大学受験の国語試験攻略のカギ|何からはじめるべきか現代文から漢文までの学習ガイド
本番の試験で高得点を取りたいと考えているものの、どう学習を進めたら良いのかわからない受験生も多いのではないでしょうか。
本記事では国語の点数が上がらないおもな原因を解説したあとに、国語学習の基本と現代文と古文、漢文のそれぞれの学習方法を解説します。
大学受験において国語の点数が上がらない原因
定期テストでは点数が取れているのに、なぜか模試や過去問では点数が取れないと悩んでいる受験生も多いのではないでしょうか。模試や過去問で点数が取れないと、本番の試験でも点数に伸び悩んでしまうため、早めに対策をはじめる必要があります。
ここでは、国語の点数が上がらないおもな原因を紹介します。
学習内容が定着していない
模試や本番の試験は、学校の定期テストとは違って範囲が広く、初見の文章を読んで解答する力が求められます。
点数が伸びない原因の一つには、基礎力の不足が考えられます。基礎力が不足している状態で演習に取り組んでも、本質の理解にはつながりません。
問題の難易度が上がるほど基礎力の重要性が増すため、まずは基礎知識の習得に時間を割きましょう。
学んだ内容を応用できていない
学校の定期テストでは基礎知識を問われる場合が多い傾向にありますが、模試や本番の試験ではその知識を応用して問題を解く必要があります。
特に模試や本番の試験は時間が限られており、問題ごとの時間配分にも注意する必要があります。
1問1問にじっくりと時間をかけられないため、学んだ内容を応用する力を身につけることが重要です。
大学受験に向けた国語学習の基本
大学受験の国語は、現代文と古文、漢文の3つにわかれます。
それぞれの具体的な学習方法を見る前に、押さえておくべき国語学習の基本を解説します。
学校の授業をおろそかにしない
授業を真剣に受け、基礎的な理解を深めることで、受験勉強が効果的に進みます。
特に現代文の小説の読解問題は、問題集のみの活用だけで解けるようになるのは難しい傾向にあります。そのため、学校の授業を軽視せず、しっかりと取り組みましょう。
問題の演習後は必ず解き直しをする
大学受験の国語試験では、初見の文章を読解する力が求められます。
問題集を解いて多くの文章に触れ、解説を通じて文章構造や読解方法を学んでいきましょう。
特に模試の受験後は成績表が配布されるため、データを見ながら自分の弱点を把握し、対策を練ることが重要です。
秋からは過去問を使用して演習を積む
秋からは、共通テストや大学受験に向けての準備を本格化させましょう。
過去問や対策問題集を高校3年生の2学期から活用しはじめても、受験に十分に備えられます。
そのため、秋までは教科書や参考書、問題集などを通して基礎的な力を身につけることが大切です。
焦らずに基礎力をしっかり築き上げ、それから実践的な問題に取り組むことが、受験合格への鍵となります。
過去問を解く際は時間を計る
受験当日は限られた時間内で問題を解く必要があるため、模擬練習として入試と同じ時間内で問題を解いてみましょう。
どの問題にどれくらいの時間を割くべきかを把握すると、適切なペース配分ができるようになります。
特に長文読解では問題文の読解に時間がかかりがちです。本番での不安や焦りを軽減するためにも、万全の準備を行ないましょう。
現代文の勉強方法
現代文は、なんとなく感覚で解いている受験生も多いのではないでしょうか。
しかし、感覚で解いてしまうと点数にムラが発生してしまうため、正しく文章を読み取るための基礎知識を身につける必要があります。
ここでは、現代文の勉強方法を詳しく紹介します。
語彙力を鍛える
語彙力は読解力の基盤です。語彙力の習得は教科書の文章中からはじめ、必要に応じて辞書やインターネット、用語集などを活用しましょう。
また、語彙力を向上させるためには、隙間時間を活用して暗記をするのがおすすめです。
暗記方法は個人によって異なるため、書いたり声に出して読んだりするなど、自分に合った方法を見つけることが大切です。
多くの文章に触れる
教科書以外にも問題集や塾のテキストを利用し、幅広いジャンルの文章を読むと、読解力や速読力の向上につながります。
現代文のテーマには言語論や文化論、環境論などがあり、複数の文章を読んでおくと各分野の基礎知識を身につけることが可能です。
文章を読む際は、各段落の内容や筆者の主張を整理する癖をつけると、文章の解釈力と知識が向上して高い読解力を養えます。
漢字の練習をする
大学受験における漢字の出題数は少なく、また配点も低いため、多くの時間を割く必要はありません。
しかし、得点を落とさないよう、わからない漢字や間違えた漢字はメモしたり復習したりする習慣をつけるのがおすすめです。
漢字は暗記であるため、毎日の学習の積み重ねで点数が上がります。漢字が苦手な方は、毎日数分でもいいので漢字を書く習慣をつけましょう。
説明的文章は文章の構造を押さえられるようになる
説明的文章を理解するためには、文章構造の把握が重要です。
説明的文章には必ず論理的な構造があり、それを見抜くことが問題を解くうえでの近道となります。
各文章や段落ごとに筆者が何を伝えたいのかを理解することで、文章の論理構造をつかむことが可能です。
また、文章の流れは順接と逆接、説明、転換の接続詞に着目するとわかります。
「これ」や「それ」などの指示語は、前文の内容を指し示すもので、文脈を理解するのに役立ちます。比喩や例示、言い換えは作者が主張を強調し、読者に印象を残す手法です。
これらの要素を把握するために印をつけながら読み進めることで、文章の主張や論理構造が明確になり、問題を解く際に役に立ちます。
随筆・小説は感情表現を読み取れるようになる
随筆や小説の感情を捉える方法はいくつかあります。
まず、「悲しい」や「うれしい」といった直接的な表現を探しましょう。
そして、情景描写や比喩表現を注意深く読み解き、作者や登場人物の感情がどのように変化しているかを把握します。
勉強法は説明的文章と同様、問題集を使って多くの文章に触れ、出題形式に慣れることが大切です。
ただし、感情移入しすぎてしまうと著者の意図を見失いがちになるため注意しましょう。
登場人物の言動や状況、環境の変化など、客観的に考察することが重要です。
古文の勉強方法
古文は単語や文法の基礎が重要です。学習に時間がかかるかもしれませんが、少しずつ学習を進めて知識を増やしましょう。ここでは、古文の効果的な学習方法を紹介します。
単語を覚える
古文の単語を覚える際は、単語帳を使用するのがおすすめです。
単語には複数の意味がありますが、最初は主要な意味を重点的に覚えましょう。慣れてきたら、単に意味を覚えるだけでなく、単語帳に記載されている派生した意味も理解するのがおすすめです。
文法を覚える
古典文法を効果的に学ぶには、識別と活用、意味の3つの要素を押さえるのがポイントです。
識別は、文章内の単語を動詞や形容詞、助動詞などに区別することです。古文を理解するためには、これらの基本ルールを覚える必要があります。
また、古文では同じ単語でも文脈によって語尾が変化することがあります。これを活用といい、理解すると文章を正確に読み取れるようになります。
さらに、古文単語や助動詞などは、先述のとおり1つの単語でも複数の意味を持つ場合があります。主要な意味はもちろん、複数の意味も押さえましょう。
古典文法の習得は、高校2年生のうちに済ませるのが理想です。高校3年生になってからでも遅くありませんが、早めに準備をするとより効率良く学習を進められます。
また、読解においては、格助詞と接続助詞の理解も重要です。余裕があればこれらの用法を暗記し、使いこなせるようにしていきましょう。
古典常識を理解する
古典常識は、古典文学のなかでの当時の一般的な風習や慣わしを指します。
古文には、現代人には理解しにくい常識が含まれており、それを理解することが文章を読むうえで重要です。
例えば、平安時代では女性が結婚するまで、ほかの男性に顔を見せないという風習がありました。このような情報は古文のなかで説明されず、知らなければ文脈を理解するのが難しいでしょう。
古典常識は、その時代特有のものであるため、学習を進めるにつれて理解が深まります。教科書や参考書を積極的に活用し、わからない点は先生に質問する癖をつけましょう。
古文を現代語訳する
古文のなかでも、源氏物語や大鏡、徒然草などは、大学入試で良く出題される代表的な物語です。あらすじや現代語訳を知っていると試験の際に役立ちます。
また、これらの有名な文章は演習に最適であり、問題を解いたあとは、現代語訳と単語の意味を確認しましょう。
主語が誰かを明確にする癖をつける
古文では主語が不明確な場合が多く、「誰が話しているのか?」という疑問が生じる場面が多々があります。正しく文章を読み取るためにも、古文を読む前に登場人物をリストアップし、誰が何をいっているかを確認しましょう。
なお、登場人物の把握には、敬語もヒントとなります。例えば、尊敬語や謙譲語が使われている場合、身分が低い者が話している内容である可能性が高いと推測できます。
尊敬語や謙譲語を使っている側が身分が低い場合など、敬語の使い方から情報を引き出すこともできます。
これらのアプローチを駆使して、古文の文脈や登場人物の関係を明確にし、文章理解をサポートしましょう。これらのコツをつかむと、古文の解釈が格段に楽になります。
漢文の勉強方法
漢文は古文と比較すると、短期間で得点を上げやすい傾向がありますが、その分競争が激しい面があります。ライバルに差をつけられないためにも、以下の点を押さえましょう。
単語・句法を覚える
漢文も古文と同様、まずは単語や句法を理解することが大切です。
まず、特殊な意味を持つ漢字や、受身、使役などの句法に焦点を当てて学習を進めましょう。専門の参考書や教科書の活用がおすすめです。
読解力を鍛える
読解力を向上させるためには、例文を音読して覚える方法が効果的です。
まず、句法を覚えたら、その句法を含む短い文を声に出して読みます。教科書や参考書に載っている例文を、意味を理解しながら読み進めるのがポイントです。
句法と例文に慣れたら、問題集や過去問を利用して実際の読解問題に取り組みましょう。問題を解いたあとは、現代語訳と漢文独自の熟語の意味を確認することが大切です。
国語の参考書・問題集の選び方
参考書と問題集は繰り返し使用するため、選び方が重要です。
ここでは、効率的な学習につながる参考書・問題集の選び方を紹介します。
現代文は学習したい分野に特化しているものを選ぶ
現代文は解法が詳しく書かれているものを選ぶと、速読・精読に役立ちます。また、感覚ではなく、根拠に基づいた解答ができるようになり、正答率がアップするでしょう。
なお、現代文は、説明的文章と随筆・小説が出題されます。解き方が少々異なるため、自分が力を入れたい分野に特化した参考書・問題集を選ぶのがおすすめです。
古文は単語力と文法力を鍛えられるものを選ぶ
古文の学習において、単語力と文法力が非常に重要です。
特に助動詞や敬語、古文動詞の活用に焦点を当てた参考書・問題集を選び、網羅的な知識を身につけましょう。そして、赤シートなどの工夫が施された教材を選ぶと、繰り返し学習がしやすくなります。
漢文は句法を演習できるものを選ぶ
漢文の参考書や問題集を選ぶ際には、句法が詳しく解説されたものを選ぶのがおすすめです。解説と演習問題が充実しているものを選ぶと、内容を学習したあとすぐに演習問題で理解度を確認できます。
また、出題単語や基本用語を同ページ内に掲載している参考書・問題集を選ぶと、注釈を読んだりほかのページをめくったりする手間と時間を省けて効率的です。
まとめ
定期テストで点数が取れても、模試や過去問ではなかなか思うように点数が伸びないのはよくあることです。その原因には、学習内容がしっかり定着していないことや応用力がついていないことなどが挙げられます。
大学受験において、国語は現代文と古文、漢文の3つにわかれますが、いずれも基礎が非常に重要です。教科書や参考書で基礎力をつけたうえで問題集に取り組み、間違えた箇所は何度も復習して理解を深めていきましょう。