大学受験は「生活環境づくり」が難しい

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大学入試に挑む受験生は、勉強だけすればよいわけではありません。日常生活も送らなければなりません。高校3年生であれば、高校の最終学年なので部活や文化祭や体育祭にも力を入れる必要があります。

いくら重要な受験勉強であっても、生活の一部であることに変わりありません。生活あっての受験です。したがって受験生は、よりよい生活環境づくりに取り組みましょう。それがよりよい勉強環境づくりにつながるからです。

なぜ生活環境が重要なのか

なぜ受験生は生活環境の改善に取り組まなければならないのでしょうか。例えば、自宅で勉強する時間が長い人であれば、生活の場がそのまま勉強する場所になるからです。したがって生活が乱れれば勉強が乱れます。生活が整えば、勉強も進みます。

自分の部屋を持っている受験生は、勉強を始める前に部屋を片付けましょう。自分の部屋は遊びの空間や休む場所にもなるからです。遊びの空間や休む場所で勉強してもはかどりません。遊園地やリゾートホテルで勉強しないのは、そこが勉強に適していないからです。自分の部屋を片付けることで、「遊びの空間→学びの空間」「休む場所→学ぶ場所」に切り替えることができます。

自宅で勉強するのが苦手な受験生もいます。そのような人たちは、予備校の自習室や図書館の学習スペースを使っていると思います。そうなると、自宅が休憩場所になるので、くつろげる空間にしておかなければなりません。自宅で十分休養できなければ、予備校や図書館で勉強に集中することができません。

このように生活環境を整えることは、勉強することの一部でもあるのです。例えば、料理人の仕事は、食材を切ったり焼いたり味付けしたり盛り付けたりするだけではありません。包丁を研いだり、よい食材を提供してくれる人を探したり、料理に合った食器を購入したりすることも、料理人の重要な仕事です。

サブの仕事をしっかりこなすことで、メーンの仕事が活きてくるのです。受験生活も同じです。受験生のメーンの仕事である参考書の読み込みや問題集を解くことは、サブの仕事である生活環境の改善や整理によって活きてきます。

勉強に集中できる生活環境をつくろう

それでは次に、どのような生活環境にすれば勉強に集中できるようになるのか考えていきましょう。「ギャップがよい効果をもたらす人」と「シンクロが重要な人」がいますので、それぞれわけて考えていきます。

ギャップを好む受験生にとって望ましい生活環境とは

ギャップを好む受験生とは、学習時間は勉強の世界に没頭する代わりに自由時間や休憩時間は「弾けたい」人です。大音響でロックを聴いたり、激しいスポーツをしたり、カラオケで熱唱したり、好物をお腹いっぱい食べたりすることで、勉強のストレスが発散できるのであればその準備をしましょう。

例えば、夜中の1時に勉強の集中力が切れて、大音響でロックを聴いて発散したくなったとします。もちろんその時間にステレオのスピーカーで希望の音量を出すことはできません。そこで高級ヘッドホンを購入しておいてはいかがでしょうか。受験中は小遣いを使う機会が減るので、音漏れがしないヘッドホンを買うくらいのお金は貯まるでしょう。

激しいスポーツをすることで集中力を回復させることができる人は、運動できる場所とツールを用意しましょう。通っている高校は、運動する場所も用具もそろっているので、後輩たちが朝練をしている時間や昼休みや放課後にスポーツするといいでしょう。

もしそれより早い時間や遅い時間にスポーツをするのであれば、河川敷や浜辺、郊外の低い山、屋外のバスケットボール場、屋外のスケートボード場、屋内プール場などを探しておきましょう。そして安全に使用できる時間も調べておいてください。

カラオケで大熱唱は大声を出すことができるので、これもよいストレス発散法です。最近のカラオケルームは、客が少ない時間帯に格安でスペースを提供することがあります。

好物をお腹いっぱい食べるには、食事をつくってくれる家族に事前にリクエストしておく必要があります。例えば、月曜日の朝に「土曜の夕食にウナギの蒲焼を出してほしい」とお願いしておけば、6日間はウナギに向かって勉強することができます。食事は勉強のモチベーションにしやすいアイテムといえるでしょう。

シンクロを好む受験生にとって望ましい生活環境とは

勉強と真逆の「動」の活動を求めるギャップを好む受験生に対し、勉強を離れても「静」の雰囲気を維持したい人のことを、シンクロを好む受験生といいます。シンクロを好む受験生は、気持ちの大きな変化を嫌います。したがって、穏やかに息抜きできる手段を探しましょう。

リフレッシュしながら平常心を保つには入浴が効果的です。湯の温度を38度ぐらいのぬるめにして、30分以上つかります。このとき、あえて英単語集や日本史の暗記用ノートなどを持ち込まないようにしてください。息抜きや休憩するときは、勉強を完全にシャットアウトしてください。そうすることで、入浴を終えた後に再開する勉強の集中力がアップします。

アロマテラピーも静のリラクゼーション・アイテムです。女性だけでなく男性もぜひ試してみてください。集中力を高めたいときは、ペパーミントやレモン、ローズマリー、ユーカリのアロマが効果的です。

眠れないときは、カモミール、ネロリ、マージョラム、ラベンダーの匂いがよいでしょう。やる気が出ないときは、クラリセージ、グレープフルーツ、ジャスミンをたいてみてください。元気を出したいのであれば、カルダモン、レモングラス、ローズマリーがおすすめです。
アロマも、勉強しないときに試してみてください。

オンラインゲームを趣味にしている人は、時間を決めてプレイしましょう。例えば、1週間3時間と決めて、分割して使っても一気に使ってもよいようにします。時間を決めておかないとゲーム疲れで勉強に支障が出るだけでなく、ゲームのリフレッシュ効果も薄れてしまいます。時間制限をすることで初めて「ゲームをするにはあと6時間は勉強しなければならない」といった勉強モチベーションが生まれます。

友人とのLINEでのチャットも、良質な「静かな息抜き」といえるでしょう。友人も受験生であれば、LINEでつながる時刻とチャットをする時間を決めておきましょう。もし、LINE友達が後輩や先輩であれば、事情を話して息抜きチャットに協力してもらいます。

睡眠は生きるために欠かせない営みですが、息抜きにもなります。脳のリフレッシュ効果が高いことでも知られています。受験生の年齢だと、1日10時間以上眠ることができる人もいるでしょう。しかし、毎日10時間寝てしまっては、勉強時間が減ってしまいます。普段は8時間程度にとどめておきましょう。

そして「どうも調子が出ない」と感じたときや、「最近、勉強を飛ばしすぎた」ときに、自分に10時間睡眠を許可するのです。

準備や下調べが必要

これらの息抜き環境をつくるには、準備や下調べが必要です。なぜなら、サッと息抜きして、サッと勉強に戻らなければならないからです。普段の生活であれば、遊びに行こうと思い立ってから、一緒に遊ぶ友達や遊ぶ方法、遊ぶ場所を考えてもよいでしょう。しかし、今は受験シーズン真っただ中です。息抜きやストレス発散、遊びをするのは、すべて勉強の集中力を高めるためです。したがって、しっかり準備をしておいて、息抜きが必要になったらすぐに取りかかれるようにしておかなければなりません。

24時間の使い方で合否が決まる

生活環境を「受験バージョン」にするには、24時間の使い方を見直す作業は欠かせないでしょう。24時間のうち、8時間は睡眠に確保してください。勉強時間を長く取りたい人でも、7時間は確保してください。6時間以下にすることは、まったくおすすめできません。6時間以下の睡眠では、起きている時間の作業効率が落ちるからです。勉強も進みませんし、勉強したことも記憶に定着しません。

したがって、24時間の使い方の見直しは、実質的には16時間の使い方を考えることになります。先ほど「勉強に集中できる生活環境をつくろう」の章で紹介したリフレッシュ策は適宜取ることにして、ここではその時間はあえて確保しないで考えていきます。そのうえで、16時間をすべて受験に使うことを考えます。

例えば、6時に起床する人は、8時間睡眠を確保するには22時に就寝することになります。高3生なら、6~22時は次のようになるでしょう。

6~7時

7~8時

8~9時

9~10時

起床、朝食

登校

学校の勉強

学校の勉強

10~11時

11~12時

12~13時

13~14時

学校の勉強

学校の勉強

昼休み

学校の勉強

14~15時

15~16時

16~17時

17~18時

学校の勉強

下校

自宅時間

自宅時間

18~19時

19~20時

20~21時

21~22時

自宅時間

夕食、入浴

自宅時間

自宅時間

自宅時間を受験勉強の時間にすれば、5時間確保できます。これに学校の勉強の時間、6時間を加えれば、1日11時間を勉強に使うことができます。この11時間は、全国の高3生受験生に公平に与えられた時間です。つまり地頭(じあたま)やIQや偏差値がまったく同じ人が2人いて、その両人とも1日11時間勉強をしたら、差がつきません。ライバルに勝つには、11時間を増やす必要があります。

例えば、学校の昼休みのうち30分を勉強に使えば11時間30分に増えます。また、登下校の時間に勉強すれば、2時間増やすことができます。電車やバスで通学している人なら、英単語や日本史や世界史の年代の暗記が適しているでしょう。
自転車通学の人におすすめしたいのは、街中を英語で実況中継する勉強法です。例えば、「小さな子供たちが幼稚園のバスに乗り込もうとしている」シーンに出くわしたら、その英作文を考えてみるのです。 例えば次のようになります。
Little children are about to get on the kindergarten bus.

「サラリーマンが赤信号を無視して横断歩道を渡っている」シーンをみたら、どのように英訳できるでしょうか。「赤信号を無視する」「横断歩道」の英訳も難しいかもしれませんが、「サラリーマン」もそのまま英語にすることはできません。自転車をこぎながら和訳できなかった単語や語句、表現は、学校や家に到着したらすぐに和英辞典で調べてください。
生活を見直し勉強方法を工夫すれば、1日の勉強時間を限りなく16時間に近づけることができます。これでライバルを引き離すことができます。

家族の協力なしに受験は成功しない

生活環境を見直して受験バージョンの生活にするには家族の協力が欠かせません。例えば、受験シーズンに突入する前に、家事を免除してもらえないか、家族に打診してみましょう。家庭によっては、買い物や清掃、幼い兄弟の世話、犬の散歩といった家事や手伝いが高校生に課されているかもしれません。これらを免除してもらうことで、勉強時間を確保できるだけでなく気持ちも軽くなります。

また、日々の食事に、脳の働きを高めたり集中力を増したりする食材を使ってもらいましょう。そのような食材はネット上にたくさん紹介されているので、そのなかから自分の好みの食材を選んで、それを使った料理をつくってもらうのです。

そして、家族全員に、なるべく静かに生活してもらうように頼みましょう。もちろん、自身でも耳栓を使うなど、音対策を忘れないようにしてください。しかし、それだけでは、テレビの音や大きな笑い声は聞こえてしまいます。そこでテレビのボリュームを下げたり、騒がないようにしてもらうのです。

もちろん家族は、喜んで受験に協力してくれるでしょう。受験生本人はそれに甘えるだけでなく、家族に窮屈な生活を強いることになるという意識を持って、感謝の気持ちで依頼しましょう。

まとめ

受験勉強のリズムと生活リズムを合わせることは簡単ではありません。なぜなら世の中に数ある勉強のなかでも、大学受験の勉強はとても特殊だからです。例えば、これまで朝方だった人が、受験シーズンに突入した途端に夜型になることもあります。深夜のほうが勉強がはかどるのであれば、夜型生活を送ったほうがいいでしょう。

しかし、生活リズムが崩れると体調が崩れることもあります。また、家族も、夜型の人に合わせるのは楽ではありません。受験勉強のリズムと生活リズムは、夏休み前には合わせておきましょう。夏休みは自由時間が増えるので「勉強の稼ぎどき」だからです。

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