京大キャンパスは理系中心?京都大学のキャンパスを受験前に見学

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ノーベル賞受賞で知名度の高い京大。京都には、3つのキャンパスを中心に全国各地に研究所や研究施設が点在します。西田幾多郎や三木清など、そうそうたる顔ぶれで、「京都学派」と呼ばれる文系学問で栄えた京都市内にある吉田キャンパスは、新入学生が京大ライフを歩み始める大切な地です。

一方で、理系のテクノロジーや最先端技術研究を誇る宇治キャンパスや、サイエンス部門が集中する桂キャンパスも。このほか全国には、霊長類研究の犬山キャンパスや原子力研究の熊取キャンパスなど、さまざまな教育研究施設が点在していて、世界に通用する京大の学問研究が日夜さかんに行われています。

大学受験で京大を考えている人に知ってもらいたい、理系とキャンパスという切り口から京都大学をご紹介します。

京大のキャンパス・施設は全国に点在

京大のキャンパスや施設は京都を中心に国内外にあります。ただ、京大といえば京都がその中心で、真っ先に思い浮かぶのは時計台記念館のある吉田キャンパスです。京都市左京区の百万遍を中心に創立以来の歴史を誇っていて、日本で2番目の帝国大学として誕生しました。

このほか、1949年に発足した宇治キャンパス、2003年に誕生した新しい桂キャンパスなど、京都市とその周辺に主要なキャンパスが集中しています。京大における3つのキャンパスの概要は次の通りです。

吉田キャンパス

住所:京都市左京区吉田本町
学部数:10
総合人間・文・教育・法・経済・理・工・医・薬・農
特徴:JR京都駅から路線バス約30分。京都市の中心部ですが、文教地区のため落ち着いた雰囲気の中にあります。緑が豊かで、構内には京大の歴史を感じる古い建造物も。銀閣寺や哲学の道が近いこともあって、観光客もたくさん訪れるキャンパスです。

宇治キャンパス

住所:京都府宇治市五ケ庄
組織数:11
化学研究所・エネルギー理工学研究所・生存圏研究所・防災研究所・グローバル生存学リーディング大学院・グローバル生存基盤展開ユニット・工学研究科・農学研究科・エネルギー科学研究科・環境安全保健機構(宇治)・産官学連携本部
特徴:中国の禅僧が伝えた黄檗宗の本山近くにあるキャンパス。最寄りの京阪またはJR黄檗駅から徒歩約5分でアクセスも良好です。ここでは、主に自然科学系の研究施設が集まっています。

桂キャンパス

住所:京都市西京区京都大学桂
構成:A~Dクラスター
Aクラスター:電気工学専攻・物質エネルギー化学専攻・分子工学専攻など
Bクラスター:桂インテックセンター・船井交流センターなど
Cクラスター:社会基盤工学専攻・都市社会工学専攻・建築学専攻・航空宇宙工学専攻など
Dクラスター:情報学研究科ゾーン(建設予定)
特徴:京都市郊外の丘陵地に広がる巨大なキャンパスで、JR京都駅からはバスで約45分かかります。工学系や情報学系の研究が盛んに行われている、京大でもっとも新しいキャンパスです。

京大の中枢部は創立以来、吉田キャンパスです。テレビや写真でおなじみのレンガづくりの時計台は吉田キャンパスの本部構内にあって、正式には時計台記念館と呼ばれています。ニュースで京大が登場すると必ずといっていいほど時計台が映しだされるので、強く印象に残っている人が多いでしょう。京大のシンボルとして古くから親しまれています。

明治30年6月に、それまで日本で唯一の帝国大学だった東京帝国大学に次いで京都帝国大学が創設されました。今も京都市の吉田本町にある京大の前身です。明治30年代に理工科大学、法科大学、医科大学、付属図書館、医科大学付属院、文科大学が設置されて、京都大学の中核ができあがっています。

大正に入ると経済学部や農学部、化学研究所が付置、昭和に入って、戦前には人文科学研究所や工学研究所などが付置され、やがて終戦。昭和22年10月から京都大学、昭和24年5月から新制大学の京都大学がスタートしました。現在に続く長い歴史の基礎が昭和時代に作り上げられています。

平成に入ると、教養部の廃止や観光スポットとしても人気の総合博物館のオープン、国立大学法人化と展開。東大と並んで、日本を代表する国立大学の雄として運営されています。

キャンパスマスタープランとは

キャンパスマスタープランとは、京大が「自由の学風」の実現をモットーに、歩んできたキャンパスの整備方針をまとめたもの。これまでの伝統を踏まえつつ、未来に向かって京大らしいキャンパスの整備・活用を示した内容です。京大発祥の地である吉田キャンパスは、新入学生が大学生活をはじめる大切な場所。

京都の市街地で発展しながら、教育や研究の文教的景観をかたちづくってきた京大は街並みと溶け込んで歩んできました。京大のキャンパス整備方針は、1991年以来9回にわたって策定されています。面積不足や施設の老朽化が進んでいた1990年代は、吉田キャンパスの整備が進められるとともに、吉田キャンパスだけでは面積がカバーできないため、新キャンパス構想が生まれました。それが、2003年誕生の桂キャンパスへとつながります。

その後、吉田キャンパスでは耐震化、本部構内の再配置などを経て、宇治キャンパスと桂キャンパスがそれぞれの役割を確立。

吉田キャンパス

学部や大学院教育、人文系と理系の研究に力を注ぐ

宇治キャンパス

自然科学やエネルギー系研究所やセンターを集中させて、研究機関として運営する

桂キャンパス

工学研究科と情報学研究科を中心にテクノロジーとサイエンスの融合を図る

こうして、京大では常に時代の変化に対応したキャンパス運営を続けてきました。このほか、キャンパスマスタープランでは、京都の街並みとの融合にも注意を払っています。特に、市街地にある吉田キャンパスは、パブリックスペースを十分に配置したり、樹木や緑地とのつながりを大切にしたりするなど、環境に配慮したエコな体制整備も推進しています。

次々とやってくる施設の老朽化への対応とのバランスをとりながら、歴史的建造物の保存や活用、学生や職員にとって安心して過ごせるキャンパスづくりを心がけているのです。

吉田キャンパス:京大はここから始まった

京大の中心・吉田キャンパスは、千年の都・京都市の中心部に位置しています。吉田キャンパスには、大学本部や付属図書館をはじめ、総合人間学部・文学部・教育学部・法学部・経済学部・理学部・工学部・医学部・薬学部・農学部など、総合大学のメジャーな学部や研究家が集中。医学部付属病院も隣接しています。

吉田キャンパスのある交差点は百万遍。歴史のある地名で、かつて日本で初めての電車として知られる京都市電が行き交っていました。吉田キャンパスの周辺には、下鴨神社、銀閣寺、平安神宮、京都御所、吉田神社、南禅寺など、歴史的な観光スポットがあります。また、京大で活躍した哲学者の西田幾多郎にちなむ、哲学の道も観光客に人気です。

構内には、京都大学総合博物館があって一般の人でも入館できます。京大が開学以来、1世紀を超える時間をかけて収集してきた学術標本を展示。収蔵点数は約260万点で、自然史、技術史、日本史などジャンルも多彩です。常設展では、京大が誇る霊長類研究の標本や地震、化石関連、人類学系から熱帯雨林を再現したランビルの森などが館内で展示しています。

また、日本史史料として、古文書や古地図をはじめ石棺などの古代史の遺物、東アジアの考古学研究の資料の展示も多数。このほか、京大の前身である旧制第三高等学校や初期の大学の紹介、当時の機械工学教育で使用されていた模型などの展示も目玉です。

宇治キャンパス:最先端の理系ラボが集結

宇治キャンパスは、平等院鳳凰堂や日本茶で知られる宇治の黄檗地区にあって、専門的な研究を続けるキャンパスです。「エクセレント・ラボの確立」をキャッチフレーズに、自然化学やエネルギー研究の専門プロジェクトや実験研究、国際共同研究の推進、産官学による研究や教育、京大のなかでもグローバル化やエコサイエンスをリードする存在として運営されています。

中でも、大正15年10月に付置されて約100年の伝統がある化学研究所は宇治キャンパスの中核的な組織です。基礎研究系をはじめ、先端ビームナノ科学センターや元素科学などのセンターを抱えています。もともと宇治キャンパスは1947年、火薬貯蔵庫のあった旧陸軍の敷地を京大キャンパスとして転用したものです。

木材研究所からはじまって、その後防災研究所や工学部系の研究施設が利用開始。1966年に入ると、自然科学系研究所の統合が宇治キャンパスで本格化して今に至っています。昭和時代は原子エネルギーや核融合、超高温プラズマ、防災研究所などが集まっていました。国立大学法人となった平成10年代半ば以降は、自然科学系の研究で共同利用が進み、京大の枠を超えた産官学の連携が進められています。

宇治キャンパスの周辺には、地名の由来でいんげん豆でおなじみの隠元禅師による黄檗山萬福寺が有名です。また、少し足を伸ばすと宇治の平等院鳳凰堂、その門前町に立ち並ぶ宇治茶の店舗、宇治上神社、宇治市源氏物語ミュージアムなど歴史情緒あふれる観光スポットが点在しています。

桂キャンパス:テクノロジーとサイエンスの融合

桂キャンパスは、京都市の西部の丘陵地が広がる西京区に2003年10月誕生した京大3番目のキャンパスです。工学系と情報学系の大学院が集まっていて、「テクノサイエンス・ヒルの創造」というキャッチフレーズで研究を推進してきました。

テクノロジーとサイエンスの融合や情報メディアを積極的に活用するなど、工学と情報という新しい時代に欠かせない研究分野で新たな価値を創造して発信していくキャンパスとして期待されています。桂キャンパスの最寄りの観光地は嵐山。鈴虫寺、苔寺として有名な西芳寺があります。

京大キャンパスを見学する方法

京大の各キャンパスは、基本的に構内を自由に見学できます。ただし、公開されている一部の施設を除いて、建物内への立ち入りは禁止です。また、入学試験のシーズンは構内への立ち入りが禁止される場合があるため、注意しましょう。見学者が自由に入館したり、利用したりできる施設は吉田キャンパスの本部構内に多数あります。主な施設は次の通りです。

京都大学総合博物館

京大の歴史を存分に感じられる大学ミュージアム。創設当時に使われていた標本や見本の現物が多数展示されているほか、京大が国内外でおこなっているさまざまな研究成果をわかりやすく見学できるようになっています。人類学の分野でも世界的な功績のある京大らしく、アジアの熱帯雨林を再現した展示は一見の価値ありです。

百周年時計台記念館

京大のシンボルである時計台は、京大開学100周年を記念して建設されたもの。今ではすっかり京大の顔となりました。見学したときには、ぜひ撮影しておきたいインスタスポットです。

レストラン・ラ・トゥール/レストラン カンフォーラ/レストラン「近衛 Latin」

大学キャンパスにおしゃれなレストランが営業していて、見学者も利用できます。フレンチやイタリアンがメインですが、時間帯によってカフェ利用も可能です。店内のインテリアも豪華で、素敵な料理を味わいながら京大の雰囲気を体感できます。

京大ショップ

京大のオリジナルグッズはここで販売しています。大学名やロゴの入ったアイテムをゲットして、受験生活中に使いましょう。きっと京大受験のモチベーションがあがるはず。

インフォメーション/広報センター/大学紹介・広報誌コーナー

キャンパス見学でわからないことを聞いたり、大学のこと、受験のことなどを質問したり、さまざまな疑問を解決できる場所です。

歴史展示室

京大の歴史や沿革を写真パネルや説明を通して学べます。京大の受験生ならぜひチェックしておきましょう。

その他の研究施設

京大は、京都市とその周辺の吉田キャンパス、宇治キャンパス、桂キャンパスの3キャンパスのほか、北海道から鹿児島まで国内の各所に教育研究施設を持っています。中でも、大阪府熊取町、複合原子力科学研究所のある熊取キャンパスと、愛知県犬山市の霊長類研究所のある犬山キャンパスは、3キャンパス以外の主要なキャンパスです。

京大では、歴史的に原子力科学研究や霊長類研究がさかんに行われていて、世界最先端の研究が京都を離れた場所でも行われています。

まとめ

京大は、3つのキャンパスで構成されています。京大関連のグッズを買ったり、キャンパス内のレストランで食事をしたりするなど、実際に京大のキャンパスを訪れてみてはいかがでしょうか。

構内を散策すれば、京大への思いがさらにふくらむこと間違いありません。見学は、自由に行えるため、学園祭に合わせて訪問するのもいいですね。京大受験を考えている人は、ぜひ一度キャンパスの歴史を学んでみましょう。

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