【大学受験】計画なしでは乗り越えられない

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大学受験で勝利するためには、次の3つが欠かせません。
・計画
・モチベーション
・学力
このことを知っている受験生は少なくありませんが、この3つの優先順位を知っている人はそれほど多くありません。

1位計画、2位モチベーション、3位学力、です。

「受験で最も重要なのは学力ではないか」と思うでしょう。しかし、学力が高い人が第一志望の大学に落ちることは珍しくありません。受験は「頭がいい」だけでは勝てません。もちろん、一定レベルの学力がないと志望大学に合格できません。そこで、計画を立てることが重要になってくるのです。計画こそが効率よく学力を上げるからです。しっかりした計画をつくれば、志望大学のランクを上げられるかもしれません。

なぜ大学受験に計画が必要なのか

なぜ大学受験に計画が必要なのでしょうか。それは高校3年生が忙しく、受験の準備が多岐にわたるからです。

部活をしている人なら、夏休みの前半までは部活にも専念しなければなりません。また、高3生は高校の授業もこなさなければなりません。授業内容は間接的には受験対策になりますが、直接的な受験の準備にはなりません。さらに、友人関係や異性との付き合いを中断できない人もいるでしょう。

こうした多忙な生活を送りながら受験の準備をしなければならないので、高3生に「計画をつくらない」選択肢はない、といってもよいでしょう。

計画とは「やること÷48週」である

受験計画は「やること÷48週」で作成します。

大学入試はとてもフェアな競争で、学力があれば合格し、学力が足りなければ不合格という現実が突きつけられます。例えば、現状の偏差値が60の人が偏差値65の大学学部に入学したければ、偏差値を5以上上げるしかありません。
また、すべての大学は過去問を公表しています。公式ホームページで公開している大学もありますし、「赤本」を購入すれば正答つきで過去問が手に入ります。受験生が数年分の過去問を確認すればその大学が求めている学力がわかります。

受験計画をつくるには、例えば、偏差値60の人なら、まずは65に上げるために必要な勉強量(やること)を把握する必要があります。例えば、「この参考書を2回読み込む」「この単語集を完全に暗記する」「5年分の過去問をそれぞれ2度行う」といったことを決めます。

やることが決まれば、あとはそれを入試の前日までにやるだけです。受験には入試の日というタイムリミットがあるので、やることがわかっていてもダラダラ取り組むことはできません。そこで、やることを48週で割り、1週間分のやることを明確にして、その週に完遂しなければなりません。

48週とは、4月1日から翌年の2月26日までの週数です。2月26日は東大の一般入試の最終日の前日ですので、受験する大学によっては47週になったり46週になったりすることもあるでしょう。便宜上、ここでは48週として解説していきます。

4月1日から翌年2月26日までは332日ですが、「やること÷332日」では、やることの1単位が細分化されすぎて、計画づくりが破綻します。また、4月1日から翌年2月26日までは11ヵ月ですが、「やること÷11ヵ月」では、やることの1単位が大きすぎて、計画は楽につくることができますが、計画の進行状況の追跡が難しくなります。したがって、計画づくりでは「やることの48等分」くらいがちょうどよいのです。

以上のことをまとめると受験計画とは、勉強の総量を48分割して48単位つくり、毎週1単位ずつこなしていくこと、となります。

適切な量を目指す「無理もダメ、足りないのもダメ」

計画づくりは「やること÷48週」ですので、毎週こなす勉強量は、やることの量によって変わってきます。つまり、やることの総量を間違えると、計画づくりは成功しません。

やることの総量を増やしすぎると、1週間でやることの量が自身の能力を超えてしまいます。計画未達の週が続くと、計画通りに勉強する気が失せてしまいます。逆に、やることの総量が少なすぎると、計画通り学習していても必要な学力が得られず合格できません。

例えば、文系受験生の志望大学の入試科目が、センター試験の国語、英語、数1だった場合、3科目に何週間を割り振るか考えます。
3等分すれば1科目16週となりますが、それでは単純すぎます。文系であれば、数1より国語や英語を重視しなければならないかもしれません。その配分量は、大学が公開している入試要項に記載されている試験科目の配点から割り出します。

週の割り振りは、次の観点を見極めて決めます。
1)現在の学力、2)必要な学力、3)得意か不得意か、4)入試の配点

こうした観点を考慮して、国語:20週、英語:20週、数1:8週と決めたとします。センター試験の数1は「数と式」「集合と命題」「2次関数」「図形と計量」「データ分析」の5項目から出題されます。するとそれぞれ1.6週間で仕上げなければならないことがわかります。

学ぶ項目をすべて洗い出す

私立大であれば入試科目は3科目程度で済みますが、国立大志望の受験生は科目数が多くなるので、やることの総量を算出する作業はかなり大掛かりになります。例えば、横浜国立大の経済学部(前期)の入試科目と配点は以下のとおりです。
<センター試験>8科目
「国語」200点
「世界史A、B、日本史A、B、地理A、B、倫理・政治・経済から計2科目」200点
「数学1・A1科目と数学2・B、簿記・会計・情報関係基礎から1科目の計2科目」200点
「物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎から計2科目、または物理、化学、生物、地学から計2科目」100点
「英語、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語から計1科目」200点

<個別学力検査(2次試験)>2科目
「数学(数1、2、A、B)」400点
「外国語(コミュ英1、2、3、英表1、2)」400点

センター試験の国語と世界史などの配点は各200点で、理科の100点の2倍です。ところが、数学はセンター試験の200点と2次の400点を足して計600点、英語も計600点です。いずれも国語の3倍の配点です。

つまり、経済学部を狙う文系受験生であっても、横浜国立大学を狙う場合は数学を英語並みに重視しなければならないことがわかります。こうした数字を使って「48週の割り振り」を考えていかなければなりません。

確実に難易度を上げる

計画づくりでは、日にちの経過とともに徐々に難易度を高めていく必要があり、学力が上がることを想定した計画づくりが欠かせません。例えば、「英語を20週で仕上げる」と決めたとします。そして英語の勉強の総量は、1)参考書1冊×2回通読、2)問題集3冊×2回解答、3)単語集1冊完全暗記、4)過去問×5年分×2回、としたとします。
すると、次のような計画を立てることができます。

問題集は3冊を仕上げるので、A、B、Cとしています。
過去問は、古い年をA年として、直近の年をE年としています。

第1週

第2週

第3週

第4週

第5週

単語集

問題集A

参考書

単語集

問題集A

参考書

問題集A、1回解答終了

その他

単語集1冊暗記完了

その他

過去問A年分1回目

その他

第6週

第7週

第8週

第9週

第10週

問題集B、1回解答終了

その他

参考書1回目の通読終了

その他

過去問B年分1回目

その他

問題集C

その他

問題集C、1回解答終了

その他

第11週

第12週

第13週

第14週

第15週

過去問C年分1回目

その他

参考書2回目の通読終了

その他

過去問D年分1回目

その他

問題集A、2回解答終了

その他

過去問E年分1回目

その他

第16週

第17週

第18週

第19週

第20週

過去問A年分2回目

その他

問題集B、2回解答終了

過去問B年分2回目

その他

過去問C年分2回目

その他

問題集C、2回解答終了

過去問D年分2回目

その他

過去問E年分2回目

その他

単語は英語の基礎学力になるので、第4週までには暗記を済ませておきたいものです。その前に問題集Aを第3週まで仕上げましょう。このとき「歯が立たたない」という感触を得ても問題ありません。なぜなら単語集の暗記の途中ですし、参考書の1回目の通読も終わっていないからです。したがって、第5週で行う過去問(A年分)解答も、高得点が得られなくても気にする必要はありません。

ただ第11週の過去問(C年分)解答では、それなりの点数を取っていなければなりません。第13週の過去問(D年分)解答でも合格ラインに届いていない場合、他の教科の学習時間を減らして英語に回す必要が出てくるかもしれません。第14週の問題集Aの2回目の解答終了や第17週の問題集Bの2回目の解答終了は記憶の定着や最終チェックのつもりで行います。

以上のように英語20週の内容が固まったら、全体の48週に配分していくことになります。そのときは、他の教科の学習スピードと調整する必要があります。例えば、以下のようになります。

全体の第1週

全体の第2週

全体の第3週

全体の第4週

全体の第5週

英語の第1週

数1の第1週

国語の第1週

英語の第2週

英語の第3週

そして、1週間を通して英語だけ、または数1だけを勉強することは難しいので、以下のように分割していきます。

全体の第1週

全体の第2週

全体の第3週

全体の第4週

全体の第5週

英語の第1週1/2

数1の第1週1/2

国語の第1週1/2

数1の第1週2/2

国語の第1週2/2

英語の第1週2/2

英語の第2週1/2

数1の第2週1/2

英語の第2週2/2

国語の第2週1/2

期限のない計画は計画ではない

ここまで1週を1単位として計画をつくってきました。しかし、実際の勉強は、1日ごと、1時間ごとといったように、さらに短い単位で考える必要があります。ただ、1週間でやることが決まっているので、1日の勉強時間を決めれば、1時間の勉強量が決まります。

ここまで計算すれば、油断せず、あせらず勉強できます。夏休み前まではどの受験生も「本番はまだ先」という意識に襲われます。そこに油断が生まれますが、1日の勉強量が決まっている受験生は油断とは無縁です。

また、11月になるとどの受験生も「来月はセンター試験の前の月になる」という意識に襲われます。それがあせりを生みますが、1日の勉強量が決まっている受験生はあせりとは無縁です。油断とあせりは受験生の天敵で、これを生むのは無計画さです。油断とあせりを封じ込めるのは、期限を決めた計画です。

確認をしない計画は計画ではない

計画には、計画通りいかない事態がつきものです。計画通りいかない場合でも、計画と実際の齟齬(そご)の大きさが把握できていれば、まったく問題ありません。
計画を調整すればいいのです。

したがって、計画の進行状況は、定期的にチェックする必要があります。ある教科の勉強が計画より遅れていたら、他教科の時間を借りて遅れている教科の時間を増やします。また、教科の勉強が計画より進んでいたら、他の教科の時間に割り当てます。

変更しない計画は計画ではない

計画を変更することを躊躇しないでください。変更には小変更と大変更があります。ある教科と別の教科の間で「時間の貸し借り」をするのは小変更になります。また、当初、数1をやる予定だったものの、英語の勉強の「ノリ」がよく中断したくない場合、英語の勉強を続け、別の英語の勉強の日に数1をすることも可能です。それも小変更になります。

大変更は、想定より勉強がはかどっている場合と、想定より勉強が進まない場合に実施します。これは、志望大学の変更も視野に入れながら実施します。例えば、当初予定した参考書が思いのほか簡単で、計画より早く通読できてしまったとします。それに加えて、志望大学の過去問もスラスラ解けてしまうようなら、志望大学を1ランク上げましょう。

志望大学を変えると、試験対策を変更したり、新たに赤本を買い直したり、計画をつくり直したりと手間がかかりますが、それでも1ランク上の大学に合格できるのであればやる価値があります。

逆に、選んだ参考書や問題集が難解すぎてまったく計画通りに進まない場合、志望大学のランクをひとつ下げることも検討してください。この場合も大きな計画変更が必要になりますが、それをしないと1ランク下の大学にすら合格できなくなるかもしれません。1ランクぐらいの差では、計画なしで楽々合格することはできないからです。

まとめ

受験の計画づくりは、それ自体が勉強になります。なぜなら、受験勉強の全体像を一覧できるからです。受験勉強を系統立てて眺めることができれば、知識を整理しながら記憶していくことができます。

さらに、苦労してつくった計画は、自分を叱咤激励してくれるでしょう。受験計画は、効率よく勉強するという本来のメリットに加えて、副産物も多く得られます。繰り返しになりますが、受験生に「計画をつくらない」選択はないと思います。

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