文や面接が必須となっているため、学科試験だけでなく、しっかりと対策を行う必要があります。
国立を受ける場合でも、私立を受ける場合でも、自分の志望する大学の特色をよく知り、しっかりと対策を取れることが重要なポイントとなります。
特に私立の場合は、大学ごとの特色がはっきりとしているので、自分の得意分野で勝負しやすい学校を志望校として選ぶのも、一つの方法です。
医学部受験を目指して、スケジュールを立てることの大切さと、スケジュールを詰め込みすぎないことの重要性をご理解いただけたでしょうか。決して大げさではなく、1点、2点というわずかな違いで合否が分かれるのが、医学部受験です。
ずっと根詰めて勉強できる人は、それほど多くはないでしょう。自分のタイプを見極めて、自分のペースに合わせた勉強スタイルを出来るだけ早く確立してしまうのが、得策といえるのです。